『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第1章  二つの引き金  10

2007-03-30 08:24:15 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 今、二人の直面している問題についての交渉は、オデッセウスが適任である。オデッセウスは、メネラオスに比べて、この手の交渉事については、一手だけだが手数をかけるのが、いい結果に決着するのである。この時代における交渉は、お互いの申し分も単刀直入である。答えも、イエスか、ノーか、のいずれかであり、また、生か、死かで決着がつくのである。
 オデッセウスと漁師、顔を合わせた二人、沈黙の時が終わった。
 『俺たち二人は、対岸の集落に渡りたい。それをやってもらいたい。あんたは、漁師だろう。それも舟を、うまくあやつる漁師だと見た。俺たち二人を向こうの浜でおろせば、それでよい。見ての通りだ。俺たちは、今、何も持っていない。だが渡す。この馬、2頭だ。』
 オデッセウスは、言い終わるや否や、腰の剣に右手をかけた。