『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  309

2014-07-04 07:07:53 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 一同が来たことに気づいたアヱネアスは、立ち止まって顔を向けた。
 『おうおう、ご苦労、ご苦労。軍団長が旅に出る。周りが緊張する、やむを得ないことか、しかるべきことか。留守にする軍団長も留守中の事を気に掛ける。まあ~、それが集団の自然体なのかもしれん』
 アヱネアスは、一同の心情を思いやった。
 『統領、そのように思い下さって、ありがとうございます』
 イリオネスはアヱネアスの言葉に礼を述べた。アヱネアスは言葉を継いだ。
 『俺がお前らの打ち合わせに臨むことで、今、そして、明日、集団がどこに向かって歩んでいるかを知ることができる。俺の安心がそこにあるのだ』
 この言葉を聞いてイリオネスは、統領としてのアヱネアスの心情を理解した。
 『どうだ、夜気が少々寒い、中でやるか』
 『はい、そうさせていただければ幸いです』
 一同はアヱネアスの宿舎の中へと入った。雑なつくりだが、頑丈そうなテーブルを中にして一同は席に着いた。
 イリオネスが打ち合わせの開始を告げた。
 『諸君、夜分にご苦労。調査隊の編成メンバー、旅程について決めた。諸君に伝える。その上にと言ってなんだが、一同に負担を強いるようだが、軍団長としての我がままを聞いてほしい』と言って、旅程の概要を説明した。
 一同は納得した。イリオネスは話を継いで述べた。
 『その様なわけで、明日、明後日の二日間で準備を整えてほしいことがある』
 『判りました。申し付けてくださいください』
 『俺は、始めに行き帰りに使う船を舟艇をと考えた。しかし、あれでは現地住民の注意をひきつけすぎる。そのようなわけでスダヌスから借り受けた、あの船が適当と思われる。そこでパリヌルスに頼みだ。あの船に帆柱構造を施して帆をつけてほしい、それに加えて舵もつけてほしい。二日間でやれるか』
 『やれます!大丈夫です。了解しました』
 『それから、漕ぎかたの者を六人、操舵の者を一人頼みたい。人選は、オキテス、パリヌルス、君たちに任す。調査隊は三日後の未明、夜の明けきらないうちに浜を離れる。明日、メンバー全員を招集して、旅の詳細を打ち合わせる。彼らを私の許によこしてくれ。次に、オロンテス。クリテスは、もう俺の許へよこせるな。それと頼みは、旅行中の食料の事だ。パンの事だが、全日程のプラス二日分を頼む、都合、七日分くらいになるかな、よろしく頼む』