二人は、楼門の外に出た。高い城壁である。城内の明かり漏れがなく真っ暗闇である。満天の星明りだけである。前を行くメネラオスの姿が影として認められるだけである。
微風が潮の香を持ってくる。足の下は砂地である。ところどころに夏草の群生がある。楼門を出て数メートルのところに樫の大樹が一本あり黒い影である。
オデッセウスは、黒い木の影が動いたように見えた。かすかな光が、目の高さできらめいた。
『メネラオスッ!襲撃だ!右だ!』
二人は、背中をあわせて身構えた。暗闇の中の影を目で追った。オデッセウスも砂地を歩む足音の方向を見すえた。楼門の左手から、二つの黒い影が這うようにして近づいてくる。あわせて三つの影である。
微風が潮の香を持ってくる。足の下は砂地である。ところどころに夏草の群生がある。楼門を出て数メートルのところに樫の大樹が一本あり黒い影である。
オデッセウスは、黒い木の影が動いたように見えた。かすかな光が、目の高さできらめいた。
『メネラオスッ!襲撃だ!右だ!』
二人は、背中をあわせて身構えた。暗闇の中の影を目で追った。オデッセウスも砂地を歩む足音の方向を見すえた。楼門の左手から、二つの黒い影が這うようにして近づいてくる。あわせて三つの影である。