アバスとダナン、彼ら二人は山あいの道をひたすらに歩いた。太陽は彼らを灼く、水袋の中の水も尽きた。小を出て2時間以上も歩いていた。道はコルの低い山地を遠巻きに巡って、太陽の沈み行く方向に向かっていた。
水で喉を潤したい、川のせせらぎを聞いた感じがした。二人は空耳を疑った。
程なく、道が二つに分かれている地点にさしかかった。耳にしたせせらぎの音は空耳ではなかった。右手の道は川の中に向かっている。左手の道は川の中に向かう道より、踏みならされ方が貧弱であった。二人は迷った。
『アバス、地図はどうなっている?』
『お~お、地図か、見てみる。ちょっと待て』
取り出した地図は、しみ込んだ汗でしっとりしていた。オキテスのくれた地図には川の書き込みはないが三叉路の書き込みはあった。二人は汗のしみ込んだ地図を眺めた。右手の道を行けば、その先にケシャンがある。左手の道は、山地の終わる地点で消えていた。しかし、その前方に、ケシャンから南のウブレジエに通じている道筋が太く書き込まれていた。
『まあ~、川原で少し休もうではないか。水を飲みたい、それが今の俺ののぞみだ』
『そうしよう』
二人は川原へ降りていった。
お詫びと訂正
第2章 トラキアへ 346 14行目
ロムファー を ロムフアイア と訂正いたします。
水で喉を潤したい、川のせせらぎを聞いた感じがした。二人は空耳を疑った。
程なく、道が二つに分かれている地点にさしかかった。耳にしたせせらぎの音は空耳ではなかった。右手の道は川の中に向かっている。左手の道は川の中に向かう道より、踏みならされ方が貧弱であった。二人は迷った。
『アバス、地図はどうなっている?』
『お~お、地図か、見てみる。ちょっと待て』
取り出した地図は、しみ込んだ汗でしっとりしていた。オキテスのくれた地図には川の書き込みはないが三叉路の書き込みはあった。二人は汗のしみ込んだ地図を眺めた。右手の道を行けば、その先にケシャンがある。左手の道は、山地の終わる地点で消えていた。しかし、その前方に、ケシャンから南のウブレジエに通じている道筋が太く書き込まれていた。
『まあ~、川原で少し休もうではないか。水を飲みたい、それが今の俺ののぞみだ』
『そうしよう』
二人は川原へ降りていった。

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ロムファー を ロムフアイア と訂正いたします。
