『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  189

2010-04-13 07:56:47 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 暦で言えば、夏至が数日後である。
 日足の長い日々である。エノスの浜、界隈の人々が総出の競技大会は沸き沸いて熱狂で終えた。このあと、皆が待ちに待っている期待の宴である。宴の肴にする魚釣り競技の優勝チームはエノスの浜衆チームであった。浜の各所には肴を調理する焚き火が炊かれている。食材豊かなこの時期、この土地、皆が総出の宴の準備、人々の表情は楽しみに溢れていた。焚き火の箇所は40余りもあり、焚き火を囲む衆は30人余り、子供たちの夕陽と焚き火に映える顔は、愛くるしい微笑みに輝いていた。老若男女たちも焚き火と焚き火の炎に焼く肴との格闘に忙しかった。
 各所に立っている世話役たちが一瞬し~んとした。
 トリタスが宴会スタートの掛け声をかけた。
 『皆の衆、今日は楽しい一日を過ごした。さあ~、皆で語ろう。楽しかった今日のこと、さあ~、飲んで食べよう。』
 大歓声が上がった。世話役たちが、各グループに酒を注いで廻った。。宴が一挙に盛り上がった。
 アエネアスもイリオネスもアレテスも各グループに袖を引かれて、一箇所にとどまってはいられなかった。しかし、三人の心は落ち着きを欠いていた。海賊討伐に出かけているオキテスのことが気にかかっていたのである。
 パリヌルスは、見張りの者と西に傾いている夕陽を全身に浴びて海を見つめていた。