『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  306

2014-07-01 07:22:03 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 スダヌスが言う。
 『おう、判った。売れる売れないは味にある』
 オキテスも言う。
 『これは『うまそうだ』と思わせる見栄えも大事だ』
 彼らは、干し魚への想いを語った。
 彼らは、魚を干しすことによって、旨味が増すことが判りかけてきていたらしい。一同が昼食の場にやってきて座に着いた。
 『おう、パリヌルス、魚の焼ける匂い、なかなかいいではないか。生魚を焼く匂いとはどことなく違う。この匂い腹にしみるぜ!グッドグッド』
 魚の焼ける匂いが風に乗ってきて一同の鼻を突いた。各人が顔を見合わせて頷き合う風景がそこにあった。座についている各人に焼けた魚が配られていく。
 アレテスが焼きあがった魚の説明をした。座はシーンとする、彼らは説明に耳を傾けた。
 ひと塩一夜漬け2日干し、ふた塩一夜漬け2日干し、ふた塩一夜漬け半日燻し2日干しなどなど、彼らは頭を傾げ、首をタテヨコに振りながら、味の確かめをしていた。
 彼らは、ふた塩ものの干し魚の味に舌が感応している風情を見せていた。
 次に一同の手許に配られてきたのが、ふた塩一夜漬けの魚を焼いて燻したうえに1日干した魚であった。アレテスが手間をかけて造った干し魚であった。
 『ほっほう、これはこれは、変わっている』
 『これは、俺の口に合う』
 『俺も、これに馴染めそうだ』
 スダヌスが言葉を吐いた。
 『これは、旨く仕上げれば、それなりの味と日持ちで航海に持って出れる干し魚になるな。お前ら、よくぞ、これだけの干し魚を作った。俺は感服したぞ』
 彼らは、干し魚試食の昼食会を終えた。
 スダヌスは、彼のそば近くの者たちの意見をそれとなく聴取した。パリヌルス、アレテスもアヱネアスらの意見を聴いた。
 パリヌルスらは、スダヌスと大雑把に今後のスケジュールを打ち合わせた。天候に左右される干し魚の帆仕上がりに気を配っての段取りの打合せであった。
 最後に干し魚の味に関係する塩加減について打ち合わせた。日持ちさせることを考慮に入れて配慮した。
 干し魚つくりに必要とする塩については、スダヌスが手配してくれることになり、三日後にはギアスの舟艇に積んでくれることになった。
 一連の用事を終えたスダヌスは、帰途に就いた。程よい風に押されての帰り船であった。