『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第1章  二つの引き金   8

2007-03-27 07:56:19 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 トロイを離れて、三度目の朝を迎えた。二人の疲労は、体力の限界をこえている。昨夜は岩陰に身を寄せて身体を休めた。メネラオスは朝日に向かって、岩の上に立っていた。朝日は、対岸の島の小高い山から昇ろうとしている。目を凝らして見つめた。島と言っても、でっかい島である。向こう岸の海岸に集落が見える。漁村と思えないくらい戸数が多い。二人が目指している集落ではなかろうかと思われた。メネラオスはオデッセウスに声をかけた。身体では、喜びをあらわせないが、二人の気持ちは雀躍した。
 彼らのたどっている海岸沿いのあちこちに、小さな集落が点在している。二人は、馬を引いて歩き始めた。二人には、ここはどこだか判らない、だが、対岸の集落は、アンテノールの指示した集落に違いないと思った。
 歩いている。考えながら歩いている。二人は、目標に近づいていることを疑ってはいない。二人は、一軒の家の前に立っていた。