伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

TPP、内部被ばく検査などただしました

2013年03月10日 | 市議会
 2月28日に開会したいわき市議会は、4日と5日に各派の代表質問を行い、6日から明日11日一般質問が行われています。

 今回の代表質問は、市長が出馬表明を行うかどうかが、注目されていました。代表質問初日、与党会派の質問の折には新聞、テレビ各社が詰めかけ、記者席は満員御礼の状態で質問を行いました。市長選への出馬に関する質問に、さて市長はどう答えたのか。

 「質問の趣旨は重く受け止めていますが、まずすべての市民のみな様が震災前の平穏な生活を一日も早く取り戻し、生きている幸せを実感でき、将来に希望と期待を持てる魅力と活力に満ち溢れたまちづくりに、全身全霊で勤めていきたい」

 現時点での出馬表明はなかったわけですが、これは、出馬をしないということなのか、それとも現時点での出馬表明を避けたということか。いずれにせよ今後の動向が注目されるところです。

 さて、私は6日に代表質問に立ちました。何日か午前様で質問を準備したこともあったのか、少しおなか緩いぞ、と思いながらの質問でしたが、終了すると治っていました。これは子どもが学校に行きたくないという症状と同じかな~と、自虐的に苦笑せざるを得ませんでした。

 質問内容は次の通りです。

1 TPP 交渉参加に対する現時点での考えについて 

◆市長「l国民的合意形成の状況見極めたい」、農業委員会会長「反対すべき立場

 問 安倍首相は、「聖域なき完全撤廃が前提ではない」と確認されたとして、TPP交渉参加に意欲をにじませています。国民的合意のない現時点でのTPP交渉参加に反対すべきと考えますが、いかがですか。

 市長 これまで、全国市長会等を通じ、国内の農林水産業に及ぼす影響に十分配慮することと、詳細な情報開示と十分な議論を尽くし、国民的な合意を得たうえで、慎重に判断するよう求めてきました。
 総理の交渉参加への意欲表明は、「聖域なき関税の撤廃」が前提でないことを確認したうえで、「守るべきものを守り、国益にかなう経済連携をすすめるため」に総理自身が判断したことと受け止めています。総理が示した「未来に希望の持てる強い農業」を実現するための具体的な政策や国民的な合意形成の状況を見極めていきたい。

 農業委員会会長 現時点でも、農業・農村に壊滅的打撃を与え、食料自給率の低下などへの危惧は変わりなく、反対すべき立場と考えています。

2 市長の公約等の実施状況について

 問 「幸せを感じるまちづくり」を掲げた取り組みの到達状況は、どのようになっていますか。

 市長
 新病院建設の基本構想を平成24年3月に策定し、小学3年生までの通院医療費無料化を23年4月分から、18歳までの入院・通院医療費無料化を平成24年7月分から実施するなど、市民の皆様にお約束した公約については、おおむね達成できたものと考えています。

 この他に、生活扶助費の削減や年金の減額など社会保障費が抑制されることの市民生活への影響などをただしましたが、「収入格差などの是正を図った」などと、生活扶助削減だけに着目した答弁にとどめました。

3 原発事故への対応について

 問 市民が原発事故の収束まで損害賠償を求める栽培が始まろうとしていますが、こうした市民の動きを市長はどのようにとらえていますか。

 市長 原子力損害賠償紛争審査会の賠償基準の目安となる指針は、原子力損害としての見込みが高いものを盛り込んだ賠償の全体像を示したものであり、実際の賠償では、個々の状況に応じ、指針の範囲を超えた様々な事例が生じていることから、市民のみな様が個別または集団で訴訟等を提起することは理解できます。

 このようなことから、私はかねてからすべての市民や事業者を対象として適正な賠償が行われるよう、国や東京電力に対し、採算、要望・申し入れを行ってきました。

 問 いわき市民に東電が一律に賠償する期間は2011年3月11日から4月22日までですが、市民の精神的被害の実情からかけ離れたものです。市として一律損害賠償期間の延長を求める考えはありますか。

 行政経営部長 期間延長を含め、適正賠償の実施についての要望を引き続き行っていきます。

 問 指定廃棄物を含む農林系副産物を減容化する鮫川村の焼却実証事業について本市として今後どのように取り組む考えですか。

 行政経営部長 市民の安全・安心確保の観点から、必要かつ十分な情報提供を環境省と鮫川村に求めていきます。

 問 現時点では具体的なものではないものの、原子力規制委員会で処理水の海洋放流が、溜まり続ける汚染水対策の一つとされていることに、本市としてどのような考えをお持ちですか。

 行政経営部長 他各種除去設備いわゆるアルプスで放射性物質を除去した後に、法令の濃度未満に処理し、関係者の合意を得た上で、海洋に放出する方針を示したものですが、規制委員会はトリチウムを除去できないまま放出はできないとしており、本市としても安全性を確認できうちは処理水は放出すべきではないと考えています。

◆ホールボディーカウンターの検査対象拡大の方向

 問 ホールボディーカウンターによる検査の実施状況はどうですか。一巡後には測定にどのように取り組む考えですか。

 保健福祉部長 内部被ばく検査は、残っている勿来地区も本年度内に終了の見込みです。
 検査結果は、巡回検査分を除いた4万1036人の預託実効線量は、すべて、健康に影響がないとされている1ミリシーベルト未満であり、検出限界値(200ベクレル)を下回った方は全体の97・8%です。

 一巡した以降の取り組みについては、県は9月頃までに対象者拡大を含む新たな実施方針を定める見込みです。それまでの間は、未受検者や妊婦、4歳に到達した子どもの検査を実施するととともに、事故発生直後に長期間屋外活動をした消防団員やライフラインの復旧活動に従事していた方、さらに、現在は対象外の市民の中から、抽出検査を実施するなど対象者の拡充に努めたいと考えています。

 問 除染作業は国が直接発注する特別地域と市町村が実施する除染実施区域に分けて進められています。国直轄事業にある「特殊勤務手当(危険手当)」が市町村発注分にはありません。特殊勤務手当を制度化するよう求める必要性をどう考えますか。

 行政経営部長 除染作業員等の労働条件の確保のため、現状をふまえた適切な労務単価の設定を国や県に求めたいと考えています。

 問 甲状腺の選考検査の結果と、新年度に行われる検査の実施時期と周知はどのように行いますか。

 保健福祉部長 久ノ浜・大久などで行われた甲状腺検査の選考調査の結果は、対象者への通知は2月中に送付済みですが、判定等の公表は、県民健康管理調査検討委員に報告したうえでなされるとのことです。市としては速やかな公表を要請しています。

 また(いわき市の子ども達の)検査時期は4月中旬から開始され10月上旬までに終了する見込みです。検査実施のお知らせは、県立医科大学から対象者に順次郵送される予定です。


4 本市の教育のあり方と教育をめぐる諸問題への取り組みについて

 問 いじめの問題にはどのように対応してきたでしょうか。

 教育長 いじめへの基本的な対応策は、学校ではいじめ根絶チームを立ち上げ、教職員、場必要に応じスクールカウンセラーによって、被害児童への心のケア、いじめている児童への指導などを中心に、早期解決に向けて取り組んでいます。
 また、市教委としては、それぞれの事案について、状況把握をしながら、学校や関係機関との連絡調整、必要に応じて学校への指導などを行っています。

 問 体罰への認識はどのようにお持ちで、なくするための取り組みはどうする考えですか。

 教育長 体罰は許されない行為であると認識しています。また、今後とも、主役である子ども達が輝く学校をめざし、市教育委員会としても、前向きの姿勢で取り組んでいまいりたいと考えています。

◆経済教育体験施設利用時の交通費等は保護者負担の方向は議論が必要

 続いて経済教育体験施設事業(スチューデント・シティーとファイナンス・パーク事業)の質問を行いました。

 経済教育が必要かどうかを論じるとき、シティーとパークが働くことと収入に応じた計画的消費行動あるいは消費と契約行動を学び体験することで、「生きる力」を身につけることが目的となっています。

 前段として、「生きる」ことを考えてみれば、働いて賃金を得ること、そして消費あるいはサービスを受けるための契約をすることはもちろんありますが、この2面に単純化することはできないはずで、現在でも、働く人の権利が守られていない状況が横行し、これを働く人が自覚できない状況が幅広くあることを考えれば、加えて働くためのルールを定めた法律と仕組みがあること、そしてそのルールと仕組みが働く人を守る役割を果たしていくことも合わせて知ることが大切で、この三位が一体となってはじめて働き収入を得て、その収入で消費を行い、幸せな生活を作り上げることが可能になると思ので、学びの内容の議論が必要だとしながら、施設を運営する際の費用負担の問題をただしました。

 その結果、子どもが施設に移動する際のバス等の費用は「保護者負担」、ボランティアへの謝礼等は「ボランティアは無償が基本と考えている」との答弁でした。

 遠足、宿泊研修などの交通費がすでに保護者負担とされています。これと同様の扱いとするというのですが、施設を活用する経済教育も教育課程に位置付けるとしており、教育委員会主導でメニューを増やし、実施する際は保護者負担というあり方はおかしい。上からの教材を活用するのに、これ以上の負担を保護者に課していいのかが問われていると思います。

 また、ボランティアへ交通費程度の謝礼も、長く支援していただくためには必要だと考えますし、保護者などボランティアで動員されるようになれば、それぞれの学校の事情で異なるとは思いますが、PTAの財政から一定の謝礼が支払われるようになることが想定され、PTA会費の引き上げなど、ここでも保護者負担の増加が懸念されます。

 実施するなら何らかの予算化。京都市の同様の施設の視察での教えでした。この点を引き続き議論していきたいと思います。

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