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オデッセウスは、二つの影に対峙している。影が一つになったように見えたと同時に、最初の斬撃がきた。彼は、右へ跳ぶ、影の胴を薙いだ、深々と切り裂いたようだ。息つく暇がない、第二撃がきた、構えを立て直す暇がない、剣を前に構えて、そのまま、影に体当たりする、影の身体の真ん中を突き通した。影は断末の叫びを上げず、低くうめいただけで事切れた。
これだけでは、終わらなかった。メネラオスがもう一つの影と対峙していた。二つの影の間合いは、2メートルくらいと思われる。影は、メネラオスを圧している、メネラオスは後ろにさがる、夏草に足をとられた、尻餅をついた、殺到する影、きらめく光、影はのけぞった。影は、反転して倒れているメネラオスの体の上におちていった。オデッセウスは、荒い息づかいでかたわらに立っていた。