『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  315

2014-07-14 07:30:11 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おう、ドックス、帆だ!これを切り取って使ってくれ。それから、帆柱の横桁だが、、、』の問いかけにドックスは答えを返した。
 『隊長、横桁の事ですが、心配はいりません。それは、ちゃんと持ち帰っています』
 『そうか、それはよかった。帆の横幅を決めるようになったら俺を呼んでくれ』
 『判りました』
 パリヌルスは、船体改造の手配を終えてひと息ついた。オキテスが姿を見せた。
 『おう、パリヌルスご苦労!漕ぎかたの6人は決めた。操舵する者はお前が決めてくれ』
 『判った。その6人の者たちだが、明日、昼めしを終えたら、この浜に集まるようにしておいてくれ』
 『判った。船の改造の部材の準備うまくいったのか?』
 『おう、それは、うまくいった、安心してくれ。今、総動員で仕事に当たっている。タールの乾き具合を気にしている』
 『そうだな、時間的なリミットがあることだ。出たとこ勝負だな。結果云々ではないだろう』
 『そうだな、『全て順調にうまくいけ』と念じている』
 二人は肩を並べて、やや距離のあるところから船の改造作業を眺めた。パリヌルスは、作業現場の傍らに来て、ドックスに進捗状況をたづねた。
 『船体の損傷は少なかったですね。傷んでいた箇所は5箇所余り、もう修復は終えています。よく手入れされていた船ですね。船体外部のタールも塗り替えを必要としないくらいです。付着物の除去はもう終わります。今夕にはタール塗りも終わります。隊長、舵の大きさも先ほど決めた大きさがちょうどいいようです』
 『そうか、よし!判った』
 『隊長の工具、釘等の見立ての確かさが、作業をとても楽にしてくれています。これはおかげさまといったところです』
 『それはよかった』
 『特に鋸の使い勝手の良さには、目からウロコといったところです』
 『ほう、そうか。お前が言うのなら間違いのないところだ』
 二人は言葉を交わしながら、サイズを決めた舵を眺めた。
 『よし、操舵棒の長さは、これくらいでどうだ』
 『いいですね。それでやりましょう』
 舵の操舵棒の長さはすぐに決まった。ドックスは作業を、いけ、いけ、どんどん!で進めた。宵が迫るころには、船の周囲に焚き火を燃やし、塗りあげたタールの乾燥に配慮した。