彼にとって涙の語りであった。懸命に涙をこらえている姿が見て取れた。
メッキスにとって、ともに逃避行を実行した友との別れに偲びがたいものがあったことが察しられた。
オキテスは、その先を促した。
『残った者ども一同に、内陸にむかうか、はたまた、黒海方面、ビサンチンに向かうかを話しました。意見が分かれ、私の考えを尋ねてきました。『内陸か、黒海か』私は皆に言いました。ビサンチンは遠い、内陸に向かおう。と決を下しました。トロイで一緒に闘ったトラキアの者から聞いていた、『ケシャン』に行くと決めたのです。一行は、川に沿ってダキの山裾を西へ向かいました。川上に行けば、ケシャンに着くといっていたことを思い出して、川筋をたどって歩きました。途中で川筋の一本が北から流れてきていました。ここで間違えたらしいのです。川筋を北へ上流へと向かいました。二日目になって、川筋がなくなりましたが、ただ、北へを信じて歩き続けたようなわけです』
メッキスにとって、ともに逃避行を実行した友との別れに偲びがたいものがあったことが察しられた。
オキテスは、その先を促した。
『残った者ども一同に、内陸にむかうか、はたまた、黒海方面、ビサンチンに向かうかを話しました。意見が分かれ、私の考えを尋ねてきました。『内陸か、黒海か』私は皆に言いました。ビサンチンは遠い、内陸に向かおう。と決を下しました。トロイで一緒に闘ったトラキアの者から聞いていた、『ケシャン』に行くと決めたのです。一行は、川に沿ってダキの山裾を西へ向かいました。川上に行けば、ケシャンに着くといっていたことを思い出して、川筋をたどって歩きました。途中で川筋の一本が北から流れてきていました。ここで間違えたらしいのです。川筋を北へ上流へと向かいました。二日目になって、川筋がなくなりましたが、ただ、北へを信じて歩き続けたようなわけです』