ドックスは、彼ら一同を見まわして声をかけた。
『ヨッシャ!者ども昼めしとするか』
昼めしにはわずかではあったが心づくしの酒も用意されていた。イリオネスの気配りであった。
オキテスが小走りに駆けてくる。
『お~い!パリヌルス。小船ができたのだな、洋上試走の姿を見ることができなかった。無念といったところだ。あッ!軍団長、こちらにおいででしたか』と言いながら、さざ波が船体を打つ、帆柱を立てた小船を見つめた。
彼は声をあげた。
『帆柱の高さがいい、バランスのいい船に仕上がっている。これなら、小さな用事に使うのに最適といったところだ。おめでとう。完成に贈る言葉だ。ところでパリヌルス、新しい鋸を買ってきたそうだな。あとからでいい見せてくれ』
『ドックスの言い分だが使い勝手が、なかなかいいということだ』
『いま、お前と俺とが計画している、方角時板、風風感知器の製作に使えそうか?』
『それを考えて、道具選びをしたわけではない。それはそれでまた考えてキドニアへ買いに行こう。集散所には、結構、道具がそろっている。最適を選ぼう。金の取れるモノづくりをせねばならんからな』
『おう、判った。ヒマを見て二人で出かけるか』
『おう、そうしよう。ところで、用材調達隊は今日帰ってくるのだな』
『そうだ。用材、モノづくりの行程、仕上がりを見極めて、道具選びをやろう』
『判った。そうする』
『あのなあ、オキテス。話がそれるが、いいか』
『おう、何だ。俺はかまわん』
『あの帆柱を立てるとき、ふと、考えた。帆柱をもうちょっと高くして、横桁をなくする、そして、三角の帆をつける。かっこのいい船ができるとな』
『俺は、それにはうなずけないな。かっこをつけて三角帆で船が走るわけはないと思っている』
『大型の船には不向きかもしれんが、軽量化と簡便になる。これは、俺の想いであって実行ではない。そういうことだ』
時代にない突飛な考えが未来を変えていく、その様な機運が起きる会話であった。二人は、とりとめもない会話を交わした。
『今日は、キドニアからの帰り船が遅くなるのではないかと思っている』
『まあ~、そう急くな。日暮れまでには間がある』
『そうだな、待つとするか』
『ヨッシャ!者ども昼めしとするか』
昼めしにはわずかではあったが心づくしの酒も用意されていた。イリオネスの気配りであった。
オキテスが小走りに駆けてくる。
『お~い!パリヌルス。小船ができたのだな、洋上試走の姿を見ることができなかった。無念といったところだ。あッ!軍団長、こちらにおいででしたか』と言いながら、さざ波が船体を打つ、帆柱を立てた小船を見つめた。
彼は声をあげた。
『帆柱の高さがいい、バランスのいい船に仕上がっている。これなら、小さな用事に使うのに最適といったところだ。おめでとう。完成に贈る言葉だ。ところでパリヌルス、新しい鋸を買ってきたそうだな。あとからでいい見せてくれ』
『ドックスの言い分だが使い勝手が、なかなかいいということだ』
『いま、お前と俺とが計画している、方角時板、風風感知器の製作に使えそうか?』
『それを考えて、道具選びをしたわけではない。それはそれでまた考えてキドニアへ買いに行こう。集散所には、結構、道具がそろっている。最適を選ぼう。金の取れるモノづくりをせねばならんからな』
『おう、判った。ヒマを見て二人で出かけるか』
『おう、そうしよう。ところで、用材調達隊は今日帰ってくるのだな』
『そうだ。用材、モノづくりの行程、仕上がりを見極めて、道具選びをやろう』
『判った。そうする』
『あのなあ、オキテス。話がそれるが、いいか』
『おう、何だ。俺はかまわん』
『あの帆柱を立てるとき、ふと、考えた。帆柱をもうちょっと高くして、横桁をなくする、そして、三角の帆をつける。かっこのいい船ができるとな』
『俺は、それにはうなずけないな。かっこをつけて三角帆で船が走るわけはないと思っている』
『大型の船には不向きかもしれんが、軽量化と簡便になる。これは、俺の想いであって実行ではない。そういうことだ』
時代にない突飛な考えが未来を変えていく、その様な機運が起きる会話であった。二人は、とりとめもない会話を交わした。
『今日は、キドニアからの帰り船が遅くなるのではないかと思っている』
『まあ~、そう急くな。日暮れまでには間がある』
『そうだな、待つとするか』