アエネアスの船団は、クレタを出航して、4日目の朝をピユロスで迎える。
スダヌス浜頭が紹介してくれたピユロスの浜を取り仕切っているトーバル浜頭は、アエネアスらに親切であった。
トーバル浜頭は、次の停泊に最適と考えられる停泊地とそこに到る航海図と知り合いの浜頭への紹介状をアエネアスに提供してくれる。
『アエネアス統領、この海岸線に沿って、1日の航海で行き着くところ辺りで停泊されるといいですな』(現在のペロポネソス半島西岸のSpiantza辺りと考えられる)と言って目を合わせる、トーバル浜頭が話し続ける。
『その辺りには、知り合いの者はいません。この紹介状の浜頭は、その行きついたところから西北にある島の浜頭です。その停泊した地点から北西方向に半日余りをかけて海を渡り、そこで一時の休息をとられたらよろしかろうと思います。これがそこに行く航海図と浜頭にあてた紹介の木板です。持参ください。航海の無事を祈ります』
『おう、浜頭殿、この親切心に沁みる。ありがとう。心から礼を言います』
アエネアスは、ピユロスを出航する際にイリオネスとパリヌルスにその紹介状と航海図の2枚の木板を渡して、航海に関する詳細について打ち合わせをする。
彼らは、航海に関して極めて慎重に対応している、航海の海域は、ギリシアはトロイ戦役の敵性の国であり、その敵性の海域を行くわけである。
彼らに幸いしたのは、このイオニア諸島の海域を北へと航海するに及んで、オデッセウスの領国であるイタケ島を除けば、彼らにとって敵性の者らがいない島なのである。
そしてこの時期、オデッセウスは、まだ、自分の領国であるイタケ島には帰還していないことである。
アエネアスの船団がピユロスの浜を出航したのは、陽の出刻を少々過ぎたころである。
今日も天候に恵まれている、航海に支障をきたす空模様ではない、海は凪ぎ状態である、船団は、穏やかな海を割って北へと進む。
一番船の船上では、今日の航海の詳細を打ち合わせている。
『パリヌルス、解ったな!』
『了解しました。沿岸との距離を適度に保って北へと進路をとっていきます』
『何かがあれば声をかけてくれ。進む海はかっての敵性の領域であり、海域だ。それを肝に据えて行け!』
『解りました』
船上では、漕ぎの律調を促す木板を打つ音が響く、漕ぎかたらが懸命に漕ぐ、船速を保って北へ北へと船団が進む。
太陽が南中する頃合いには、ペロポネソス半島の西岸南部、キバリア湾の南部に位置するキバリアの沿岸を右手に見てとれる地点に到達していた。
スダヌス浜頭が紹介してくれたピユロスの浜を取り仕切っているトーバル浜頭は、アエネアスらに親切であった。
トーバル浜頭は、次の停泊に最適と考えられる停泊地とそこに到る航海図と知り合いの浜頭への紹介状をアエネアスに提供してくれる。
『アエネアス統領、この海岸線に沿って、1日の航海で行き着くところ辺りで停泊されるといいですな』(現在のペロポネソス半島西岸のSpiantza辺りと考えられる)と言って目を合わせる、トーバル浜頭が話し続ける。
『その辺りには、知り合いの者はいません。この紹介状の浜頭は、その行きついたところから西北にある島の浜頭です。その停泊した地点から北西方向に半日余りをかけて海を渡り、そこで一時の休息をとられたらよろしかろうと思います。これがそこに行く航海図と浜頭にあてた紹介の木板です。持参ください。航海の無事を祈ります』
『おう、浜頭殿、この親切心に沁みる。ありがとう。心から礼を言います』
アエネアスは、ピユロスを出航する際にイリオネスとパリヌルスにその紹介状と航海図の2枚の木板を渡して、航海に関する詳細について打ち合わせをする。
彼らは、航海に関して極めて慎重に対応している、航海の海域は、ギリシアはトロイ戦役の敵性の国であり、その敵性の海域を行くわけである。
彼らに幸いしたのは、このイオニア諸島の海域を北へと航海するに及んで、オデッセウスの領国であるイタケ島を除けば、彼らにとって敵性の者らがいない島なのである。
そしてこの時期、オデッセウスは、まだ、自分の領国であるイタケ島には帰還していないことである。
アエネアスの船団がピユロスの浜を出航したのは、陽の出刻を少々過ぎたころである。
今日も天候に恵まれている、航海に支障をきたす空模様ではない、海は凪ぎ状態である、船団は、穏やかな海を割って北へと進む。
一番船の船上では、今日の航海の詳細を打ち合わせている。
『パリヌルス、解ったな!』
『了解しました。沿岸との距離を適度に保って北へと進路をとっていきます』
『何かがあれば声をかけてくれ。進む海はかっての敵性の領域であり、海域だ。それを肝に据えて行け!』
『解りました』
船上では、漕ぎの律調を促す木板を打つ音が響く、漕ぎかたらが懸命に漕ぐ、船速を保って北へ北へと船団が進む。
太陽が南中する頃合いには、ペロポネソス半島の西岸南部、キバリア湾の南部に位置するキバリアの沿岸を右手に見てとれる地点に到達していた。