『おう、ヨッシャ!ヨッシャ!上々の出来だ』
ドックスは満足の笑みを浮かべた。作業員の一人が彼の許へと駆けてくる。
『棟梁っ!帆が出来あがりました』
『おっ!そうか、行こう』
二人は帆のところへ向かった。ドックスは厳しい目で仕上がりを確かめた。
『横桁を帆柱に結び付けて立ててみろ!』
『はい、判りました』
作業に携わっている者たち総がかりで帆柱を立てた。それを見るドックスとパリヌルス。二人は目を合わせて頷き合った。
『おう、ドックス、いい出来だ!グッド!』パリヌルスが言う。
『では、船体に帆柱を立てます』
ドックスは青空を背にして立つ帆柱を仰ぎ見た。どう説明していいかわからない感動が胸中を通過した。
『隊長、もうこの時間です。あと小一時間、船を海上に浮かべて、舵の取り付けを行って完了です』
『おう、判った。ドックス、帆柱の先に風見の吹流しの布きれを取り付けるのを忘れるな』
『判りました』
作業は仕上げに向かって進んでいる。彼はじい~っとその風景を見つめた。彼の右手には酒の入った壺が握られていた。
彼ははっとした。
『忘れていた。これはいかん!操舵担当を決めなければ、、、』
彼は、手にしていた酒壺をドックスに託して、リナウスのいる広場へ走った。
『お~い、リナウス!』と大声をあげてリナウスを手で招きよせた。
『リナウス、頼みだ。小船の操舵を任せられる者、調査隊に同行だ。一人を選んで、俺のところへよこしてくれ。俺は浜にいる。急いでくれ、大至急だ』
『判りました』
パリヌルスは浜に戻った。
『あ~、隊長、いいところへ、タールの乾き具合を見てください。私はいいと思うのですが、、、』
彼は、タールの乾燥状態を二人で確かめた。
『おう、これで良しとしよう』
二人は、帆柱が立ちあがった小船をしげしげと見つめた。パリヌルスの胸に去来した感動は久々の感動であった。
『いいもんだな、ドックス。製作を思い立った工作物が出来上がる、そうして目にする。この感動は格別なものなのだ』
彼は『パリヌルス隊長!』と呼ぶ声を耳にした。振り返る、そこにはリナウスと選ばれた操舵の者の二人が立っていた。
『おう、リナウス、ご苦労!』
『隊長、ホーカスです。適任だと思います』
『おう、判った。リナウス、彼に用務について説明したか?』
『はい、隊長が言われたのみを伝えてあります』
『判った、ところで、ホーカスの剣の腕前は?』
『中の上といったところです』
『判った。いいだろう』
ドックスは満足の笑みを浮かべた。作業員の一人が彼の許へと駆けてくる。
『棟梁っ!帆が出来あがりました』
『おっ!そうか、行こう』
二人は帆のところへ向かった。ドックスは厳しい目で仕上がりを確かめた。
『横桁を帆柱に結び付けて立ててみろ!』
『はい、判りました』
作業に携わっている者たち総がかりで帆柱を立てた。それを見るドックスとパリヌルス。二人は目を合わせて頷き合った。
『おう、ドックス、いい出来だ!グッド!』パリヌルスが言う。
『では、船体に帆柱を立てます』
ドックスは青空を背にして立つ帆柱を仰ぎ見た。どう説明していいかわからない感動が胸中を通過した。
『隊長、もうこの時間です。あと小一時間、船を海上に浮かべて、舵の取り付けを行って完了です』
『おう、判った。ドックス、帆柱の先に風見の吹流しの布きれを取り付けるのを忘れるな』
『判りました』
作業は仕上げに向かって進んでいる。彼はじい~っとその風景を見つめた。彼の右手には酒の入った壺が握られていた。
彼ははっとした。
『忘れていた。これはいかん!操舵担当を決めなければ、、、』
彼は、手にしていた酒壺をドックスに託して、リナウスのいる広場へ走った。
『お~い、リナウス!』と大声をあげてリナウスを手で招きよせた。
『リナウス、頼みだ。小船の操舵を任せられる者、調査隊に同行だ。一人を選んで、俺のところへよこしてくれ。俺は浜にいる。急いでくれ、大至急だ』
『判りました』
パリヌルスは浜に戻った。
『あ~、隊長、いいところへ、タールの乾き具合を見てください。私はいいと思うのですが、、、』
彼は、タールの乾燥状態を二人で確かめた。
『おう、これで良しとしよう』
二人は、帆柱が立ちあがった小船をしげしげと見つめた。パリヌルスの胸に去来した感動は久々の感動であった。
『いいもんだな、ドックス。製作を思い立った工作物が出来上がる、そうして目にする。この感動は格別なものなのだ』
彼は『パリヌルス隊長!』と呼ぶ声を耳にした。振り返る、そこにはリナウスと選ばれた操舵の者の二人が立っていた。
『おう、リナウス、ご苦労!』
『隊長、ホーカスです。適任だと思います』
『おう、判った。リナウス、彼に用務について説明したか?』
『はい、隊長が言われたのみを伝えてあります』
『判った、ところで、ホーカスの剣の腕前は?』
『中の上といったところです』
『判った。いいだろう』