伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

これが責任あるもののやること――電源喪失認識しながら放置

2012年05月16日 | 原発
 今朝(5/16)の福島民報で、2006年に安全・保安院が全電源喪失を認識し、電力会社にその恐れを指摘しながら対策を求めず、東電には、海抜10mにある福島第1原発の海沿いにある冷却用海水ポンプの津波対策を要請しただけ。それさえ東電は技術的に難しいと放置していたことを報道した。

 報道によると、2004年のアスマトラ沖地震でインド南部にあるマドラス原発が津波に襲われ、ポンプ室が浸水する事故が発生した。これを受け2006年保安院が呼びかけ、電力数社が設置した勉強会が1月から10月にわたって開かれた。

 この場で保安院は、敷地より1m高い津波で、全国ほとんどの原発が電源喪失に陥る恐れを指摘し、東電福島第1原発についても「14mの津波が襲った場合、タービン建屋に水が入り、電源設備が機能喪失する可能性がある」との文書をまとめたという。

 ここで、何を考えているのか保安院は、電源喪失への対策を電力各社に求めず、東電には先に上げた海水ポンプの追加対策を求めるにとどめた。東電は07年4月に対策を取ると回答しながら、メーカーと協議し、技術的に難しいとして放置したという。

 電源喪失の可能性を認識しながら対策を求めない保安院は、やっぱり“原子力不安院”と呼ぶにふさわしい。また、可能性を知りながら津波対策を取らず、指摘された対応策もサボる――こんな電力会社が、いったん事故が起きれば、いのちを危険にさらし、社会全体を深刻な不安の中に叩きこむ、原発の運営をしてきたことに、あらためて憤りが湧いてくる。

 大飯原発の再稼働に躍起になる野田・民主党政権。いまや菅首相のもと宣せられた脱原発はどこかに消し飛んだ。大飯町議会は賛成多数で大飯原発の再稼働を容認し、町長はこれを踏まえて今週中に結論を出すという。敦賀原発では、直下を走る破砕帯(断層)が近くの浦底断層(活断層)に直結する可能性が浮上し、あらたに掘削調査することになった。未だ人智が及ばない事態が次々発生する中で、原発を再稼働させていいのだろうか。何よりも最終処分ができない核廃棄物を発生させ続けることが、未来に対する責任を取ることになるのかが問われなければならない。原発は停めたままにし、全部廃炉の展望こそ開くべきだ。

 朝、犬の散歩途上、オドリコソウの群落に新たに気づいた。よく見ると葉っぱの上にバッタの幼生が…キリギリスだと思う。花に向かってじっとしている。見とれているのだろうか…。

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