『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  339

2010-11-12 09:04:42 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
アバスの背中を見送ったオキテスは、エブリジエへまでの道中のことを考えた。砦の浜からエブリジエまでは、今のキロ表示で言うと60キロ余りである。その中間地点にリブリジエがある。オキテスの考えはまとまった。
 アバスが嬉々とした表情で現れた。扮装はなかなか似合っている、干草で編み上げたずた袋をせなかにして、農家の主夫といった風情である。
 『お~お、アバス、その姿、なかなかいい。ところで武器はどこだ』
 『このずた袋の中に入れています。一振りの短めの剣と『ロムフアイア』という武器です。この武器、使い勝手がなかなかなんです。今度のアーモンドの群生地への道作りで一部の者が使っていたはずですが』
 『まあ~、見せろ』
 オキテスは、その ロムフアイア を手にとって見た。
 『使ってみなければ判らんが、なかなか鋭い刃物だな。ひと風変わった武器だな。材質は何だ、青銅ではないな』
 『え~え、それは鉄です。青銅に比べて軽い上に丈夫です』
 『お前が帰って来てからでいいから、俺の分を一振り準備してほしい』
 『判りました。これは柄の部分をいれて長さが1メートルぐらいですが、長いものになると2メートルぐらいのものもあります。トラキアの部族が使っている武器です。対手の喉を掻き斬るのにとても使いいい武器なのです』