だから演劇はやなんだよな~。でもいいんだよな~。
何がやだかって、大勢の人が観劇している中で涙があふれきて、そのことを他の人達に気づかれたら恥ずかしいですよね。その点、DVDやTVならば、涙があふれても他の人の視線を気にすることない。ホールで行われる演劇で涙があふれても人に気づかれないようにする。なにしろこれが大変なんです。だから、やなんですよ。
でも、いつもはテレビの画面でしか見ることができない酒井敏也さんが、同じ空間、同じ空気を吸いながらそこで話している。
あれ、あれは、六角精児さん・・ドラマ「相棒」の鑑識官・米沢守さん(新シリーズでは降板したようですね)・・が、わずか7m先で演技している。舞台と客席という連続した空間ですすむ一つの物語をいっしょに紡いでいるような緊密感・・特にきょう観劇した扉座の「歓喜の歌」では、舞台から飛び出し客席の通路も使った演技も(何せ客席に座る私の横を耳に突き刺さるような声を発して、しかも風を感じさせながら走り抜けていくのですから)、また途中で観客に歌うことを求めるというコンサートのような演出も、舞台上の演技者と観客の距離をどんどん縮めていく。ただ見るだけの画像作品とは違った空気感が演劇の良さ。だからいいんだよな~となるんでしょう。
もうひとつ、大道具、小道具の楽しさ。目の前で、原野を一瞬にして雪野原に変えた演出が強く印象に残り続けているのが「はなれ瞽女おりん」の舞台だったと思うのですけど、劇団青年座の何という作品だったか、普通の住宅が自衛隊の戦場となり、一瞬にして崩壊する演出、あれは昨年見た・・何という劇団で、何という作品だったか、一本のロープが形を変えて様々な背景を表現した演出も楽しかった。
今日の舞台では大きく細長い立方体の10本程の箱が、配置を変えながら、住宅の壁であったり、市民会館の事務室であったり、歌の練習をする部屋であったり、様々な空間を演出していました。これも巧みで楽しい演出でした。
突然、何を言い出したのかというと、久々の演劇鑑賞会の例会を観劇した感想です。きょうの演目は、先にも書いた扇座の「歓喜の歌」。演劇は、むかし、むか~しに横浜労演の会員だった時、そしていわき市に越してきた当初1年ほどの間はいわき演劇鑑賞会の会員として見てきたのですが、劇団や演目に造詣があるわけではまったくありません。きょうも「歓喜の歌」ってどんなものなの・・なんて思いながら会場に向かったのですけど、心をほくほくさせながら帰路に着くことになりました。
物語は、狩られてハンティング・トロフィー(首の剥製)となった鹿の呪いが軸になってすすんでいきます。トロフィーがかけられた市民会館で、市民の合唱団・レディースとゴスペル隊・ガールズのコンサート予約がダブルブッキングとなってしまうという不幸に見舞われました。
適当にあしらって決着をつけようとした市民会館職員をはさんで、レディースとガールズが対立をするものの、それぞれの団体と会員がコンサートにかける思いを知り、利用者・市民の立場にたって問題を解決しようと心を入れ替えた職員。そして不良とレッテルをはっていたガールズのメンバーそれぞれが、互いを思いやりながら立ち直るためにがんばっている姿を知り、彼女たちを受け入れることを決めたレディースのメンバー。離婚して住み始めることになった町を嫌っていたものの、合唱の指導者に出会い思いを寄せながら、その町を受け入れる気持ちになっていったレディースのリーダーとそれを支える友人。
舞台の熱演からそれぞれの思いが心に流れ込むたびに、不覚にも涙が溢れてきました。どうしても目じりにたまってしまう。そのままにしておけばこぼれてしまいそう。何とか拭わなければなりません。
席は7列の31番目。舞台が間近に見える好位置です。その距離でも、スポットライトを浴びる演者から客席は真っ暗に見える。演説会で体験済みです。そちらからは見えないことに確信を持っていました。でも後ろからは見えるんだろうな。できるだけ人に気づかれないようにしたつもりですが、後の人にはばれているんだろうな・・。
さて物語の軸は、トロフィーにされた鹿の恨みがどう晴らされていくかです。市民会館での混乱など、当初恨みは成就するかに見えます。しかし、レデイースとガールズの対立とダブルブッキングの問題を解決した人間たちはトロフィーにされた鹿が人間の思いをかなえてくれたと思い込み、神様に祭り上げていく。鹿の無念・恨みとは逆に、鹿は人間の英雄になっていき、鹿の思いはかなえられないものの、恨みもしぼみ、やがて成仏していきます。
途中のセリフにはギャグが満載。原作が立川志の輔師匠の同名の落語のようなので当然ですね。あきさせません。特に後半での年末の抽選で、1等賞が出ないよう念じる商店街店主と市民会館主任たちと抽選者の対決の場面では笑いの連続でした。笑いすぎて涙が出てきます。
これで安心してハンカチで涙をぬぐえます。泣かせて、その涙をぬぐう口実を笑いで与える。心憎い演出でした。
何がやだかって、大勢の人が観劇している中で涙があふれきて、そのことを他の人達に気づかれたら恥ずかしいですよね。その点、DVDやTVならば、涙があふれても他の人の視線を気にすることない。ホールで行われる演劇で涙があふれても人に気づかれないようにする。なにしろこれが大変なんです。だから、やなんですよ。
でも、いつもはテレビの画面でしか見ることができない酒井敏也さんが、同じ空間、同じ空気を吸いながらそこで話している。
あれ、あれは、六角精児さん・・ドラマ「相棒」の鑑識官・米沢守さん(新シリーズでは降板したようですね)・・が、わずか7m先で演技している。舞台と客席という連続した空間ですすむ一つの物語をいっしょに紡いでいるような緊密感・・特にきょう観劇した扉座の「歓喜の歌」では、舞台から飛び出し客席の通路も使った演技も(何せ客席に座る私の横を耳に突き刺さるような声を発して、しかも風を感じさせながら走り抜けていくのですから)、また途中で観客に歌うことを求めるというコンサートのような演出も、舞台上の演技者と観客の距離をどんどん縮めていく。ただ見るだけの画像作品とは違った空気感が演劇の良さ。だからいいんだよな~となるんでしょう。
もうひとつ、大道具、小道具の楽しさ。目の前で、原野を一瞬にして雪野原に変えた演出が強く印象に残り続けているのが「はなれ瞽女おりん」の舞台だったと思うのですけど、劇団青年座の何という作品だったか、普通の住宅が自衛隊の戦場となり、一瞬にして崩壊する演出、あれは昨年見た・・何という劇団で、何という作品だったか、一本のロープが形を変えて様々な背景を表現した演出も楽しかった。
今日の舞台では大きく細長い立方体の10本程の箱が、配置を変えながら、住宅の壁であったり、市民会館の事務室であったり、歌の練習をする部屋であったり、様々な空間を演出していました。これも巧みで楽しい演出でした。
突然、何を言い出したのかというと、久々の演劇鑑賞会の例会を観劇した感想です。きょうの演目は、先にも書いた扇座の「歓喜の歌」。演劇は、むかし、むか~しに横浜労演の会員だった時、そしていわき市に越してきた当初1年ほどの間はいわき演劇鑑賞会の会員として見てきたのですが、劇団や演目に造詣があるわけではまったくありません。きょうも「歓喜の歌」ってどんなものなの・・なんて思いながら会場に向かったのですけど、心をほくほくさせながら帰路に着くことになりました。
物語は、狩られてハンティング・トロフィー(首の剥製)となった鹿の呪いが軸になってすすんでいきます。トロフィーがかけられた市民会館で、市民の合唱団・レディースとゴスペル隊・ガールズのコンサート予約がダブルブッキングとなってしまうという不幸に見舞われました。
適当にあしらって決着をつけようとした市民会館職員をはさんで、レディースとガールズが対立をするものの、それぞれの団体と会員がコンサートにかける思いを知り、利用者・市民の立場にたって問題を解決しようと心を入れ替えた職員。そして不良とレッテルをはっていたガールズのメンバーそれぞれが、互いを思いやりながら立ち直るためにがんばっている姿を知り、彼女たちを受け入れることを決めたレディースのメンバー。離婚して住み始めることになった町を嫌っていたものの、合唱の指導者に出会い思いを寄せながら、その町を受け入れる気持ちになっていったレディースのリーダーとそれを支える友人。
舞台の熱演からそれぞれの思いが心に流れ込むたびに、不覚にも涙が溢れてきました。どうしても目じりにたまってしまう。そのままにしておけばこぼれてしまいそう。何とか拭わなければなりません。
席は7列の31番目。舞台が間近に見える好位置です。その距離でも、スポットライトを浴びる演者から客席は真っ暗に見える。演説会で体験済みです。そちらからは見えないことに確信を持っていました。でも後ろからは見えるんだろうな。できるだけ人に気づかれないようにしたつもりですが、後の人にはばれているんだろうな・・。
さて物語の軸は、トロフィーにされた鹿の恨みがどう晴らされていくかです。市民会館での混乱など、当初恨みは成就するかに見えます。しかし、レデイースとガールズの対立とダブルブッキングの問題を解決した人間たちはトロフィーにされた鹿が人間の思いをかなえてくれたと思い込み、神様に祭り上げていく。鹿の無念・恨みとは逆に、鹿は人間の英雄になっていき、鹿の思いはかなえられないものの、恨みもしぼみ、やがて成仏していきます。
途中のセリフにはギャグが満載。原作が立川志の輔師匠の同名の落語のようなので当然ですね。あきさせません。特に後半での年末の抽選で、1等賞が出ないよう念じる商店街店主と市民会館主任たちと抽選者の対決の場面では笑いの連続でした。笑いすぎて涙が出てきます。
これで安心してハンカチで涙をぬぐえます。泣かせて、その涙をぬぐう口実を笑いで与える。心憎い演出でした。
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