『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  194

2010-04-20 08:40:13 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 夏の朝の訪れは早い。エノスの浜では、海水浴で始まる朝の風景があった。
 アエネアスとユールス、親と子で過ごす大切なときでもある。水浴のときを一緒に過ごす、親子のスキンシップ、ユールスも喜喜として過ごす、アエネアスは親として、子に伝えるべきことをユールスに丹念に刷り込んでいった。アエネアスとしても、このひと時が至上のときでもあった。ユールスの健康状態、成長状態を把握して、未来を託す息子の智、心、技、体をアエネアスなりに丁寧に育み磨いた。
 水浴を終えた親子は、浜小屋へ足を向けた。すれ違う者たちと朝の挨拶を交わしながらの歩の運びである。その光景は、民衆の中のアエネアスであった。
 浜小屋の前では、祖父とオロンテスが話し合っている、互いの主張が同調、反発で行きつ戻りつしているようであった。
 彼らは、アエネアスと傍らに立っているユールスに気がついて、目線を二人に向けた。