船団の一同が寝について、いくばくかの時が流れる。
パリヌルスが気にかけた風が強まってきている、かなりの強風である。
彼は漆黒の闇の中、ざわめく波が打ち寄せる波打ち際に起つ。
海の荒れを見透かす、闇で荒れ模様の様子が鮮明に見てとることができない。
寝ていた者らが起きだしてくる、浜に居並ぶ、海を見つめる、彼らの表情が見えない、思い起こしているだろう不安を察する。
顔面を雨滴が打つ、雨を伴って風が吹きつける、雨嵐が襲い来る。
打ち寄せる波の荒れかたが暗闇ゆえに見てとれない、身の丈をこしているであろう海沖の波濤の高さを想像する。
人の見分けもつかない、軍団長の所在が解らない、浜にいるであろう統領の所在もわからない、オキテスの所在もつかめない、パリヌルスは迷う、大声をあげようか迷う、迷っていては懸念が解決しない。
パリヌルスは決断する、大声をあげる。
『軍団長!』『軍団長!』と叫ぶ、声が風に飛ぶ、雨が声を消す、声が届いたらしい。
『おうっ!ここだ!』『おうっ!ここだ!』と連呼が返る、ほど遠くないところからの声の返りである。
パリヌルスは、声の発している箇所に近づいていく、手で触れて互いを確かめあう。
『軍団長!強烈な嵐です!明朝の出航が危ぶまれます!』
『こう暗くては状況が見えん!夜明けを待とう。決断は夜明けにだ!』
『解りました』
起きだして浜に居並ぶ者らに声をかける、闇に向かって声をあげる。
『おう、雨風をしのいで休め!出航は夜が明けて、状況判断して決定する。以上だ!』
パリヌルスは連呼する、行きつ戻りつして伝える、所在の見えないオキテスが了承の返事を返す、アレテスも返答してくる。
四番船には雨風を避けて松明の灯りがある、パリヌルスが安堵して、オロンテスに趣旨を伝える。
『お前のところはいいな!風はともかくとして雨をしのぐ屋根がある。そういうことだ。よろしくな』
パリヌルスは用件を伝えて、真っ暗闇の浜をたどたどしく歩を運ぶ、なんとか一番船に戻る、眠ることなく夜明けを待つ。
ようやくにして朝が明ける、暗い朝である。
雨は止んでいる、風は、夜半の状態のままである、風は吠えている。
イリオネスとパリヌルスは、アエネアスとオキテスのいる二番船に来る、オロンテスもアレテスも申し合わせたように姿を見せる、一同が顔を合わせる。
アエネアスが一同に声をかける。
『強烈極まる風だ!沖の波濤を見ろ!身の丈ぐらいの波立ちだ。おさまりを待つ。今日は出航しない!以上だ』
イリオネスが変わって声をかける。
『船を揚陸しておいて安堵した。洋上停泊していたらと考えると身がすくむ。この幸運を喜ぼう。以上だ』
一同は、風のおさまりを待って、作業の段取りを申し合わせることにして散会した。
パリヌルスが気にかけた風が強まってきている、かなりの強風である。
彼は漆黒の闇の中、ざわめく波が打ち寄せる波打ち際に起つ。
海の荒れを見透かす、闇で荒れ模様の様子が鮮明に見てとることができない。
寝ていた者らが起きだしてくる、浜に居並ぶ、海を見つめる、彼らの表情が見えない、思い起こしているだろう不安を察する。
顔面を雨滴が打つ、雨を伴って風が吹きつける、雨嵐が襲い来る。
打ち寄せる波の荒れかたが暗闇ゆえに見てとれない、身の丈をこしているであろう海沖の波濤の高さを想像する。
人の見分けもつかない、軍団長の所在が解らない、浜にいるであろう統領の所在もわからない、オキテスの所在もつかめない、パリヌルスは迷う、大声をあげようか迷う、迷っていては懸念が解決しない。
パリヌルスは決断する、大声をあげる。
『軍団長!』『軍団長!』と叫ぶ、声が風に飛ぶ、雨が声を消す、声が届いたらしい。
『おうっ!ここだ!』『おうっ!ここだ!』と連呼が返る、ほど遠くないところからの声の返りである。
パリヌルスは、声の発している箇所に近づいていく、手で触れて互いを確かめあう。
『軍団長!強烈な嵐です!明朝の出航が危ぶまれます!』
『こう暗くては状況が見えん!夜明けを待とう。決断は夜明けにだ!』
『解りました』
起きだして浜に居並ぶ者らに声をかける、闇に向かって声をあげる。
『おう、雨風をしのいで休め!出航は夜が明けて、状況判断して決定する。以上だ!』
パリヌルスは連呼する、行きつ戻りつして伝える、所在の見えないオキテスが了承の返事を返す、アレテスも返答してくる。
四番船には雨風を避けて松明の灯りがある、パリヌルスが安堵して、オロンテスに趣旨を伝える。
『お前のところはいいな!風はともかくとして雨をしのぐ屋根がある。そういうことだ。よろしくな』
パリヌルスは用件を伝えて、真っ暗闇の浜をたどたどしく歩を運ぶ、なんとか一番船に戻る、眠ることなく夜明けを待つ。
ようやくにして朝が明ける、暗い朝である。
雨は止んでいる、風は、夜半の状態のままである、風は吠えている。
イリオネスとパリヌルスは、アエネアスとオキテスのいる二番船に来る、オロンテスもアレテスも申し合わせたように姿を見せる、一同が顔を合わせる。
アエネアスが一同に声をかける。
『強烈極まる風だ!沖の波濤を見ろ!身の丈ぐらいの波立ちだ。おさまりを待つ。今日は出航しない!以上だ』
イリオネスが変わって声をかける。
『船を揚陸しておいて安堵した。洋上停泊していたらと考えると身がすくむ。この幸運を喜ぼう。以上だ』
一同は、風のおさまりを待って、作業の段取りを申し合わせることにして散会した。