伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

太陽光発電設備敷地が大雨で崩落。計画を市がチェックする仕組み必要 / 議員だよりの記事を書きました

2018年08月23日 | 原発・エネルギー
 8月26日付け議員だよりの記事を書いた。

 7月に住民からお話を聞いた、高谷町の太陽光発電施設で、豪雨により崩落事故が発生したことがテーマ。以下、記載します。




太陽光発電施設で崩落事故
施設の適正設置に市関与の仕組み構築必要示される



 「13日にいわき市内で降った大雨の影響で、同市内郷高谷町関場でがけ崩れが発生した。14日、市水防本部が発表した」(福島民報8/15)。一段見出しの小さな記事でした。思い当たる場所がありました。先月、現地を見てきた場所ではないか、そんな疑問からさっそく確かめてみることにしました。


崩落が心配されていた

 思い浮かんだ場所は、7月7日付本紙(№2192)で既報の、内郷高野町に東京都本社の事業者が太陽光発電施設を設置した現場。現地を訪れた際、住民が、「この道路は通学路になっており、崩落が心配」と指摘していた場所でした。


崩落前の太陽光発電施設の法面=高野町


 確認すると崩落現場は、その場所でした。樹木が伐採された急傾斜地が崩落し、埋設された配管がむき出しになり、破断しているものも見られました。

この施設は、今年6月末までに工事が完了する計画でした。しかし、完了届はなく、市は調査の上、必要な指導をすることになっていました。

 実際、市は必要な手続きを、7月いっぱいに完了させるよう事業者に指導していました。しかし、事業者が7月いっぱいでの対応は困難としたため、8月の盆頃までに必要な手続きを終えることにしていました。

ところが、8月に入って台風の接近に伴う降雨と地震がありました。この影響で1度目の崩落があり、13日の強雨で大きく崩落、先の報道になったわけです。


崩落した土砂が片付けられた市道



埋設配管がむき出しに。破断しているようにも見える。


崩落事故を受けて、市だけでなく福島県も事業者に指導することになり、今後、崩落現場の復旧策等について3者で協議していくことになったといいます。

太陽光発電設置への対応が問われる

 今回の崩落では、幸いにして人身に及ぶ被害はありませんでした。しかし、地元が懸念したように、市道は通学路です。登下校時間帯に万が一崩落が起これば、不幸な事態を招きかねない状況があります。

 太陽光発電の開発行為により、このような事態を再び引き起こさないために、市としてどのような対応をとっていくのかが、あらためて問われました。6月定例会の一般質問では、条例等の制定で、市が民間の太陽光発電設置に能動的に関わる仕組みを作ることを求めましたが、この必要性があらためて示されたと言えるでしょう。

 太陽光発電について、国は、「事業計画ガイドライン」を策定し、問題があり、改善されない場合には、最終的に固定価格買い取り制度の事業者登録の取り消しができることにしています。つまり事実上、太陽光発電事業から撤退せざるを得なくなるわけです。

 市は、このことをもって安全な設置が図られるとしました。

ガイドラインより実効性ある措置こそ必要

 しかし、今回の崩落事故は、国のガイドライン制定後に進んだ事業で起こりました。ガイドラインが十分な実効性をもって機能していないことが、この崩落事故で示されたわけです。

 今回の事業者の場合、他にも問題点があると感じています。

7月に現場を確認した時点で、太陽光パネルが設置され配管がめぐらされた敷地は、フェンスで囲われることもなく、立ち入りが容易な状況でした。
その後フェンスが設置されたようですが、ガイドラインで「発電設備設置後速やかに設けることが望ましい」とされた安全策が、十分に考慮されていないように見えました。

 また、崩落をした後の現場は、フェンスも立ち入り規制もなく、太陽光パネルなどの発電設備に容易に近づける状況でした。送電施設への接続は中止しているといいますが、感電などに対する安全がそれだけで確保できるとは思えません。

 計画の段階、施行中、あるいは運営開始後の住民の告発など、あらゆる機会をとらえて、一つひとつの事業に市が直接監視の目を光らせる仕組みづくりが必要です。

 北茨城市ではこの役割を、条例とこれにもとづき事業者と締結する「協定」が果たしているようです。

 本市でも実効性がある仕組みづくりに取り組むよう強く求めていきたいと考えています。




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