『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  920

2016-11-25 09:02:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『おっ!そうだ。ドックス、お前、このあと作業の方はどのようになっている?手がすいているかどうかということだ。今日これから、三人で俺の構想した戦闘艇の仕様諸元を図面に基づいて検討して、改めて構造設計をしたうえで関係者一同が承認して建造に取り掛かる。また、戦闘艇の納入までには日数が40日くらいと長くはない。そのようなわけで戦闘艇の建造にはしっかりした工程表に基づいて、作業を進めてこれを造りあげる。その打ち合わせをやる』
 『パリヌルス隊長。言われることがよく解りました。現在作業している新艇は、ほぼ完成しています。現場における監督はせずともいい状態です』
 『よしっ!解った。これから、今、言った戦闘艇の仕様諸元の確定と構造設計をやる。また、工程表の作成、競技大会の日までの段取りを決める。いいな』
 『解りました。私は、現場に指示をして、すぐ戻ります』
 ドックスは、新艇建造の現場向かう、彼は新艇の最終仕あげの指示を終えて、オキテスのところへ戻ってきた。
 『おう、ドックス来たか。パリヌルス始めよう。ドックス、大きめの木板を10枚くらい準備してくれ』
 『おう、これでよい。始めてくれ』
 パリヌルスは、仕様諸元を書いた木板と艇体を描いた木板をオキテスとドックスの前におく、見入るオキテスとドックス、オキテスが口を開いた。
 『ドックス、戦闘艇の仕様諸元を艇体の図面と対照して丹念に検討する、頭の中に描く戦闘艇の大きさは、新艇の大きさと比べて想像してくれ。特に検討を要する箇所は、パリヌルス、どこだ。懸念している箇所を言ってくれ』
 『おう、その箇所か。戦闘艇の全幅、艇構造の深さだ。それから、俺が気にしているのは、艇の重さだ。衝角構造で戦闘艇の重量がかなり重くなることが考えられる。また、衝角の構造にもよるのだが艇を海に浮かべたときのバランスを気にしている。それらは艇の吃水にかかわってくる。今のところ懸念しているのは、今、言った諸点だ』
 『ドックス、いま、パリヌルスの言った、彼の懸念している箇所だが、艇構造の全幅以外については全く見当もつかないくらいに難しい問題である。お前の船造りの経験から考えて見当をつけることができるか?』
 『そうですね。これは難しい問題です。ご両人、これは実験用の試作艇を必要とします。それでないと、乗り組んだ者たちの命の保証が出来ません。また、戦闘艇として使用できるか否にも関係することです』
 ドックスのこの言葉を聴いてオキテスは、パリヌルスに声をかけた。
 『パリヌルス、これは思案のしどころだぜ。そうは思わないか。俺の想い、考えたところを言わせてもらう』
 オキテスはパリヌルスと目を合わせた。