初代ホメロスが、見た、感じた、そして、慟哭した。そのときの風景が、情景が、戦士たちの姿が、輝く太陽、蒼空の下、萌える緑の戦野、群青の海を背にして戦う戦士たちの様が、彼を圧倒した。
そのときから、400年という長い歳月を、時間を途ぎらすことなく、今日まで語りついできた、この物語を活字として残すべく、この地を訪れたのである。
かっては、人情味豊かな市民が日々を暮らし、そして、他市にくらべて、公正で平和であった廃墟と化しているトロイ城市を、遠くに望見する原野の小高い台地の上に、数えて12代目のホメロスは立っていた。
そのときから、400年という長い歳月を、時間を途ぎらすことなく、今日まで語りついできた、この物語を活字として残すべく、この地を訪れたのである。
かっては、人情味豊かな市民が日々を暮らし、そして、他市にくらべて、公正で平和であった廃墟と化しているトロイ城市を、遠くに望見する原野の小高い台地の上に、数えて12代目のホメロスは立っていた。