オデッセウスは、戸口に立って声をかけた。家のまわりの様子からみて、日々の生業は、漁師であるように思われる。もういちど、声をかけた。戸が開いた。この家の主人と思われる男が顔を出して、オデッセウスと顔を合わせた。瞬時、相手は身構えた。
オデッセウスとメネラオスの二人は、異様な臭気を発している。そのはずである。アンテノールがトロイを離れる折に、二人にくれた夏物のチュニカを着て、腰に帯剣しているのである。そして、この3日間の強行程の旅である。なお、漁師は、二人がギリシアのポリスの領主だとは判らない。
エーゲ海沿岸では、一部は通じがたい部分があるが、ギリシアで使用している言葉が通じる地域であることは二人に幸いした。
オデッセウスとメネラオスの二人は、異様な臭気を発している。そのはずである。アンテノールがトロイを離れる折に、二人にくれた夏物のチュニカを着て、腰に帯剣しているのである。そして、この3日間の強行程の旅である。なお、漁師は、二人がギリシアのポリスの領主だとは判らない。
エーゲ海沿岸では、一部は通じがたい部分があるが、ギリシアで使用している言葉が通じる地域であることは二人に幸いした。
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