『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   大7章  築砦  312

2014-07-09 07:52:21 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 イリオネスは、木札100枚を入れた袋をもってきてパリヌルスに手渡した。
 『パリヌルス、この袋には集散所で使用する木札が100枚入っている。これで足りるか足らないかはわからないが、入用なものを調達してくれ。少々の不足の場合は、オロンテスに言って、今日受け取った木札を使っていい、そのように計らってくれ』
 『判りました。ありがとうございます。私は、今からキドニアに行ってきます。船の状態チエックの事もありますので、、、』
 『判った、行って来い』
 『この時間だと、昼過ぎまでに帰ってきます。その予定です』
 パリヌルスは、浜に降りて要員を集めた。廃船の解体要員と漕ぎかた10人を集めて小島に渡った。
 小島に着いたパリヌルスは、ギョリダと打ち合わせて、解体要員を連れて廃船の在り場所へと向かった。彼は、目的に沿って船の解体要領を説明して、細かく指示を言い渡した。解体の責任者には造船要領に詳しいドックスを責任者とした。
 小島における用件を終えたパリヌルスはキドニアへと船を向かわせた。
 船上のパリヌルスは、波の状態と船体の微妙な反応、櫂操作による船の進み具合等について、念入りにチエックして、不具合のあるなしを確かめた。そのうえで帆柱の接地箇所、そして舵機構の取り付けをどのようにするかを検討した。
 キドニアの船溜まりに着いたパリヌルスは、船番役を残して集散所に向かった。集散所に着いた彼は、オロンテスにひと声をかけて用向きの売り場へと向かった。
 彼は使用目的の工具をいろいろと物色のうえ決め、使う消耗品をも求めた。イリオネスから預かって来た木札で十分に足りた。彼らは集散所を後にした。
 船溜まりに着いた彼は、空を見上げて時を確かめ、一同に呼びかけた。
 『ここでの用事は終わった。全員持ち場についてくれ。帰るぞ!』
 10本の櫂が海面を泡立てた。帰路に就いた船の船上では、パリヌルスは展帆した船の進み具合を想像した。その時、漕ぎかたの一人から声がかかった。
 『隊長!浜へ向かいますか、それとも小島へ向かいますか?』
 『おう、向かう先は小島だ』
 すかさず、櫂操作の指示を飛ばした。
 『そうだな、舵は必要不可欠のものだな』
 船は小島へと波を割った。