『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  914

2016-11-17 05:01:06 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 浜は朝行事でざわついている、交わす言葉に元気がある、今日を生きるという気概があった。
 アヱネアスがユールスを連れてきている、イリオネス、パリヌルス、オキテスといった面々の顔がある、ドックスが建造の場の者たちと海に身を浸している、海の水が彼らの覇気で泡立つ風景がそこにあった。
 イリオネスが海から上がって浜に立っている、オキテスが来る、ヘルメスを送り出したオロンテスがやって来る、パリヌルスが頭をかしげながらイリオネスの傍らに立った。
 『おはようございます』
 『おう、おはよう。お前ら、背に荷物といった感じだな、シャキリしろ!体にへばりついているベストを脱がせてやりたいがそうはいかん。一艘奮励努力せよだ。いいな、今日の会議だが朝めしを終えたらすぐやる、場所は俺の宿舎だ。午前中に終える。確かな一歩を踏み出すには覇気がいる。ただ踏み出すだけではだめなのだ。いいな』
 『判りました』
 彼らは唱和して場を解いた。
 朝めしを終えた彼らがイリオネスの宿舎に集まってくる。
 一同が席に就く、アヱネアスが立つ、口を開く。
 『おう、諸君、おはよう。この三日間ご苦労であった。予定していた仕事を終えた。昨日も言ったようにやるべき仕事の道半ばだ。答えがどう出るかではない、目標を達成してこそ成果と言える。解るな。完遂せよ!完遂、この一語あるのみだ。軍団長、会議を開始してくれ』
 『では、諸君、会議を始める。懸案の議題は、申し渡してあるように二件である。戦闘艇建造の件、してもう一件は体技競技大会の件である。まず、戦闘艇の件だが君らの意向を問う。やるかやらないかである。やって然るべきと考えている者は手を挙げてくれ』
 イリオネスは、鋭い目線で一同と目を合わせた。一同は間をおかずに手を挙げる、アヱネアスも加えて全員挙手である。一同の意思が確認される。イリオネスが言葉を吐く。
 『この件について、その戦闘艇なるものの構想、長いとは言えない工期に建造完了の見通しについて訊ねる。この件を遂行するにあたって、建造の一切をオキテス隊長に担当してもらいたい。統領の指示があり命令と心得てもらいたい。オキテス了解してくれるな』
 『はい、解りました。了解いたします』
 『次、戦闘艇の構想及び構造設計に関してはパリヌルスが担当する。パリヌルス了解しているな』
 『はい、了解しています』