『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FIGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  868

2016-09-14 05:48:34 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ところでスダヌス浜頭、統領と軍団長だが、賊の襲撃を耳にされて、スダヌスのスオダの浜に、もし、そのような事態が発生したらと心配されて、守備隊を派遣しようかと言われている。その件について話をしたいわけだがーーー』
 『オキテス殿、なんと、そのような心使い痛み入ります。そのように言われても、どう計らったらいいものか、このスダヌス思案に戸惑います』
 『私らの方でも、指示、命令さえあればすぐに対応できるように準備を終えています。浜頭としては、どのように決断されるか、うかがってくるようにと申し付けられての話し合いです』
 『判りました。ありがたい話です。言葉に甘えるか、遠慮すべき事か、心決めかねる問題です。私としても日々の不安があるものの、どうしたらいいか解らないわけです。オキテス殿、どうしよう』
 スダヌスは、オキテスの話について返事に戸惑った。
 『スダヌス浜頭、俺の口からは、今回の厚意を受けろとは言えるが、受けるなとは言えない。明後日には、統領が新艇の引き渡しの件で、このキドニアに来ることになっているのだが、いま、俺に返事をくれるか、その時にするか、決めてくれていい』
 ここで言葉をきって、オキテスはスダヌスと目を合わせて話をつづけた。
 『浜頭、考えても見てくれ。襲ってくる奴らもバカではない。襲撃前には必ず下調べををする。集落に変な動きがないだろうな、そのあたりの感触はどうだ?それともう一つ、スオダの集落の戸数と人口はどれくらいだ?』
 『集落の者たちには、このことに関して注意をおこたらないように言ってある。今のところ、これといった連絡はない。あの入り江に住んでいる者たちのことだが、三集落、人口は200人、戸数40戸といったところだ』
 『次は、襲撃をする側に立って、スオダの浜を見てみよう。地勢立地的な見地で見れば、海賊が根拠地にするにうってつけの条件の浜であることに間違いはない。スオダの浜を狙ってくるのは、『海の民』ではなく海賊だな。この考えについてスダヌス浜頭の考えはどうだ?』
 『私の思いも、今、オキテス殿が言われた考えと一緒です。これまでに二度の襲撃を受けていますが、相手が10人程度の小さな海賊の集団でしたので、どうにか退けてきています。これが30人となると我々としては抗しがたい!そのように考えています』