『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  193

2010-04-19 07:49:05 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 皆の衆が和気で囲んだ焚き火が、今日の日を惜しみながら、ひとつ、ふたつと消えていく、終宴のときが訪れてきていた。
 技を競った、心が燃えた。勝った、負けた。小さな子供たちも転げまわった。歓声も上げた、地団太も踏んだ。エノス周辺の住民の皆が、ひとつどころに集まって一日を過ごした。参加者全員がわいわい、がやがやと競技を、そして、宴を楽しいだ。そんな一日が、いま、終わろうとしている。遅ればせながら皆の衆の中に溶け込んだ、海賊討伐の旅から帰った者たちも和みのひと時を過ごした。
 しっかりと地上に立っている者もいる、へべれけに酔ってふらついている者もいる、互いに別れの挨拶を交わしている。手を振りながら家路にと宴の広場から去っていく、そのような風景がそこにあった。
 アエネアスは、オキテスとルドンに話しかけた。
 『話は、明日にしよう。お前たちも疲れたろう。とにかく休め。』
 『ありがとうございます。では、明朝、報告します。おやすみなさい。』
 イリオネス、パリヌルスほか5~6人がいる。挨拶を交わして、互いの寝所に向かった。