『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  346

2010-11-23 08:44:51 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 二人は小についた。はひっそりしている、年老いた夫婦と思われる二人に出会った。アバスとダナンは声をかけたが、二人はおびえるようにして道端の家の軒下に身を避けた。呼びかけに答えはない、二人はそそくさと逃げた。と同時にアバスとダナンに緊張が走った。
 家の陰から、7~8人の男が農具を構えて現れ出てきた。アバスもダナンも身構えた。男たちが周りを囲む、男たちの中の屈強の一人が声をかけてきた。
 『おい!お前ら何者だ』
 ダナンが問いかけに答えた。
 『俺たち二人は、お前たちに害をなすようなものではない。俺たちはケシャンの方へ行こうと街道を歩いてきた者だ。この風体を見たら判るだろうが。しかしだ、お前たちが俺たちに害を為そうというのなら、話は別だ』
 対峙した双方の目線がスパークした。緊張が高まってくる。ダナンが大声を出した。
 『それは許さんっ!俺たちはお前らを叩き斬る、いいな。それでいいのなら、かかって来いっ!』 
 どやしつけるやいなや、背中のずた袋の中の刃も鋭利に仕上げた短めの ロムファー を手にして身構えた。
 双方の間に緊迫のときが流れた。彼らはあとじさった。何を言おうかと戸惑っている。ダナンの手にしている武器を見つめて、彼らがダナンがよそ者でないことを悟ったらしい。