『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第6章  クレタ  78

2013-04-18 08:29:24 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 彼らの意思を確かめたイリオネスは話をつづけた。
 『では、話を続ける。毎日の生活に入用な食糧品の問題については、今日、オロンテスがキドニアの街に出向き、調査を終えている。浜頭とテカリオンとの話し合いで、いい方向にまとまると思う。次はテカリオンとの話し合いの焦点は、交易の問題である。俺の思いでは、主食の小麦を大部分とは言わないまでも、不足する部分を奴から買わねばならない事態が起こるかもしれないということだ。それを心しておいてほしい。クレタの地元産品の収穫状態によるのだが、オロンテス、今日の調査で、そのあたりの情況はどのような感じだ』
 『はい、それはですね。どうも、ここ数年に及ぶ気候の状態が思わしくないらしく地元産品の収穫量があまり芳しくないらしいと言うようなことを耳にしました。そう言ったことを地元の浜頭に質してみる必要があります。詳細の把握が必要です』
 『それは、オロンテス、お前の責任担当の領域でもあるから、よろしく頼んでおきたい』
 『では次だ。テカリオンとの話し合いは、交易の話になると思う。交易の対応は、買いではなく売りのほうだ。クレタにおける我々の生活の維持は、交易を避けてやっていけそうではないのではないかと思っている。そのあたりに目を開いて、テカリオンと話し合いを進めようと思っている。パリヌルス、オキテス、君らの考えはどうだ』
 『判りました。それについては、よく考えます。これまで、エノスにいたときに造った品々の事を質してみたりして奴と話し合います。そういったところで如何でしょうか』
 『それでいい。判った』
 イリオネスが頷いてる風情が闇を伝わってくる。暗がりで見えはしないが、彼は、かなり厳しい姿勢で、この話し合いに臨んでいることがうかがえた。