伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

代表質問の原稿です。興味があればどうぞ

2013年03月11日 | 市議会
 きのう代表質問の主な内容をアップしましたが、項目だけではどんな立場で質問したのかいまいち分からないので、質問の原稿をそのままアップしました。

 ただ原稿を読み上げながら訂正した箇所もありますので、100%そのままではありません。

代表質問

 24番、日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。昨年12月の総選挙で、民主党政権に代わって自民党と公明党の連立による安倍政権が発足しました。

1.TPP交渉参加について

(1)TPP交渉参加に対する現時点での考えについて

 この安倍政権は先の訪米でオバマ大統領と会談し、「聖域なき関税撤廃が前提ではない」ことが確認されたとしてTPP交渉参加を約束し、TPP交渉参加に向けた動きを強めています。早ければ2月28日の施政方針演説に、参加表明を盛り込む準備もされたと報道されており、それだけ参加を急いでいるという状況にあるようです。

 確かに発表されたTPPに関する共同声明では、「一方的にすべての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」としています。しかし、「包括的で高い水準の協定を達成していくことになることを確認する」「TPPの高い水準を満たすことについて作業を完了する」という表現が盛り込まれ、より高い水準で関税や商慣行などの非関税障壁を取り払うことをすすめる声明となっています。

 TPP協議は農業分野にとどまらず、医療、保険、公共事業等々、幅広い分野が交渉対象となっています。「非関税障壁」撤廃の名のもとにアメリカ型の「市場原理」が最優先され、国民皆保険制度など日本の進んだ制度が大きく崩されるほか、多くの産業が危機にさらされるとともに、日本人の雇用も不安定になる危険性をはらんでいるものです。

 今回の安倍首相とオバマ大統領の会談において、自民党のTPPに関する政権公約である6項目のうち、国民皆保険を守る、食の安全・安心を守るなど5項目を棚上げとしたままとしていることもあり、国民・市民の危惧が全く変わらないことから、JAや漁業者、そして医療者などからTPP交渉参加反対の声が上がっています。

ア 安倍首相はTPP交渉参加について、聖域なき関税撤廃が前提ではないことが確認されたとして交渉参加をなるべく早い段階で決断することにしたとされています。
 国民的合意のない現時点でのTPP交渉参加に反対を表明すべきと考えますが、市長はどのように考えていますか。

イ 同じく農業者を代表する農業委員会としてはどのように考えているのか、お伺いいたします。


2.市長の公約等の実施状況について

 次に市長の公約等の実施状況などについてうかがいます。

(1)市長選挙でかかげた公約について

 3年6か月前の市長選挙で市長は、「改革・実行、待ったなし。いわき市を変える」とスローガンをかかげ、①安全安心のまちづくり、②産業に魅力あるまちづくり、③行政効率一番のまちづくり、④新エネルギー活用のまちづくり、⑤人がいきいき輝くまちづくり、⑥未来を担うまちづくり―の「六カ条」で、「幸せを感じるまちづくり」を市民と約束しました。

 その後、東日本大震災と原発事故という未曽有の災害を前に、市民が幸せを感じるまちづくりの前に、復旧・復興で以前のまちの姿を取り戻すという重大かつ緊急な事態が生まれ、市長の任期の多くは、未曽有の災害からの復旧・復興の取り組みとならざるを得ませんでした。

 国会では、先の民主党政権が普天間基地の県外移設という約束を違えたことを皮切りに、鳴り物入りの子ども手当は公約額の半分で実施しかつ自民・公明との協議の中で子ども手当から児童手当的なものに変えてしまった、さらに製造業への派遣労働や登録型派遣の禁止など労働者を保護する公約も自民・公明との協議の中で投げ出したことなどの公約違反があり、さらに震災・原発事故後の対応への国民的不信が重なり、昨年12月の総選挙で歴史的大敗北を喫し下野する結果になりました。有権者と政党・政治家が交わした公約の重みを自覚しなければならないと、あらためて肝に銘じました。

 さて、行政の執行者であり、自らの考えを市政のかじ取りに活かす立場の市長が市民のみなさんと約束した公約はより重いものがあると思います。

ア 「幸せ感じるまちづくり」とした市長の市民への約束にはどのように取り組まれてきたのでしょうか。

イ そして公約の到達状況は、どのようになっているのかお伺いします。

(2)今後の本市の課題について

 市長が当選されてから2度目の予算編成を提案したその時、東日本大震災と原発事故に見舞われ、この未曽有の災害からの復旧と復興に取り組まざるを得ない状況に置かれました。そして3度目の予算編成は災害復旧・復興を中心に予算編成を行い、今回4回目の予算編成となります。

 震災の影響は比較的短時間のうちに災害を克服する道筋をつけることができますが、一方で、原発事故により飛散し、本市を汚染した放射性物質は長期にわたって本市及び市民生活に影響を及ぼし続けることが想定される中で、「幸せを感じるまちづくり」に向けて本市は、どのように取り組んでいくのでしょうか。

ア 市長の公約実現に向けた取り組みの総括に立って、今後の本市の課題をどうとらえているのか、お伺いします。

(3)来年度予算に反映した市長の考え方について

 こうした市長の問題意識は当然、来年度の予算編成に活かされていると思います。
新春の市長所管では新年度を「復興事業元年」と位置づけて、①安全安心の推進②津波被災地の復興③小名浜港周辺地域の復興④産業の復興再生と集積等⑤再生を見据えたまちづくりの推進、という5つの柱での事業展開を打ち出しました。

 震災・原発事故から本市を立て直し「幸せを感じるまちづくり」を進めるにあたって、大切な課題となってくると思います。同時にここで気にかかるのが、直接暮らしを支える施策を展開するのか、という点です。

 安倍政権は新年度予算で、年金額の削減を予算に反映させ、また税金の控除や地域最賃など国会答弁でも38項目に影響が及ぶなど多くの国民生活にマイナスの影響となる生活保護での生活扶助費の引き下げなど、社会保障分野での引き下げをすすめようとしています。

 この影響が市民生活にどのように及ぶのか。派遣労働者だったある若者は所得の低さをなげくと同時に、「契約社員になったが、来年も契約が更新されるのかに不安がある上、派遣労働者には直接雇用になったことに対する羨望と嫉妬、社員からは社員でないことでの蔑視を感じ、板挟みになってきつい」と現状と将来への不安を話していました。

 こうした状況の中で、安倍政権がすすもうとする生活扶助費の削減や年金額の削減など社会保障の諸施策を後退させる道は、この施策が影響を与える諸施策も含めて広範な市民生活に苦難と困難を押し付け、市長が掲げてきた「幸せを感じるまち」と逆行する事態を作り出すことは明らかです。

ア 生活扶助費の削減が見込まれている中で、来年度予算案では、市民生活を支えるための施策をどう展開しているのでしょうか。

(4)国の公共投資拡大を受けた本市の取り組みについて

 国の新年度予算案及び補正予算では、「三本の矢」を唱え、金融緩和、財政出動、成長戦略をすすめることでデフレを打開していく政策をかかげました。アベノミクスと呼ばれるこの政策には、一方で「折れた三本の矢」と批判があるように、過去に試されて失敗をきたした政策でありデフレの打開につながらないという批判があり、国民生活を潤すどころか、国民の暮らしに大打撃となりかねないものです。

 仮に物価が上昇して、企業の業績がよくなったとしても、国民の賃金引上げがすすまず、年金額も減少するという状況の中では、その分、国民生活は切迫したものになります。加えてこのデフレ対策は2014年・平成26年4月に行う予定の8%への消費税増税の条件整備にすぎないとも言われており、国民の暮らしに大打撃となり、景気を冷やす効果しかないなどという批判があります。

 このアベノミクスの第2の矢である財政出動では、社会保障関係費の伸びを抑制し生活扶助では3年間で670億円の減額を行う一方、公共事業を拡大する政策がとられました。新年度予算では2012年度よりも7119億円増額し、補正予算と合わせると約7兆7300億円の増額となっています。

 問題は拡大した公共事業費がどこに向かうかです。政府補正予算案を見ると、その中身の第1の柱を「事前防災・減災等」としてインフラの老朽化対策をすすめます。しかし、その看板の陰には、例えば「全国ミッシングリンクの整備」という項目が埋め込まれ、従来は「産業の国際競争力強化のために必要」と理由付けされてきた高規格幹線道路の整備の看板を「防災」の看板に架け替えて実施するなどの予算624億円が計上されています。

 また、第2の柱となる「成長による富の創出」には「基幹的交通インフラ等の整備推進」と称して、大都市圏環状道路や拠点空港・港湾へのアクセス道路などの「物流ネットワークの整備」に637億円をあてるなど1053億円の予算が計上されるなど、かつて見直されてきた不要不急の事業予算が盛り込まれています。

 同時に地方自治体向け予算にも、新規事業に誘導する仕組みが持ち込まれています。この第2の柱には「社会資本整備総合交付金」2465億円が計上されています。これは新規の事業を対象とした交付金となっています。また新たに「地域経済化活性化・雇用創出臨時金」いわゆる「地域の元気臨時交付金」が創設されました。これは補助事業や直轄事業に充当できず、法律で補助率が定まっていない事業や地方単独事業などに充当することになっているため、地方に新たに公共事業の拡大を誘導するものとなっています。

 むやみに新たな公共事業を拡大すれば地方財政を圧迫し、市民生活を圧迫することになることは明らかです。ましてや新規の事業の立ち上げで、新しい施設を持つなどとことになれば、先ごろ公表された「新・いわき市総合計画実施計画」で「公共施設全体の適正化方針」の策定を掲げた、その趣旨にも反することになります。

 そこで政府の補正予算と新年度予算の公共投資拡大を柱にする第2の矢を受けて、今後の本市が行う公共事業への対応を伺います。

ア 今後、本市の公共事業については、どのような観点から取り組んでいく考えでしょうか。

(5)被災者・市民に役立つ予算の積極的な活用について

 国の新年度予算案・補正予算は全て問題があるというわけではありません。例えば補正予算には復興予算の新たな措置として津波被災者の定着のための震災復興特別交付税の加算1074億円が計上されています。

 この予算は、津波で住宅が全開した被災者が自治体内の他の地域や、自治体が造成する高台に移転する場合などに、移転経費などを支援するなどの事業に使えるようにするものとされています。こうした予算は積極的に活用して、被災者の生活再建に資することが求められています。

ア この震災復興特別交付税の活用について、本市はどのような考えをもってのぞむのか伺います。

 安倍政権のもとでの金融緩和、財政出動、そして成長戦略という三本の矢は一時しのぎにすぎません。株価が上がったなどの歓迎の声があるものの、その内実は国際的な投資家による投資が集中した一種のバブルにすぎないという批判も出る内容です。

 こうした中で本市が公共事業を行う際には、市民生活を支えるために必要な事業に役立つ財源、制度は積極的に活用しながらも、将来の財政を見据えて事業そのものは精査し、決定していくという対応が求められると思います。
 事業を選択する際、避難的な視線から検討し、活用していくという姿勢をもって、国の補正予算と新年度予算に対応していただくことを心からお願いします。

3.原発事故への対応について

(1)一律の損害賠償の期間延長を求めることについて

 次に原発事故への対応について伺います。
 東京電力は、いわき市民をはじめとした県内23市町村に一律に行う損害賠償は2011年3月11日から同年4月22日までの間だけで、その後については個別に損害賠償請求を行うよう求めています。

 その理由を東電は、原子力損害紛争審査会が出した中間指針に示された損害賠償の期間が「事故当初」とされるだけで明確な定めはないため、屋内退避措置が解除された時期などを基準としながら線を引き、東電独自に4月22日までを一律の損害賠償期間としたとしています。

 もともと損害賠償の対象になっていなかった本市が対象地域に組み込まれたのは、不公平な損害賠償のあり方に対する被災者・市民の批判と本市及び本市議会などが一丸となって損害賠償を求める声を上げた結果であることは間違いありません。一方で、これを受けて東電が引いた4月22日という一律損害賠償期間は、市民の精神的損害の実情を考えれば、あまりにも短すぎます。

こうした中で東電の責任を問い、謝罪と損害賠償の拡大を求める訴訟が3月11日に提示されようとしています。

ア 市民運動として原発事故の収束まで損害賠償を求める裁判がはじまろうとしていますが、こうした市民の自主的な動きを市長はどのようにとらえていますか。

イ また、東電の一律損害賠償の期間の延長を求めることについて、どのようにお考えですか。

 裁判は、単に損害賠償額に不服だという物ではありません。
 一律の損害賠償がこの短期間で終わってしまうことに加え、同じ被災者にもかかわらず賠償額も含めて大きな隔たりがあります。避難区域等にはなっていないとしても、同じように放射性物質による不安と損害も受けながら、なぜこの程度の賠償に終わってしまうのか。この格差に憤りをもっているわけです。

 同時に事故原因を人災と認めず、県内の原発を全部廃炉にすることについても、未だに態度を明確にせず、場合によっては稼働を狙うよにも見える、そして賠償の在り方にもあまりにも理不尽な扱いではないかと、市民は憤っています。

 事故の原因を人災と認めない東電が、市民に心からの謝罪をせず、その結果、損害賠償や事故の収束作業でも、その持てる責任をしっかり果たしていません。この被災者の願いにこたえていないという現実がある中で、東電に心からの謝罪を求めること、その謝罪の上に立って当然、県内の原発の廃炉を求めると同時に、原子力エネルギーに頼らない国めざして着実に前進させていこうという裁判です。

 原子力エネルギーに頼らない社会実現と、内容に少し違いはありますが、東電に適正な賠償の実施を求めている本市としても、この市民の裁判を注目し、暖かい目で見守っていただきたいと思います。

(2)鮫川村の焼却実証事業に学んでの原発事故対応での本市の基本的な姿勢について

 次に鮫川村の焼却実証事業にかかわって質問いたします。

 本市議会においては、昨年の暮れに突然浮上したこの問題は、原子力災害への対策事業を行う場合、行政としてどういう姿勢で臨むのか教える、教訓を提示していると思います。私たち日本共産党市議団は、昨年11月定例会最終日にこの問題にかかわる2本の決議案が提案された際、原子力事故の対応にかかわりからしっかり説明をすることが無用な混乱を避けるとの立場から環境省と鮫川村に説明を求めるよう主張しました。

 その際、積極的な取り組みの事例として本市の清掃センターで災害がれきの焼却事業をすすめる前段の取り組みをあげましたが、これは本市ばかりではありません。県北地方のある町でも震災後に放射性物質に関する広報を強めた結果、その理解が広がり、除染した汚染物の仮置き場の設置などがスムーズにすすんだという事例も聞いております。

 そこであたらためて確認をしたいと思います。

ア 原発事故に対応する事業をすすめる際の本市の対応の基本姿勢として、鮫川村における焼却実証事業に何を学び、今後の本市の取り組みにどう活かしていく考えがあるのか伺います。

 報道によりますと2月23日に鮫川村で開かれた建設地周辺の鮫川村民の説明会で、鮫川村長は、村の復興に除染は欠かせないため汚染物の減容化は必要なものの、地域住民の不安を払しょくできていないことから環境省とともに説明会を開き、粘り強く理解を求めていきたいとしました。そして地域の理解が得られるまで建設工事を再開しない考えを示したとされています。

 事業は足踏み状態になっていますが、断念したということではないので、引き続きいわき市民に対する説明も必要な状況に変わりはありません。

イ 鮫川村の焼却実証事業について、市民にしっかり説明をしていただく上で本市としては今後どのように取り組んでいく考えですか。

(3)東電への対応について

 次に東電への対応です。
 東電が原子力規制委員会で、第一原発で溜まり続ける汚染水を多核種除去装置で処理した上で、処理水を海洋放流する考えを示したと報道されました。このことについては市議会の東日本大震災復興特別委員会に東電の出席をいただき、復興の状況について説明を求めました。

 東電は第一原発の復旧作業の現状を説明するとともに、処理水の放流については①地下水流入抑制②汚染水処理③処理水の陸上保管などにしっかり取り組んだ上での実施であり、現時点での放流を考えていないことを説明しました。また、放流を実施しなければならなくなった際も、関係省庁や市町村の了解なくしては行わないし、漁業者にもしっかり説明をしていきたいと釈明しました。

 今回のこの問題のように、今後も第一原発の復旧作業の過程では、市民の不安を掻き立てたり、周辺の住民に影響が及びかねない事態が次々とやってくることが想定されます。その際、本市としてどのような姿勢でのぞむのかが問われてきます。

ア 現時点では具体的なものではないものの、原子力規制委員会で処理水の海洋放流が、溜まり続ける汚染水対策の一つとされていることに、本市としてどのような考えをお持ちですか。

イ 今後も長期間にわたって、このような住民生活に影響を及ぼす事態が繰り返されることが想定される中で、本市はどのような姿勢で対応していくのか、伺います。

(4)除染作業の取り組みについて

 拡散し地域を汚染した放射性物質が存在するもとで、生活環境から放射性物質を遠ざける、あるいは放射線を遮蔽する措置を講じて放射線量を低減させ、安全の確保と安心を高めるために欠かせない事業です。
 国は除染を直轄で行う除染特別地域と市町村が実施する除染実施区域に分け、本市が該当する除染実施区域では、年間の追加被ばく線量を年間1mSvより小さくすることを、目標しています。

ア 本市における面的除染は、いわき市除染実施計画第1版では、2012年度・平成24年度から2014年度の間に実施することが想定されていますが、現時点の除染作業の進捗状況はどのようになっているでしょうか。

 本市は避難者へのアンケートを行っています。このアンケートでは、自主避難をしている市民のみなさんが、本市に帰ってくるための課題として、住居や就職先の確保を上げる市民が前回調査より増えていることから、本市に帰る希望を持つ方も増えながら、一方では、事故収束あるいは放射線による健康不安を持っている姿も浮き彫りになっています。

 以前、本市から自主避難をしているお母さん方から、本市に帰る時期について除染を終えた時点と考えていることを聞いており、除染の促進は安心して暮らすことができるいわき市を創出する上で大切な課題になっていると思います。

イ この間の除染の取り組みから、除染を促進する上でどのような課題があると考えているのでしょうか。

 除染への着手が広がる中で、国直轄事業で働く除染作業員に特殊勤務手当、いわゆる危険手当が事業委託の多重構造の中間で抜き取られ、労働者に支給されない、あるいは支給されても少額にとどまるなどの問題が浮き彫りになっています。こうした問題を解決していくことは、除染作業員を確保し、除染を促進する上で欠かせない課題です。

 同時に地方自治体発注分の除染作業での労働条件はどのようになっているのでしょうか。

ウ 本市が発注する除染作業で、作業員確保の際の賃金、手当をはじめとした労働条件はどのようになっているでしょうか。

エ 自治体発注の除染作業員への特殊勤務手当を制度化するよう求める必要をどのようにとらえていますか。

(5)体内被曝の測定の取り組みについて

 次に体内被曝の取り組みの現状についてうかがいます。

 この間、体内被曝の検査が進んでまいりました。原発事故から2年かかっても終わらない現状には、「早く測定してほしい」と不満の声も聞かれますが、一方では、原発は過酷な事故を起こさないと原子力に頼るエネルギー政策を進めて、事故に対する対応策も十分とってこなかった歴代の政府の問題を指摘せざるを得ません。

 体内被曝の検査は市民の健康を守っていく上でも大切な取り組みですが、これまでの実施状況と今後のと陸などについて伺います。

ア ホールボディカウンターによる検査の実施状況はどのようになっているのでしょうか。また、測定の結果はどのような傾向にあるでしょうか。

イ 汚染された状況にある中では、体内被曝の状況について継続的に測定することが求められますが、子ども達の測定については、一巡以降はどのように取り組む考えですか。

また、子供以外にもホールボディーカウンターによる体内被曝量の測定を求める声は根強くありますが、測定対象の拡大についてはどのように考えていますか。

ウ 本市では甲状腺の先行検査が行われていますが、その結果はどのようになっているでしょうか。また、次年度に行われる本市の甲状腺検査の時期とどのように周知が行われるのでしょうか。

4 本市の教育のあり方と教育をめぐる諸問題への取り組みについて
大津市で起こった中学生のいじめ・自殺事件は、いじめへの対応が放置されたり、また、事件が公になって以降の学校や教育委員会の対応の問題もあり、大きな社会問題になりました。

 本市でも1985年に不幸ないじめ・自殺事件がありました。こうしたことを繰り返さないために、今回の事件を契機に、いじめ自殺を起こさないために、どんな取り組みを進めていけば良いのかが問われていると思います。

 先日、東京都で20代の女性が10代の少年2人に刺されて金品を奪われ死亡する事件が発生しました。なぜ刺したのか。刺せば簡単にお金を奪えるということが理由だという報道がありました。聞いていた報道番組では、厳罰が必要だという声に対して、少年事件を多数取材したというコメンテーターは、少年犯罪は保護者や社会のあり方と関連して考えなければなりませんとコメントしました。

 日本共産党中央委員会もこれと同様の提案をしています。今日のいじめ問題に取り組むべき課題として、一つには、いじめが発生した際の対応の原則と教育環境の整備をすすめることを内容とするいじめから子どもの命を守ることと、二つ目に子ども達がいじめに走るおおもとにある子どもたちのストレスをなくしていくために教育と社会の在り方を抜本的に変えていくことを内容とする提案を公表し、子供の命を守り、いじめ問題解決することを呼びかけています。

 こうした立場から本市の教育の諸問題について伺っていきたいと思います。

(1)本市の教育の基本目標達成に向けた取り組みについて
 まず本市の教育の基本目標達成に向けた取り組みについてですが、いわきの教育の基本目標は、① 困難を乗り越え、自立して社会を生き抜く人材づくり、②いわきを支え、日本を支え、未来へ飛躍する人材づくり―とされていますが、

ア この達成に向けてどのような取り組みをすすめる考えでしょうか。

イ 新年度予算案では、どのような取り組みが盛り込まれているでしょうか。

(2)いじめの原因と本市の教育のあり方について

 次にいじめの原因などについて伺います。本市議会では、このいじめの問題について様々な角度から論じられてきました。最近でも2010年12月定例会ではいじめの発生状況と本市の対応について取り上げられ、また2012年6月定例会ではいじめを克服していく上で教員が子ども達に向き合う時間を確保してゆとりを持って教育できる環境づくりを求める議論がされ、さらにいじめに対する本市の対応を議論されてまいりました。

 そこであらためての質問とはなりますが、まず、

ア いじめの認知件数はどのように推移しているでしょうか。伺います。

イ また、いじめの特徴はどのようになっているのか。お答えいただきたいと思います。

 さて大津市のいじめ・自殺事件では、大津市が有識者による第三者会議を設置し、この問題の全容解明を行いました。この報告書のうち、こうした痛ましい事件を繰り返さないための提言部分が公表されています。

ウ この提言は、「いじめ半減」などの数値目標を持たないこと、教員評価はやめること、いじめ問題の位置づけを生徒指導の問題にわい小化しない―――などがいじめ克服に大切としています。本市のいじめの対応への基本的考え方はどのようなものでしょうか。

エ また、大津事件を受けて、本市ではどのような対応をしたのか、お答えください。


(3)体罰の現状と体罰をなくすることについて

 次にこの間、社会問題となりました。体罰の問題について伺います。

 大阪の高校部活動にかかわり、顧問教師から体罰を受けた生徒が自ら命を絶ったことから、体罰の問題がクローズアップされました。このことを契機にマスコミなどでも、体罰を是とするのか、非とするのか様々な議論がされております。しかし、決して許されるものではありません。そこでまず


ア 体罰についてどのように認識しておられるのか伺います。

 この体罰問題が問題化する中で、文科省は「体罰禁止の徹底および体罰に係る実態把握について」という文書を発送し、体罰の実態について、それぞれの教育委員会等が主体的に把握することを求め依頼文書を発しました。

イ 本市でも体罰に関するアンケート調査を行っていると仄聞しますが、どのような調査で、その結果はどのようになっているでしょうか。また、調査の結果をどのように活用するお考えでしょうか。

 この文科省の依頼文書でも、いかなる場合にも児童生徒への指導で殴るける等の身体に対する侵害や肉体的苦痛を与える懲戒などの体罰を行ってはならず、部活動の指導でも、いわゆる勝利至上主義に偏り、体罰を厳しい指導として正当化することは誤りであるという認識を持たなければならないと厳しく指摘し、体罰に関する厳正な対応と、保護者が体罰の訴えや教員等との関係の悩みを相談できる体制を整備することを求めています。

ウ 今後、本市としては体罰をなくするための取り組みをどのようにすすめるお考えでしょうか、伺います。

(4) スチューデント・シティとファイナンス・パークについて

 次に2014年度、平成26年度から事業の開始をめざして整備されようとしているスチューデント・シティーとファイナンス・パークについて伺います。

 スチューデント・シティーは、小学5年生を対象に、事前学習8時間、体験学習6時間、事後学習1時間、合計15時間をかけて、勉強と擬似体験を通じて「買い手から見た売り手」あるいは「売り手からみた買い手」の役割を習得し、これらの体験を通じて「人は仕事を通じてお互いに助けあって生きている」という共存者の基本を学び、責任ある市民の自覚と責任を促す――とされています。

 また、ファイナンス・パークは、中学2年生を対象に、事前8時間、体験6時間、事後1時間、合計15時間で「生きることや生活設計」を学ぶ体験型経済教育プログラム、とされています。

 生きることを学ぶということを考えてみれば、働いて賃金を得ること、そして消費をすることはもちろんありますが、これに加えて働くためのルールを定めた法律と仕組みがあること、そしてそのルールと仕組みが働く人を守る役割を果たしていくことも合わせて知ることが大切だと思います。

 経済問題を学ぶ場合には、この点も今後の議論が待たれます。学ぶ中身の理解と合意を得る議論ないままに、カタールフレンド基金の対象事業に選定されたことから、施設そのものの建設はすすむという状況にあるわけです。

 私は先だって京都市が運営する「京都まなびの街 生き方探究館」で同事業の実施状況を視察してきました。そこで印象に残ったのが、この事業を視察に来た自治体が実施できないのはボランティアに対する報奨をはじめとした予算を獲得できないことが原因で、必ず予算をつける必要があると強調されたことでした。

 そこで本市ではこの施設をどのような形で運用していく考えなのか、その一部を質問していきたいと思います。まず大切なのが教員・学校との理解と合意をどう広げるかという問題です。京都市の場合、この学習プログラムは総合学習の時間に位置付けられている場合が多いと聞きました。本市でも実施するとなれば新たに何らかの形で学校の年間スケジュールに入ることになりますので、実施の上では

ア 教員・学校との理解と合意のもとにすすめることが大切になると思います。そのための取り組みをどのようにすすめる考えでしょうか。伺います。

 そして新たに施設を運営することになり、かつこのプログラムを導入するにあたっては、施設の維持・管理や委托経費のための費用も必要になるでしょう。

イ 施設の運営にあたって必要な経費はどの程度が見込まれるのか。伺います。

 こうした新たな施設にかかわる予算が、従前の教育予算を圧迫することがあってはならないと思います。いま校舎や屋内運動場の耐震化が進められており、これによって教育予算が膨らんで見えますが、日常の学校運営のための教育予算が不足しているという声をよく聴きます。さらに遠足の交通費、修学旅行をはじめ様々な校外活動に要する経費は保護者の負担で行われており、新たな事業の開始が、こうした負担を増やしていくことになれば問題があると思います。

 現在、希望する学校は、品川にあるスチューデント・シティーとファイナンス・パークでの体験を行っていますが、その費用については保護者負担になっていると聞いております。いわき市で同施設を運用する場合、

ウ 施設活用時の子ども達の交通費に対する予算措置はどう考えるのか。伺います。

 もう一つは、この施設の運営がボランティアに支えられることを前提に進められているという点です。例えばスチューデント・シティーでは擬似的な商店や会社を運営する際の指導や見守りを行うのは、その商店等を整備した会社・企業からのボランティアであり、登録した市民ボランティアです。また、ボランティアが不足する場合には保護者によるボランティアにも入ってもらうようです。

 京都市の場合、こうしたボランティアには、十分な報酬とは言えませんが、交通費分として市営バスあるいは市営地下鉄を利用できる1000円分の利用券を支給し、ボランティア活動に対する謝礼に代えているといいます。

エ ボランティアへの一定の費用保障を予算化することについて、どのように考えているのかお伺いします。

 子どもの生きる力を育むことを目的とした事業ですので、教育の現場でも、また市民的な場でも、賛同と合意を得ながら進むことが大切だと思います。そうした取り組みをはかることをお願いして次の質問に移ります。

(5)全国学力・学習状況調査について

 全国学力・学習状況調査についてです。

 この問題は、これまでも幾度か本議場で取り上げ、このテストでより良い結果を出すために学校間に過度な競争を生み出しかねず、点数をあげるために様々なゆがみを教育現場に生み出しかねないことを指摘し、実施しないよう求めてきました。

 その後、民主党政権に代わり、それまでの悉皆調査、すなわち対象になる全校が参加する調査方法から抽出調査に変わりました。抽出でも25%程度の参加と大きな数ではありましたが、いずれにしても子どもの傾向を知り、それを教育に活かすという観点から見れば、十分な調査方法に変更されました。ただ悉皆調査も行うことが方針でしたので、今回、たまたまその悉皆調査になったのか、それとも政権が変わったことで今後悉皆調査になるのか分かりませんが、いずれにせよ来年度は悉皆調査を行うこととされています。

ア 全国学力・学習状況調査が4年ぶりに悉皆調査として行われます。その目的はどのような内容でしょうか。

 この調査は実施がされてから年数を重ねていますが、聞くところによりますと、全国学力テストの前の年、小学5年生と中学2年生では福島県独自の学力テストが行われ、これが全国学力テストに向けた一つの準備となっているという批判があることを聞きました。この調査が子供の到達状況を知って、子どもたちの学びを深めるために活用されるのではなくて、全国的な順位を上げるための比較の材料とされるようになるならば、問題があります。

 テストが悪いと言っているのではありません。子どもたちの到達状況を知るために必要なテストももちろんあるでしょう。しかし、それは日常的に教員たちが行うテストによって掌握されているはずですし、その結果は日常的に子ども達の指導に活かされているはずです。そこに重ねてテストを行うことが、子どもと教員の負担とをいたずらに増やすだけになってしまいかねないという点、そして全国的なテストの中で、都道府県単位の序列化、市町村単位の序列化、そして学校ごとの序列化が出来上がり、その序列を引き上げるためにテストで良い点数を取るためことに、教員の手が奪われるようになりかねない問題があります。

 しかも現状でも、指定された学校には定着確認シートを記入し報告することが求められると聞いています。こうして増える事務的な仕事に教員が時間を奪われ、子ども達と向き合う時間を削り取られかねないという問題も発生しているようです。

イ 全国学力・学習状況調査の実施で事務処理作業が増え、子どもたちに向き合う時間が削られるという教育現場にある声を、どのように考えますか。


 全国学力・学習状況調査が子ども達と先生方向きあう時間を奪っているとするなら、しかもその調査が、点数をあげ、学校の評価をあげるための調査になっているならば、問題があります。

 国が指導する調査ではありますが、本市としてもこの調査について見解を深め、国に中止を含めて意見をしていくことが大切になっていると思います。

 以上、質問して参りましたが、子どもたちが生き生きと学び生活できる教育環境が育まれ、同時に震災・原発事故のもとでも安全・安心を実感できるいわき市を取り戻せるよう期待しながら、最初の質問を終わりたいと思います。


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