いわき市議会2月な定例会の代表質問が、昨日から実施されていましたが、今日の午後、私も質問に立ちました。
代表質問は、40分の持ち時間で一括質問し、これに対して一答弁で行われるため、質問と答弁のかみあいが見えにくいのですが、何とか、無事に質問を終了することができました。答弁後は10分の持ち時間で再質問、再々質問が可能です。
市政の展望を語る上で、市長の選挙公約に対する姿勢が問われると考え、11月、12月定例会に続いて、公約等の問題も取り上げましたが、市長陣営の発行物ではなかったものの、バス・タクシーの利用券を交付することになったという文書について、その表記の正確さが疑われる答弁もありました。
今日は答弁まで掲載することは時間的に無理なので、質問の原稿のみ掲載します。
1 市政運営をすすめる考え方について
(1)公約について
10番日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。
25日に閉幕した平昌オリンピックでは、日本が、長野オリンピックを超えて過去最高の13個のメダルを獲得したことが話題になっていますが、私はメダルの数はもとより、選手たちのいわゆる神対応に大きな感動を覚えました。
スピードスケート女子500mを制した小平選手が、2位となって涙を流す韓国の李相花(イサンファ)選手を抱き寄せて健闘をたたえたウィニングランがありました。カーリング女子準決勝で韓国に敗れた直後、同国選手に握手を求め検討をたたえた日本チームの選手の姿がありました。藤澤選手は、「韓国は同じアジアのチームとして誇り」と語りました。
こうした場面に出くわすたびに胸に熱くこみ上げるものを感じた大会でした。涙もろくなるのは感情をつかさどる前頭葉の機能の衰えで、その原因は老化だと聞くと、すぐに感動を覚える自分を素直に喜ぶことができないのですが、とにかく、勝ち負けを越えて、国を越えて、また国の間に横たわる政治問題を越えて、人と人との友情の輪を広げているトップ選手たちの振る舞いが、そして言葉が感動を広げた、平和の祭典にふさわしい大会だったと思います。
このオリンピックにかかわりある局の放送で、長野冬季五輪、男子ジャンプのメダリストである船木和喜氏が面白いことを語っていました。
純粋に喜びの金、後悔の銀、ほっと一安堵の銅、という話です。メダルを取れたことで、とりあえず喜びが湧く銅に対して、銀の場合は、もう少しで金であるだけに、ああすれば良かった、こうすれば良かったと悔いが湧いてくるというのです。
選挙は当選するか、落選するかしかありませんから、メダルで言えば、金と銀しかないことになりますが、船木氏のいう後悔の銀は、選挙で次点になった者ということができるかもしれません。
清水市長は、一人しか当選しない市長選挙で、2回連続の金メダルをとりました。そして、2期目初の予算案を今議会に提出をしました。
私は、先の11月定例会、12月定例会と、市長の公約や発言の問題を取り上げて質問してきました。考えてみれば、私は議会に送り出していただいた最初の議会から、市長の公約問題を取り上げてきたことに思い至ります。
私は、2005年・平成17年の市議会議員補欠選挙で当選させていただきました。同じ投票日に初当選を果たした櫛田市長は、当時の芸術文化交流館建設計画の見直しや、いわき駅前再開発事業に導入することになった総合型図書館を独立図書館として整備するなどを訴えていました。
櫛田市長の初議会になった同年の10月定例会は、私にとっても初議会でしたが、これらの事業はすでに契約等が済んでいる状況から考えても、公約にそもそも無理があるという立場から質問をさせていただきました。他の議員も同様の質問をしていましたが、櫛田市長は、その後、これらの事業に若干の見直しを加えただけで公約を事実上撤回し、基本的に四家市政がすすめた事業を完成させることになりました。
清水市長は1期目、復興対応のスピードアップや総合磐城共立病院は経営形態も含めて再検討などと訴えて選挙をたたかいました。ところが、当選後迎えた最初の定例会で、「一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきた」とそれまでの市の取り組みを肯定的に評価する姿勢に変わるなど、中心的に訴えた公約のトーンをダウンさせ、渡辺市政が震災後に進めてきた施策を基本的に引き継いで、それまでの復旧・復興の事業を完成させる時期を市長としてつとめてきました。
私は、市長の2期目にあたっても、配布された文書の問題や市長の発言、公約等について、そこに感じた問題や疑問を質問してきましたが、これに対する答弁を聞いた時、やはり市長の公約等に関する姿勢に疑問を感じざるを得ない、そんな思いでいます。
今議会の提案説明で市長は、共創によるまちづくりを市民に呼びかけて、「あらゆる主体と地域課題の思いを共有し、持てる知恵と資源を結集しながら、課題の解決と新たな時代の創造に取り組むことが重要」と発言されています。そのためには信頼関係を深めることが必要だと思います。そのためにも、公約の妥当性が問われることももちろんありますが、まずは、市民との約束である公約について真摯に対応する姿勢が求められていると考えます。
市長は、磐城平城の櫓構想にかかわって、オリンピックになって増える外国人観光客に「オーワンダフルと言わせたい」と話したことは例え話だったとするなど、市民に対する公約を軽視する発言をしています。これらの選挙にあたってかかげた公約は妥当なものであったと考えていらっしゃいますか。
(2)公約が有権者に与える影響について
次に公約が有権者に与える影響についてです。
公約は、その実現が有権者との約束ということになります。私たち市議会議員は、議会内外の活動で、その実現をめざすことになります。しかし、議員は予算編成権を持っていません。予算の修正はできるものの、その内容は、市長の予算編成権を侵さない程度でしか行うことができないと考えられています。
それだけに、予算編成権を持つ市長となった者が掲げた公約は、より実現性の高いものとして多くの有権者の関心を集めることは間違いありません。
昨年の11月定例会に市長は、公約に掲げた「夢プロジェクト」の一環である磐城・平城の櫓の建設にかかわる発言が有権者の投票行動に与えた影響について「有権者のみなさんがそれぞれ判断したものと思う」と答えました。また、市長陣営の発行物ではないとは言え、新聞折り込み等で配布された「早ければ来年度からバスやタクシーの利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書の影響については、「新聞の購読者が判断することだと思う」と答えました。
おっしゃる通り、判断をするのは有権者です。しかし、この答弁は、質問には全く答えていないのです。なぜまともに答えないのでしょうか。こうしたところに、共創によるまちづくりの前提が作られていないと感じざるを得ないのです。
そこで、あらためて市長の公約等に関する認識をうかがいたいと思います。
初めに、選挙にかかわり配布される文書の記載事項、あるいは候補者等の発言はどのような目的を持つものと認識しているのか、うかがいます。
次に、市長は、これらの文書の記載事項、あるいは発言が有権者の投票動向にどのように影響するものと考えているのか、うかがいます。
また、選挙にかかわる文書の記載事項あるいは発言に誤りがあった場合に、これに対する説明責任をどのようにとらえているのか、お答えください。
(3)バス・タクシーの利用券を「交付することになった」という文書の表現の妥当性と本市の取り組みについて
次にバスやタクシーの利用券に関する問題です。
昨年の市長選挙の直前に配布された「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書について、清水市長は「他の自治体で取り組んでいる事例等を参考にしながら、高齢者の健康長寿をサポートする取り組みの一例としてお示しさせていただいたものであり、その取材活動の中で、ご指摘のような表現につながったものと受け止めております」と答弁しました。自分はそう言っていないと答弁しているのです。
しかし、記事の撤回を求めることには「検討しているのは事実であります」と拒否し、また「交付することになった」という記載については、「いわき経済報が独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁しております。
この文章が書かれた経過は、答弁の通りかもしれません。しかし、問題は書かれた経過にあるのではなく、選挙目前という有権者の判断に大きく影響する時期に配布された内容が、事実を反映していないことに問題があり、無料でバス・タクシーを使えるようになったという誤解を与えて有権者の投票動向に影響を与え、なおかつ、いまだに期待を抱かせている点にあります。
そこで最初に、「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という記載について「独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁してきましたが、「交付することになった」という記載は、本市の検討段階において正しい表現となっているのか、うかがいます。
次に、本市の公共交通対策の検討状況を市民に正しく伝えるという観点から見た時、この文書の記載は妥当なのか、あるいは妥当でないのか、市長はどのように認識していらっしゃるのか、うかがいます。
また、交通弱者に対する交通手段の確保について、新年度にはどのような事業を実施しようとしているのでしょうか、うかがいます。
引き続く交通弱者対策の拡充を図ることが本市にとって大きな課題となりますが、バス・タクシーの無料利用を図ることも含め、本市はどのように取り組んでいく考えなのか、お答えください。
2 本市の復興に向けた取り組みについて
(1)市長1期目に完了した事業について
次の質問は、本市の復興に向けた取り組みについてです。
4年前の選挙の時、市長は、復興を市民は実感していないとして「震災復興対応のスピードアップに全力投球」と公約し、復旧・復興が短期日に大きく前進する期待を市民に抱かせました。ところが、先に述べた通り、当選後の議会では「一部の取り組みで課題や遅れがあるものの、一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきたものと考えている」と選挙中の発言をトーンダウンし、基本的に渡辺市政の事業を引き継ぎ取り組んできました。
この復旧・復興の加速化を言っていた1期目で完了、あるいは完了の目途が立った事業はどのようなものか、うかがいます。
(2)本市の復興に向かって市長1期目の期間に新たに手掛けた事業について
清水市長の1期目は、その期間が、いわき市の市制施行50周年にあたったこともあり、イベントを中心とした交流人口拡大の事業が目についた4年間という印象がありますが、
この期間中で、本市の復興に向かって新規に導入した事業にはどのようなものがあるのか、うかがいます。
(3)震災直後の復旧・復興の到達点を踏まえた本市復興への今後の事業推進について
先に開かれた建設関係団体連絡協議会の新年祝賀会では、協議会の長谷川理事長が、震災からの復興事業が9割がた完了し、今後公共事業が減少に向かうことによる業界の先行きに懸念を語りながら、災害対策にはまだまだ課題があり、災害対応の最前線で安全安心を担う建設関係事業者に対しても安定した事業量の確保を要望し、あいさつしていました。
本市は、2011年、平成23年9月に策定した「復興ビジョン」で、復旧・復興の目的を明確にしました。
「前例のない複合災害に見舞われた福島県浜通り地域の拠点都市として、市民の安全・安心を最大限に確保し、震災前にも増して活力に満ち溢れた、世界に誇る復興再生モデルとなる持続可能なまち『いわき』を創ります」。
このようにしたのです。
「震災前にも増して活力に満ち溢れた」まちいわき。こうした観点から見た時に、復興はまだままだ道半ばです。
復旧・復興事業が収束に向かう状況を踏まえ、今後の本市の復興に向けてどのように取り組んでいく考えでしょうか。
新年度予算には今後の本市の復興に向けて、具体的にどのような事業が盛り込まれているのでしょうか。
3 安倍政権がすすめる政策のもとでの市民生活を守る本市のとりくみについて
(1)安倍政権のすすめる社会保障の抑制等が本市市民の生活に与える影響について
次の質問は、安倍政権がすすめる政策のもとでの市民生活を守る本市のとりくみについて、です。
復興の課題は生活基盤の整備や施設の復旧にとどまらず、市民のくらしを「震災前に増して活力に満ち溢れた」ものにしていくことも、また大きな課題になっていると思います。
震災から7年が過ぎたとはいえ、震災、原発事故の被災者の生活再建は、まだまだ道半ばです。そういう再建途上にある被災者たちにとって、2014年・平成26年4月に消費税が8%に引き上げられたように、国の政治が暮らしの復興の足かせになっているという現実を見ることができると思います。
いま、国会で審議中の2018年度、平成30年度の政府予算案では、防衛関係予算を過去最大の5兆2,000億円計上する一方、社会保障の自然増部分を1,300億円圧縮するなど、社会保障の抑制を反映させたものとなっています。。
この結果、生活保護費の削減や生活扶助、母子加算の10月からの段階的削減が計画され、高額療養費の自己負担引き上げ、後期高齢者保険料軽減の見直しが行われ、この他に74歳以上の医療費の窓口負担を2割にしたり、マクロ経済スライドの実施による年金減額等、広範な市民に負担増と給付削減を押し付け、暮らしの復興に重石を背負わせているという状況があります。
住民のみなさんを訪ねると「年金が減らされていて、生活が大変になってきた」という声がどこにいっても聞かれます。国の新年度予算案では、社会保障が切り詰められていますが、これら社会保障の抑制が市民生活に与える影響について、どのように認識していますか。
(2)市民生活を守る本市の取り組みについて
社会保障の抑制が続く中で、新年度には、市民生活を支えるための取り組みをどのようにすすめる考えでしょうか。
(3)学校給食の無償化について
安倍政権は、昨年の衆議院選挙で高等教育の無償化を公約に掲げました。多くの子育て世代は、この公約に期待を寄せたものと思います。しかし、多数議席を占めることになった安倍政権は、無償化の対象世帯を非課税世帯など一部に限定した上、実施時期を消費税を増税しようとしている2019年度、平成31年度以降に先送りすることにしました。多くの国民、多くの市民の期待は残念ながら裏切られる結果になっています。
私たちは先の市議会議員選挙で、子育て世代を支援し、安心して学ぶ教育環境を充実する観点から、学校給食の無料化を市民のみなさんに訴え、多くの共感をいただきました。
安倍政権の社会保障抑制と労働法制の後退のもとで、学校給食の無償化は、子育てと教育環境支援の強化の上から大きな効果を発揮するものと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(4)国民健康保険税の算定について
次に国民健康保険税の算定について伺います。
国民健康保険は、新年度から、財政が県単位の運営に移行し、国保税の賦課・徴収は、当面、これまで同様市の事業として残ることになっていますが、2月15日にこの国保の必要財源を確保するための市町村ごとの納付金とともに、県が市町村に示すことになっている標準保険料率が公表されました。
それによると、2016年度、平成28年度の実績よりも増えることになる6町村には、保険料の急激な上昇を抑える激変緩和措置として国の交付金を投入することにした結果、全ての市町村で国保税が実績より低い額とされています。
本市は、県の納付金を確保するため、この標準保険料率等を参考にしながら国保税を算定することになります。
今回の標準保険料率はあくまで参考値であり、現時点で本市の国保税が前年度よりも低くなることを示すものではありませんが、本市の来年度の国保税率等については、今後、どのような手順で算定されていくことになるのでしょうか。
また、本市は、国保の運営が都道府県に移管した後も、単年度収支では赤字が見込まれるとして、安定的な国保の運営に資するために国保に基金を積み増ししました。仮に、来年度の国保税が引き上げになるような事態に立ち至った場合、どのような対応をとるのかあらためてうかがいます。
さらに、国保の安定的な運営が続くことになれば、基金が利用されないケースも考えられますが、国民健康保険は将来的には賦課、すなわち国保税の税率も県内統一したものにすることが目標となっています。このような時に、残されている基金はどう取り扱われるのでしょうか、お答えください。
(4)介護保険料の引き上げについて
次は介護保険料についてです。
今議会に提出された条例改定案には、介護保険制度の65歳以上の加入者である1号被保険者の介護保険料を、基準額で279円、4.8%引き上げる案が含まれています。
今回の介護保険料は第7期の見直しに基づくものですが、第6期介護保険料の見直しの際、一般質問では介護保険料は「制度施行当初より上昇を続けている」との現状認識が示され、市民福祉常任委員会の質疑では、執行部も介護保険料の負担が厳しいということを自覚し、市長会等を通じて国庫負担を拡大することなどを要望しており、今後も強く要望していくとの発言がされました。
今回の見直しによっても介護保険料は値上げとなっていますが、今回の値上げが市民生活に、どのような影響を与えると認識しているのか、うかがいます。
本市は、介護保険料の負担が厳しいという自覚のもと、市長会等を通じて国に制度の改善を要望してきました。どのような事項が要望されてきたのか、うかがいます。
介護保険制度の変更は、市長会等の要望を受けながらされてきたものと思います。この間、介護保険制度はどのような点が改定されてきたのか、お答えください。
介護保険料の負担は大きくなる一方で、要支援1、2、要介護1、2を介護保険制度から切り離し、総合事業に移行させるなど、利用者の視点から見た場合、負担は増やし、給付は減らす方向に動いています。
その最大の原因は、やはり社会保障の抑制をはかる今の国の政治にあると考えます。
本市は、介護保険における国の負担を増やすことを求めていると、3年前の介護保険料の改定時に述べておられます。今後とも制度の改善も含めて、国の社会保障に対する責任をしっかり果たすことを求めていただきたいと思います。
4 年頭所感にみる事業について
次に1月5日公表された市長の年頭所感にかかわりうかがいます。その内容を見て本市がどのような方向に進もうとしているのかをとらえた時に、若干の違和感を持たざるを得ませんでした。
清水市長の4年間は、先にも述べた通り、イベント等が目につく4年間でしたが、今後、サモワ独立国とのホストタウン交流事業に関連して、総合体育館の改修が優先的に浮上してきたり、磐城平城一夜城プロジェクトが城跡公園の整備に関連して櫓建設の公約の先導役を担ったようになったことなど、イベントなどの華々しい事業が、いわゆるハコモノ行政を引き寄せるけん引役を担うことになっているのではないか、そんな危惧を覚えざるをえません。
その中、年頭所感には、今回の議案の提案理由説明でも同様ですが、多額の補助金が見込まれる並木通り地区市街地再開発事業を本格的に始動するための都市計画決定を本年3月を目途に行い、いわきFCが東北社会人リーグ2部に昇格したもとで、いわきFC等とも連携しながら、スポーツが持つ力を最大限に活用し、夢や感動、希望に満ち溢れたまちづくりの推進をうたい、清水市長が選挙の中で公約に挙げながら、市民的合意に疑問がある磐城平城の櫓の建設に関しても、市民各界各層の意見を聞きながら検討していくことなどが盛り込まれました。
これらの事業の今後の取り組み等について伺います。
(1)いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業など本市における第一種市街地再開発事業について
まず、本市におけるこれまでの市街地再開発事業には、ティーワンビルと住宅棟であるグランディ・セーラムT1を整備した事業費88億円余の平一町目地区第一種市街地再開発事業及びラトブを建設した事業費172億円余のいわき駅前地区第一種市街地再開発事業がありました。それぞれフロアに公共施設が導入されています。これらの再開発事業に公共施設の導入を図ったのは、どのような理由があったのか、うかがいます。
また、それぞれの再開発事業で、公共施設の導入を図らなかった場合の事業採算性は、どのような状況だったのでしょうか。
これまで、本市がすすめた第一種市街地再開発事業の進捗状況を見た時に、結果として公共施設を導入しなければ、事業の採算性がとれないものだったということを見ることができると思います。そして、このことは、結果的に一般財源の支出という形で、市民負担を増大させてきた問題があったという事実を見ることができます。
今後、いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業をすすめるにあたって、民間の活力を最大限に生かし、余計な公共投資を招かなくすむように、本市としてこの事業にどのようにかかわっていく考えか、うかがいます。
(2)サッカースタジアムを軸としたまちづくりの可能性調査と市民的合意について
次に、スタジアムを軸としたまちづくりの可能性調査等についてです。
株式会社ドームが本市に進出し、ドームいわきベースの内覧会が開かれたおり、同社社長は今後の展開としてスタジアム構想などを語りました。その後、同社は一般社団法人いわきスポーツクラブからいわきFCの運営権を譲り受け活躍しています。
その中でサッカースタジアム構想が持ち上がり、本市は新年度予算にスポーツを軸としたまちづくりを見据え、スポーツを新たな経済エンジンとするためとして、スタジアム整備に向けた事業可能性の調査を実施する予算2,296万円余を計上しています。
サッカースタジアム建設の全国的な例を見ると数百億円の事業となっていることから、本市にとって本当に必要なのかどうか、慎重な検討が必要ですし、市民的な合意形成を図ることも欠かせないと考えます。
そこで、新年度に本市が行う事業可能性調査では、どのような内容について調査をする計画なのか、まずうかがいます。
次に、サッカースタジアムを軸としたまちづくりには、事業のあり方も含めて広範な市民の合意が欠かせません。現時点での市民的合意の状況をどのようにとらえているのか、うかがいます。
また、市民的合意を広げるにあたって、どのように取り組んでいく考えでしょうか、お答えください。
(3)(仮称)磐城平城・城跡公園の櫓整備について
次は仮称、磐城平城・城跡公園の櫓整備についてです。
磐城平城・城跡公園に櫓の建設を訴えた市長の公約に関して、11月定例会の、平地区の住民からさえ「お城が必要だと思っている人はいないのではないか。今はハコモノの時代ではない。人の暮らしにこそ税金を使うべきではないか」という声があるという質問に、市長は「市民のみな様から、ぜひやるべきだというような意見をお伺いしております。また、議員ご指摘のような意見も承っているところでございます」と、建設に賛同する声も、反対する声も受け止めていることを明らかにしています。
市長は、今度の磐城平城・城跡公園の櫓について、年頭所感でも提案理由説明でも、これまでと同様、「市民各界各層の方々のご意見を十分にお伺いし、今後検討してまいります」としましたが、まずは本市の今後にとって必要な事業なのかどうか、広範な市民の合意が得られる事業なのかどうか、この点が検討されていかなければならないと思います。まずは、これが第一段階です。
仮に、ここで広範な市民の合意が得られて、本市にとって必要な事業と判断されたとして、次の段階には、どんな櫓を整備するのかが問題になります。
2月2日のいわき民報に高橋真樹さんが寄稿しています。高橋明子前市議会議員の息子さんで、磐城平城が大好きで熱心に取材・研究をしながら「大好き!磐城平城」というWEBサイトを制作しています。
その寄稿には、磐城平城の三階櫓は当初は外観が三重だったものが、やがて二重に改築されたと考えられるとして、次のように記されています。
「詳細な造形はまだ分からないことが多く、新たな史料を見つけ出さなければ解明できない。しかしながら私は『何とかその史料を探し出したいなあ!』そう考えている」。
市長が言っている磐城平城の三階櫓は、どんな櫓として整備しようとしているのか。このことに警告を発しているのではないでしょうか。
そこでまず、市長は、三階櫓や八棟櫓を教育に活用するとしていますが、どのような活用を考えているのか、うかがいます。
次に、磐城平城・城跡公園の整備と櫓整備を活用した教育を通じて、子どもたちに故郷に対する誇りを育んでいくことを考えれば、三階櫓等が史実とは異なるまがい物であっていいはずがありません。三階櫓、八棟櫓の整備を「夢プロジェクト」として掲げた市長は、教育に活用するとした施設は、どのようなものがふさわしいと考えているのでしょうか、お答えください。
また、三階櫓等の整備は、その姿形も含めて歴史的な検証に耐えうる史料が明らかになって以降に検討するべきと考えます。市長の見解を伺います。
5 学校現場における業務の適正化等について
(1)学校現場における業務及び部活動の適正化について
次は、学校現場における業務の適正化についてです。
教職員の業務の適正化については、本市としては、これまで、国の制度整備や必要な予算措置を含めた業務改善の方策の策定を受けて市としての方策をとりまとめつつ、学校現場での業務の適正化に向けた支援に努めるとしてきました。
これまでに、中央教育審議会の特別部会は昨年8月に「学校における働き方改革にかかる緊急提言」をまとめ、その後、教員の処遇改善に関する中間まとめを公表しました。また、福島県教育委員会は今年2月9日に「教職員多忙化解消アクションプラン」をまとめています。
県のプランでは、中学校教諭の約7割、高等学校教諭の約5割が月にして80時間以上の時間外勤務をしており、看過できない状況にあることが判明したとしています。
そこでまず、本市における中学校教員の時間外勤務はどのような状況にあるのか、うかがいます。
月80時間の時間外勤務というと、2か月から6カ月にわたって、1カ月間の残業時間の平均が80時間を超えている場合は過労死基準となりますkら、多すぎる時間外勤務だと思います。ですから、県のプランにある業務繁忙な時期でも月80時間以下という目標値は、あまりにも控えめな数値に聞こえてきます。
それだけにこうした状況を早期に改善し、さらに適正化を十分にすすめていくことが求められていると考えます。
そこで、2月9日の県教委の多忙化解消アクションプランを受け、本市として、多忙化解消に向けた取り組みをどのようにすすめていく考えなのか、うかがいます。
昨年9月に経済協力開発機構=OECDが公表した、加盟国の教育に関する調査結果では、日本の公立の小学校から高校までの教員の労働時間は最も長いレベルで、労働時間のうち授業に充てる割合は最も低いレベルだったことが明らかになっています。
2015年の公立学校の教員の法定労働時間は、1,891時間で加盟国の平均より200時間以上多く、一方、労働時間に占める授業に充てる時間は、中学校教員で加盟国平均が44%に対し、日本の場合32%にすぎないというのです。
この状況についてOECDは、日本の教員の場合、教育相談や課外活動など授業以外に多くの時間を費やすことが求められているためと分析しています。
こうした労働環境を解消していくことは、教員が授業準備に充てる時間を増やしたり、授業に集中して取り組める環境を作ることにつながり、子どもたちの学力の底上げや、本市がめざす子どもたちの学力向上にも大きく貢献することになると思います。
教職員の業務の適正化が大きく前進するよう、本市の取り組みの強化を心から願っています。
(2)体験型経済教育施設Elemの交通費支援について
次に、体験型経済教育施設Elemの交通費支援についてです。
市議会における改善の指摘を受けて本年度から始まったElem利用時の児童・生徒の交通費支援について、来年度予算案では、今年度の予算額322万4,000円だったものが、来年度は2倍を超える771万7,000円として計上されています。
今回改善された制度の改善のポイントはどのような点にあるのか、うかがいます。
また、JR利用料金の支援をする学校の場合、活動開始時間に到着するために、最も早い出発時間は何時になるか、うかがいます。
6.エネルギー先進都市いわき市をめざすことについて
(1)原子力に依存しない社会に向けて既存の原子力発電所に関する本市の意思表明のあり方について
次に、エネルギー先進都市いわき市をめざすことについてうかがいます。
7年前の原子力発電所の事故は、市民に「もう原発はいいよね」という思いを刻み込みました。
こうした市民の深い思いが、市の復興ビジョンの5番目の理念に盛り込まれ、「原子力発電に依存しない社会を目指す」という復興の大きな目標の一つに据えられることになったのだと考えます。
国のエネルギー政策は、エネルギーにおける原子力の割合を、2030年で20~22%とするなど、原子力発電に頼ったものになっています。7年前の原発事故を受けながら、国が原子力発電にしがみつく姿勢をとるのは、原子力発電所の輸出をすすめるという方針が太く貫かれているからに他なりません。
こうした中で、日立がイギリスですすめる原発の新設事業をめぐって、日本政府が全面的に資金を支援する枠組みを検討しています。原発事業が安全性の観点から建設費が膨らみやすいため、貸し倒れのリスクが高いと判断したメガバンクが、融資に政府保証を着けることを条件に挙げるようになってきたからです。
事業が失敗した時のリスクを、日立やメガバンクが負わず、国民負担に回す。原発の輸出が国策であるからこそ、こんな無謀がまかり通り、原発の技術継承のためには国内の原発を稼働させることが必要になる。この国策と対峙し、原発事故のリスクから市民を守るためにも「原子力に依存しない社会を目指す」という理念は、大切にされなければならないと考えます。
その時に、前議会の東海第二発電所の再稼働及び運転期間延長の申請に関して、本市として廃炉の意見表明をすべきという質問に、「他の自治体の原発再稼働等について、いわき市としては専門的な知見に基づいて構築された新規制基準というものが国によって定められており、この方針に従って行動する」と表明されました。
原発を維持する国の考えと同じレベルに立ったことを示すこの考えは、「原子力に依存しない社会を目指す」という本市の理念から1歩も2歩も後退したものであり、まずは市民の安全・安心の立場に立って行動する。こうしたことがいま、本市に求められているものと考えます。
そこで、まず、原子力に依存しない社会を目指すとした理念を、本市はどのような経過で掲げることになったのか、うかがいます。
次に、この理念の実現に向けて、本市はどのような取り組みを進めるのか、お答えください。
また、原子力に依存しない社会をつくるためには、既存の原子力発電所の廃炉を現実の取り組みをすすめることがなければ達成されません。本市としては既存の原子力発電所の廃炉についてどのような考えを持っているのか、うかがいます。
(2)風力発電所の設置を住民合意のもとにすすめる本市の先進的な取り組みをすすめることについて
原発に変わるエネルギー源として、期待をされるのが再生可能エネルギーです。
本市は、「いわき風力産業推進協議会」を推進母体として風力発電産業を新たな市の基幹産業と位置付け、産学官連携による関連企業の集積や担い手育成を進めようとしています。
この協議会を母体とした取り組みは、今後、どのように展開しようとしているのでしょうか。
本市では次々と大型風力発電事業が計画されています。昨年6月定例会の一般質問では、市内に事業実施想定区域などがある風力発電事業は4事業で、その名称はいずれも仮称で、三大明神風力発電事業、田人風力発電事業、阿武隈南部風力発電事業及び馬揚山風力発電事業で、合計、最大で86基の発電所建設の計画があることが答弁されておりました。
このうち遠野地区に計画されるユーラスエナジーの発電所は、環境影響評価等に対する住民の意見も踏まえながら17基の計画を、1基当たりの発電量を増やすことで9基まで減らす計画に事業をねり直し、住民に説明しております。
しかし、この計画に加え、アカシア・リニューアブルズ株式会社が22基から27基で総発電量8万6,400Kwの風力発電所建設を計画し、環境影響評価方法書の提出に向けた準備をすすめています。
また、遠野町の北側となる馬揚山発電所は、10基から18基の計画であり、この計画も合わせると最大一つの区域に54基の大型の風力発電機が並ぶという、集中的な開発が行われようとしています。
こうした集中的な開発が行われかねない事態に対し、住民は土砂災害をはじめとした災害、超低周波や水として使う井戸及び沢水の汚濁等住環境の悪化などへの不安を募らせています。
こうした集中立地での住民生活への影響について、本市はどのように認識しているでしょうか。
長野県の、中・大型風力発電計画に対して設置規制をかけるガイドラインの策定など、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーの発電施設整備を、住民合意のもとにすすめる自治体としての仕組みづくりが広がっていますが、風力発電関連産業を本市の基幹産業として発展させるためにも、本市としてもこのような仕組みづくりをして、風力発電施設とともに、そのノウハウを全国に広げることが大切になっていると考えますが、本市としてはどのように認識しているでしょうか。
7.非核平和都市宣言に基づく平和を築く情報発信について
(1)平和と核兵器廃絶に積極的に情報発信することについて
最後に、非核平和都市宣言に基づく平和を築く情報発信についてうかがいます。
いま、改憲に向けた動きが強まっています。安倍首相は現在の憲法9条の1項、2項は変えずに、自衛隊を憲法に明文で書き込むことを主張しています。
昨年の憲法記念日の憲法改正を求める集会に、安倍首相はビデオメッセージを寄せ、おおよそ次のようにのべました。
「今日、災害救助を含め、命懸けで、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、今なお存在しています。私は、私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます。」
つまり災害救助などでがんばる自衛隊が、違憲と言われるのはかわいそうだから、憲法に書き込むべきという主張です。
そもそも自衛隊に関する憲法論議はともかく、自衛隊が一定程度国民に受け入れられた存在になっているのは首相がいう通りでしょう。あの東日本大震災で、救援、復旧の活動に携わった自衛隊を見た被災地の住民はなおさらです。
その自衛隊に対して醸成させた信頼をことごとく壊してきたのは、世界のどこでも米軍と自衛隊が軍事行動をとれるように、これまでの憲法解釈を次々と破壊してきた安倍政権ではないでしょうか。ある意味、自衛隊をかわいそうな立場に追い込んできたのは、安倍政権だといわざるを得ないのです。
安倍首相は、「自衛隊が合憲であることは明確な一貫した政府の立場だ。国民投票で、たとえ否定されても変わらない」と言い、憲法に自衛隊を書き加えても、これまでと何ら変わらないともいいます。
それならば改憲をする必要がありません。それでも、自衛隊を書き込む改憲をすすめようとするのは、後で作られた条項が古い条項に優先するという法律の考え方にもとづき、自衛隊が集団的自衛権を担う軍事力として、どうどうと米軍と共同作戦をとることができるようになるという展望を持っているからに他なりません。
また、昨年、国連で採択された核兵器禁止条約の批准がすすんでいますが、ここでも「核兵器はつまらないからよせ」という精神を広げていくことが大切になっていると思います。
本市非核平和都市宣言は、日本国憲法の「恒久平和」の願いを織り込んだ宣言として、過去の日本の侵略戦争への反省や日本の平和への貢献につながる内容を持ち、核兵器廃絶を強く訴える素晴らしい宣言です。この宣言の持つ生命力をいま多くの人に広げていくことが大切になっていると思います。
「核兵器はつまらないからよせ」という非核平和都市宣言を様々な場面で市内外にアピールすることが大切だと考えますが、どのように認識していますか。
(2)非核平和都市宣言に基づく本市の取り組みについて
また、非核平和都市宣言に基づく本年度の取り組みは、どのように展開する考えでしょうか、お答えください。
以上、質問してまいりましたが、市長はじめ執行部のみなさんの真摯な答弁をお願いして、第1演壇での質問を終わります。
ご清聴ありがとうございます。
代表質問は、40分の持ち時間で一括質問し、これに対して一答弁で行われるため、質問と答弁のかみあいが見えにくいのですが、何とか、無事に質問を終了することができました。答弁後は10分の持ち時間で再質問、再々質問が可能です。
市政の展望を語る上で、市長の選挙公約に対する姿勢が問われると考え、11月、12月定例会に続いて、公約等の問題も取り上げましたが、市長陣営の発行物ではなかったものの、バス・タクシーの利用券を交付することになったという文書について、その表記の正確さが疑われる答弁もありました。
今日は答弁まで掲載することは時間的に無理なので、質問の原稿のみ掲載します。
代表質問
1 市政運営をすすめる考え方について
(1)公約について
10番日本共産党いわき市議団の伊藤浩之です。
25日に閉幕した平昌オリンピックでは、日本が、長野オリンピックを超えて過去最高の13個のメダルを獲得したことが話題になっていますが、私はメダルの数はもとより、選手たちのいわゆる神対応に大きな感動を覚えました。
スピードスケート女子500mを制した小平選手が、2位となって涙を流す韓国の李相花(イサンファ)選手を抱き寄せて健闘をたたえたウィニングランがありました。カーリング女子準決勝で韓国に敗れた直後、同国選手に握手を求め検討をたたえた日本チームの選手の姿がありました。藤澤選手は、「韓国は同じアジアのチームとして誇り」と語りました。
こうした場面に出くわすたびに胸に熱くこみ上げるものを感じた大会でした。涙もろくなるのは感情をつかさどる前頭葉の機能の衰えで、その原因は老化だと聞くと、すぐに感動を覚える自分を素直に喜ぶことができないのですが、とにかく、勝ち負けを越えて、国を越えて、また国の間に横たわる政治問題を越えて、人と人との友情の輪を広げているトップ選手たちの振る舞いが、そして言葉が感動を広げた、平和の祭典にふさわしい大会だったと思います。
このオリンピックにかかわりある局の放送で、長野冬季五輪、男子ジャンプのメダリストである船木和喜氏が面白いことを語っていました。
純粋に喜びの金、後悔の銀、ほっと一安堵の銅、という話です。メダルを取れたことで、とりあえず喜びが湧く銅に対して、銀の場合は、もう少しで金であるだけに、ああすれば良かった、こうすれば良かったと悔いが湧いてくるというのです。
選挙は当選するか、落選するかしかありませんから、メダルで言えば、金と銀しかないことになりますが、船木氏のいう後悔の銀は、選挙で次点になった者ということができるかもしれません。
清水市長は、一人しか当選しない市長選挙で、2回連続の金メダルをとりました。そして、2期目初の予算案を今議会に提出をしました。
私は、先の11月定例会、12月定例会と、市長の公約や発言の問題を取り上げて質問してきました。考えてみれば、私は議会に送り出していただいた最初の議会から、市長の公約問題を取り上げてきたことに思い至ります。
私は、2005年・平成17年の市議会議員補欠選挙で当選させていただきました。同じ投票日に初当選を果たした櫛田市長は、当時の芸術文化交流館建設計画の見直しや、いわき駅前再開発事業に導入することになった総合型図書館を独立図書館として整備するなどを訴えていました。
櫛田市長の初議会になった同年の10月定例会は、私にとっても初議会でしたが、これらの事業はすでに契約等が済んでいる状況から考えても、公約にそもそも無理があるという立場から質問をさせていただきました。他の議員も同様の質問をしていましたが、櫛田市長は、その後、これらの事業に若干の見直しを加えただけで公約を事実上撤回し、基本的に四家市政がすすめた事業を完成させることになりました。
清水市長は1期目、復興対応のスピードアップや総合磐城共立病院は経営形態も含めて再検討などと訴えて選挙をたたかいました。ところが、当選後迎えた最初の定例会で、「一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきた」とそれまでの市の取り組みを肯定的に評価する姿勢に変わるなど、中心的に訴えた公約のトーンをダウンさせ、渡辺市政が震災後に進めてきた施策を基本的に引き継いで、それまでの復旧・復興の事業を完成させる時期を市長としてつとめてきました。
私は、市長の2期目にあたっても、配布された文書の問題や市長の発言、公約等について、そこに感じた問題や疑問を質問してきましたが、これに対する答弁を聞いた時、やはり市長の公約等に関する姿勢に疑問を感じざるを得ない、そんな思いでいます。
今議会の提案説明で市長は、共創によるまちづくりを市民に呼びかけて、「あらゆる主体と地域課題の思いを共有し、持てる知恵と資源を結集しながら、課題の解決と新たな時代の創造に取り組むことが重要」と発言されています。そのためには信頼関係を深めることが必要だと思います。そのためにも、公約の妥当性が問われることももちろんありますが、まずは、市民との約束である公約について真摯に対応する姿勢が求められていると考えます。
市長は、磐城平城の櫓構想にかかわって、オリンピックになって増える外国人観光客に「オーワンダフルと言わせたい」と話したことは例え話だったとするなど、市民に対する公約を軽視する発言をしています。これらの選挙にあたってかかげた公約は妥当なものであったと考えていらっしゃいますか。
(2)公約が有権者に与える影響について
次に公約が有権者に与える影響についてです。
公約は、その実現が有権者との約束ということになります。私たち市議会議員は、議会内外の活動で、その実現をめざすことになります。しかし、議員は予算編成権を持っていません。予算の修正はできるものの、その内容は、市長の予算編成権を侵さない程度でしか行うことができないと考えられています。
それだけに、予算編成権を持つ市長となった者が掲げた公約は、より実現性の高いものとして多くの有権者の関心を集めることは間違いありません。
昨年の11月定例会に市長は、公約に掲げた「夢プロジェクト」の一環である磐城・平城の櫓の建設にかかわる発言が有権者の投票行動に与えた影響について「有権者のみなさんがそれぞれ判断したものと思う」と答えました。また、市長陣営の発行物ではないとは言え、新聞折り込み等で配布された「早ければ来年度からバスやタクシーの利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書の影響については、「新聞の購読者が判断することだと思う」と答えました。
おっしゃる通り、判断をするのは有権者です。しかし、この答弁は、質問には全く答えていないのです。なぜまともに答えないのでしょうか。こうしたところに、共創によるまちづくりの前提が作られていないと感じざるを得ないのです。
そこで、あらためて市長の公約等に関する認識をうかがいたいと思います。
初めに、選挙にかかわり配布される文書の記載事項、あるいは候補者等の発言はどのような目的を持つものと認識しているのか、うかがいます。
次に、市長は、これらの文書の記載事項、あるいは発言が有権者の投票動向にどのように影響するものと考えているのか、うかがいます。
また、選挙にかかわる文書の記載事項あるいは発言に誤りがあった場合に、これに対する説明責任をどのようにとらえているのか、お答えください。
(3)バス・タクシーの利用券を「交付することになった」という文書の表現の妥当性と本市の取り組みについて
次にバスやタクシーの利用券に関する問題です。
昨年の市長選挙の直前に配布された「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という文書について、清水市長は「他の自治体で取り組んでいる事例等を参考にしながら、高齢者の健康長寿をサポートする取り組みの一例としてお示しさせていただいたものであり、その取材活動の中で、ご指摘のような表現につながったものと受け止めております」と答弁しました。自分はそう言っていないと答弁しているのです。
しかし、記事の撤回を求めることには「検討しているのは事実であります」と拒否し、また「交付することになった」という記載については、「いわき経済報が独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁しております。
この文章が書かれた経過は、答弁の通りかもしれません。しかし、問題は書かれた経過にあるのではなく、選挙目前という有権者の判断に大きく影響する時期に配布された内容が、事実を反映していないことに問題があり、無料でバス・タクシーを使えるようになったという誤解を与えて有権者の投票動向に影響を与え、なおかつ、いまだに期待を抱かせている点にあります。
そこで最初に、「バスやタクシー利用券を高齢者向けに交付することになった」という記載について「独自に取材をして書かれたものと理解している」と答弁してきましたが、「交付することになった」という記載は、本市の検討段階において正しい表現となっているのか、うかがいます。
次に、本市の公共交通対策の検討状況を市民に正しく伝えるという観点から見た時、この文書の記載は妥当なのか、あるいは妥当でないのか、市長はどのように認識していらっしゃるのか、うかがいます。
また、交通弱者に対する交通手段の確保について、新年度にはどのような事業を実施しようとしているのでしょうか、うかがいます。
引き続く交通弱者対策の拡充を図ることが本市にとって大きな課題となりますが、バス・タクシーの無料利用を図ることも含め、本市はどのように取り組んでいく考えなのか、お答えください。
2 本市の復興に向けた取り組みについて
(1)市長1期目に完了した事業について
次の質問は、本市の復興に向けた取り組みについてです。
4年前の選挙の時、市長は、復興を市民は実感していないとして「震災復興対応のスピードアップに全力投球」と公約し、復旧・復興が短期日に大きく前進する期待を市民に抱かせました。ところが、先に述べた通り、当選後の議会では「一部の取り組みで課題や遅れがあるものの、一歩一歩着実に復興の歩みを進めてきたものと考えている」と選挙中の発言をトーンダウンし、基本的に渡辺市政の事業を引き継ぎ取り組んできました。
この復旧・復興の加速化を言っていた1期目で完了、あるいは完了の目途が立った事業はどのようなものか、うかがいます。
(2)本市の復興に向かって市長1期目の期間に新たに手掛けた事業について
清水市長の1期目は、その期間が、いわき市の市制施行50周年にあたったこともあり、イベントを中心とした交流人口拡大の事業が目についた4年間という印象がありますが、
この期間中で、本市の復興に向かって新規に導入した事業にはどのようなものがあるのか、うかがいます。
(3)震災直後の復旧・復興の到達点を踏まえた本市復興への今後の事業推進について
先に開かれた建設関係団体連絡協議会の新年祝賀会では、協議会の長谷川理事長が、震災からの復興事業が9割がた完了し、今後公共事業が減少に向かうことによる業界の先行きに懸念を語りながら、災害対策にはまだまだ課題があり、災害対応の最前線で安全安心を担う建設関係事業者に対しても安定した事業量の確保を要望し、あいさつしていました。
本市は、2011年、平成23年9月に策定した「復興ビジョン」で、復旧・復興の目的を明確にしました。
「前例のない複合災害に見舞われた福島県浜通り地域の拠点都市として、市民の安全・安心を最大限に確保し、震災前にも増して活力に満ち溢れた、世界に誇る復興再生モデルとなる持続可能なまち『いわき』を創ります」。
このようにしたのです。
「震災前にも増して活力に満ち溢れた」まちいわき。こうした観点から見た時に、復興はまだままだ道半ばです。
復旧・復興事業が収束に向かう状況を踏まえ、今後の本市の復興に向けてどのように取り組んでいく考えでしょうか。
新年度予算には今後の本市の復興に向けて、具体的にどのような事業が盛り込まれているのでしょうか。
3 安倍政権がすすめる政策のもとでの市民生活を守る本市のとりくみについて
(1)安倍政権のすすめる社会保障の抑制等が本市市民の生活に与える影響について
次の質問は、安倍政権がすすめる政策のもとでの市民生活を守る本市のとりくみについて、です。
復興の課題は生活基盤の整備や施設の復旧にとどまらず、市民のくらしを「震災前に増して活力に満ち溢れた」ものにしていくことも、また大きな課題になっていると思います。
震災から7年が過ぎたとはいえ、震災、原発事故の被災者の生活再建は、まだまだ道半ばです。そういう再建途上にある被災者たちにとって、2014年・平成26年4月に消費税が8%に引き上げられたように、国の政治が暮らしの復興の足かせになっているという現実を見ることができると思います。
いま、国会で審議中の2018年度、平成30年度の政府予算案では、防衛関係予算を過去最大の5兆2,000億円計上する一方、社会保障の自然増部分を1,300億円圧縮するなど、社会保障の抑制を反映させたものとなっています。。
この結果、生活保護費の削減や生活扶助、母子加算の10月からの段階的削減が計画され、高額療養費の自己負担引き上げ、後期高齢者保険料軽減の見直しが行われ、この他に74歳以上の医療費の窓口負担を2割にしたり、マクロ経済スライドの実施による年金減額等、広範な市民に負担増と給付削減を押し付け、暮らしの復興に重石を背負わせているという状況があります。
住民のみなさんを訪ねると「年金が減らされていて、生活が大変になってきた」という声がどこにいっても聞かれます。国の新年度予算案では、社会保障が切り詰められていますが、これら社会保障の抑制が市民生活に与える影響について、どのように認識していますか。
(2)市民生活を守る本市の取り組みについて
社会保障の抑制が続く中で、新年度には、市民生活を支えるための取り組みをどのようにすすめる考えでしょうか。
(3)学校給食の無償化について
安倍政権は、昨年の衆議院選挙で高等教育の無償化を公約に掲げました。多くの子育て世代は、この公約に期待を寄せたものと思います。しかし、多数議席を占めることになった安倍政権は、無償化の対象世帯を非課税世帯など一部に限定した上、実施時期を消費税を増税しようとしている2019年度、平成31年度以降に先送りすることにしました。多くの国民、多くの市民の期待は残念ながら裏切られる結果になっています。
私たちは先の市議会議員選挙で、子育て世代を支援し、安心して学ぶ教育環境を充実する観点から、学校給食の無料化を市民のみなさんに訴え、多くの共感をいただきました。
安倍政権の社会保障抑制と労働法制の後退のもとで、学校給食の無償化は、子育てと教育環境支援の強化の上から大きな効果を発揮するものと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
(4)国民健康保険税の算定について
次に国民健康保険税の算定について伺います。
国民健康保険は、新年度から、財政が県単位の運営に移行し、国保税の賦課・徴収は、当面、これまで同様市の事業として残ることになっていますが、2月15日にこの国保の必要財源を確保するための市町村ごとの納付金とともに、県が市町村に示すことになっている標準保険料率が公表されました。
それによると、2016年度、平成28年度の実績よりも増えることになる6町村には、保険料の急激な上昇を抑える激変緩和措置として国の交付金を投入することにした結果、全ての市町村で国保税が実績より低い額とされています。
本市は、県の納付金を確保するため、この標準保険料率等を参考にしながら国保税を算定することになります。
今回の標準保険料率はあくまで参考値であり、現時点で本市の国保税が前年度よりも低くなることを示すものではありませんが、本市の来年度の国保税率等については、今後、どのような手順で算定されていくことになるのでしょうか。
また、本市は、国保の運営が都道府県に移管した後も、単年度収支では赤字が見込まれるとして、安定的な国保の運営に資するために国保に基金を積み増ししました。仮に、来年度の国保税が引き上げになるような事態に立ち至った場合、どのような対応をとるのかあらためてうかがいます。
さらに、国保の安定的な運営が続くことになれば、基金が利用されないケースも考えられますが、国民健康保険は将来的には賦課、すなわち国保税の税率も県内統一したものにすることが目標となっています。このような時に、残されている基金はどう取り扱われるのでしょうか、お答えください。
(4)介護保険料の引き上げについて
次は介護保険料についてです。
今議会に提出された条例改定案には、介護保険制度の65歳以上の加入者である1号被保険者の介護保険料を、基準額で279円、4.8%引き上げる案が含まれています。
今回の介護保険料は第7期の見直しに基づくものですが、第6期介護保険料の見直しの際、一般質問では介護保険料は「制度施行当初より上昇を続けている」との現状認識が示され、市民福祉常任委員会の質疑では、執行部も介護保険料の負担が厳しいということを自覚し、市長会等を通じて国庫負担を拡大することなどを要望しており、今後も強く要望していくとの発言がされました。
今回の見直しによっても介護保険料は値上げとなっていますが、今回の値上げが市民生活に、どのような影響を与えると認識しているのか、うかがいます。
本市は、介護保険料の負担が厳しいという自覚のもと、市長会等を通じて国に制度の改善を要望してきました。どのような事項が要望されてきたのか、うかがいます。
介護保険制度の変更は、市長会等の要望を受けながらされてきたものと思います。この間、介護保険制度はどのような点が改定されてきたのか、お答えください。
介護保険料の負担は大きくなる一方で、要支援1、2、要介護1、2を介護保険制度から切り離し、総合事業に移行させるなど、利用者の視点から見た場合、負担は増やし、給付は減らす方向に動いています。
その最大の原因は、やはり社会保障の抑制をはかる今の国の政治にあると考えます。
本市は、介護保険における国の負担を増やすことを求めていると、3年前の介護保険料の改定時に述べておられます。今後とも制度の改善も含めて、国の社会保障に対する責任をしっかり果たすことを求めていただきたいと思います。
4 年頭所感にみる事業について
次に1月5日公表された市長の年頭所感にかかわりうかがいます。その内容を見て本市がどのような方向に進もうとしているのかをとらえた時に、若干の違和感を持たざるを得ませんでした。
清水市長の4年間は、先にも述べた通り、イベント等が目につく4年間でしたが、今後、サモワ独立国とのホストタウン交流事業に関連して、総合体育館の改修が優先的に浮上してきたり、磐城平城一夜城プロジェクトが城跡公園の整備に関連して櫓建設の公約の先導役を担ったようになったことなど、イベントなどの華々しい事業が、いわゆるハコモノ行政を引き寄せるけん引役を担うことになっているのではないか、そんな危惧を覚えざるをえません。
その中、年頭所感には、今回の議案の提案理由説明でも同様ですが、多額の補助金が見込まれる並木通り地区市街地再開発事業を本格的に始動するための都市計画決定を本年3月を目途に行い、いわきFCが東北社会人リーグ2部に昇格したもとで、いわきFC等とも連携しながら、スポーツが持つ力を最大限に活用し、夢や感動、希望に満ち溢れたまちづくりの推進をうたい、清水市長が選挙の中で公約に挙げながら、市民的合意に疑問がある磐城平城の櫓の建設に関しても、市民各界各層の意見を聞きながら検討していくことなどが盛り込まれました。
これらの事業の今後の取り組み等について伺います。
(1)いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業など本市における第一種市街地再開発事業について
まず、本市におけるこれまでの市街地再開発事業には、ティーワンビルと住宅棟であるグランディ・セーラムT1を整備した事業費88億円余の平一町目地区第一種市街地再開発事業及びラトブを建設した事業費172億円余のいわき駅前地区第一種市街地再開発事業がありました。それぞれフロアに公共施設が導入されています。これらの再開発事業に公共施設の導入を図ったのは、どのような理由があったのか、うかがいます。
また、それぞれの再開発事業で、公共施設の導入を図らなかった場合の事業採算性は、どのような状況だったのでしょうか。
これまで、本市がすすめた第一種市街地再開発事業の進捗状況を見た時に、結果として公共施設を導入しなければ、事業の採算性がとれないものだったということを見ることができると思います。そして、このことは、結果的に一般財源の支出という形で、市民負担を増大させてきた問題があったという事実を見ることができます。
今後、いわき駅並木通り地区第一種市街地再開発事業をすすめるにあたって、民間の活力を最大限に生かし、余計な公共投資を招かなくすむように、本市としてこの事業にどのようにかかわっていく考えか、うかがいます。
(2)サッカースタジアムを軸としたまちづくりの可能性調査と市民的合意について
次に、スタジアムを軸としたまちづくりの可能性調査等についてです。
株式会社ドームが本市に進出し、ドームいわきベースの内覧会が開かれたおり、同社社長は今後の展開としてスタジアム構想などを語りました。その後、同社は一般社団法人いわきスポーツクラブからいわきFCの運営権を譲り受け活躍しています。
その中でサッカースタジアム構想が持ち上がり、本市は新年度予算にスポーツを軸としたまちづくりを見据え、スポーツを新たな経済エンジンとするためとして、スタジアム整備に向けた事業可能性の調査を実施する予算2,296万円余を計上しています。
サッカースタジアム建設の全国的な例を見ると数百億円の事業となっていることから、本市にとって本当に必要なのかどうか、慎重な検討が必要ですし、市民的な合意形成を図ることも欠かせないと考えます。
そこで、新年度に本市が行う事業可能性調査では、どのような内容について調査をする計画なのか、まずうかがいます。
次に、サッカースタジアムを軸としたまちづくりには、事業のあり方も含めて広範な市民の合意が欠かせません。現時点での市民的合意の状況をどのようにとらえているのか、うかがいます。
また、市民的合意を広げるにあたって、どのように取り組んでいく考えでしょうか、お答えください。
(3)(仮称)磐城平城・城跡公園の櫓整備について
次は仮称、磐城平城・城跡公園の櫓整備についてです。
磐城平城・城跡公園に櫓の建設を訴えた市長の公約に関して、11月定例会の、平地区の住民からさえ「お城が必要だと思っている人はいないのではないか。今はハコモノの時代ではない。人の暮らしにこそ税金を使うべきではないか」という声があるという質問に、市長は「市民のみな様から、ぜひやるべきだというような意見をお伺いしております。また、議員ご指摘のような意見も承っているところでございます」と、建設に賛同する声も、反対する声も受け止めていることを明らかにしています。
市長は、今度の磐城平城・城跡公園の櫓について、年頭所感でも提案理由説明でも、これまでと同様、「市民各界各層の方々のご意見を十分にお伺いし、今後検討してまいります」としましたが、まずは本市の今後にとって必要な事業なのかどうか、広範な市民の合意が得られる事業なのかどうか、この点が検討されていかなければならないと思います。まずは、これが第一段階です。
仮に、ここで広範な市民の合意が得られて、本市にとって必要な事業と判断されたとして、次の段階には、どんな櫓を整備するのかが問題になります。
2月2日のいわき民報に高橋真樹さんが寄稿しています。高橋明子前市議会議員の息子さんで、磐城平城が大好きで熱心に取材・研究をしながら「大好き!磐城平城」というWEBサイトを制作しています。
その寄稿には、磐城平城の三階櫓は当初は外観が三重だったものが、やがて二重に改築されたと考えられるとして、次のように記されています。
「詳細な造形はまだ分からないことが多く、新たな史料を見つけ出さなければ解明できない。しかしながら私は『何とかその史料を探し出したいなあ!』そう考えている」。
市長が言っている磐城平城の三階櫓は、どんな櫓として整備しようとしているのか。このことに警告を発しているのではないでしょうか。
そこでまず、市長は、三階櫓や八棟櫓を教育に活用するとしていますが、どのような活用を考えているのか、うかがいます。
次に、磐城平城・城跡公園の整備と櫓整備を活用した教育を通じて、子どもたちに故郷に対する誇りを育んでいくことを考えれば、三階櫓等が史実とは異なるまがい物であっていいはずがありません。三階櫓、八棟櫓の整備を「夢プロジェクト」として掲げた市長は、教育に活用するとした施設は、どのようなものがふさわしいと考えているのでしょうか、お答えください。
また、三階櫓等の整備は、その姿形も含めて歴史的な検証に耐えうる史料が明らかになって以降に検討するべきと考えます。市長の見解を伺います。
5 学校現場における業務の適正化等について
(1)学校現場における業務及び部活動の適正化について
次は、学校現場における業務の適正化についてです。
教職員の業務の適正化については、本市としては、これまで、国の制度整備や必要な予算措置を含めた業務改善の方策の策定を受けて市としての方策をとりまとめつつ、学校現場での業務の適正化に向けた支援に努めるとしてきました。
これまでに、中央教育審議会の特別部会は昨年8月に「学校における働き方改革にかかる緊急提言」をまとめ、その後、教員の処遇改善に関する中間まとめを公表しました。また、福島県教育委員会は今年2月9日に「教職員多忙化解消アクションプラン」をまとめています。
県のプランでは、中学校教諭の約7割、高等学校教諭の約5割が月にして80時間以上の時間外勤務をしており、看過できない状況にあることが判明したとしています。
そこでまず、本市における中学校教員の時間外勤務はどのような状況にあるのか、うかがいます。
月80時間の時間外勤務というと、2か月から6カ月にわたって、1カ月間の残業時間の平均が80時間を超えている場合は過労死基準となりますkら、多すぎる時間外勤務だと思います。ですから、県のプランにある業務繁忙な時期でも月80時間以下という目標値は、あまりにも控えめな数値に聞こえてきます。
それだけにこうした状況を早期に改善し、さらに適正化を十分にすすめていくことが求められていると考えます。
そこで、2月9日の県教委の多忙化解消アクションプランを受け、本市として、多忙化解消に向けた取り組みをどのようにすすめていく考えなのか、うかがいます。
昨年9月に経済協力開発機構=OECDが公表した、加盟国の教育に関する調査結果では、日本の公立の小学校から高校までの教員の労働時間は最も長いレベルで、労働時間のうち授業に充てる割合は最も低いレベルだったことが明らかになっています。
2015年の公立学校の教員の法定労働時間は、1,891時間で加盟国の平均より200時間以上多く、一方、労働時間に占める授業に充てる時間は、中学校教員で加盟国平均が44%に対し、日本の場合32%にすぎないというのです。
この状況についてOECDは、日本の教員の場合、教育相談や課外活動など授業以外に多くの時間を費やすことが求められているためと分析しています。
こうした労働環境を解消していくことは、教員が授業準備に充てる時間を増やしたり、授業に集中して取り組める環境を作ることにつながり、子どもたちの学力の底上げや、本市がめざす子どもたちの学力向上にも大きく貢献することになると思います。
教職員の業務の適正化が大きく前進するよう、本市の取り組みの強化を心から願っています。
(2)体験型経済教育施設Elemの交通費支援について
次に、体験型経済教育施設Elemの交通費支援についてです。
市議会における改善の指摘を受けて本年度から始まったElem利用時の児童・生徒の交通費支援について、来年度予算案では、今年度の予算額322万4,000円だったものが、来年度は2倍を超える771万7,000円として計上されています。
今回改善された制度の改善のポイントはどのような点にあるのか、うかがいます。
また、JR利用料金の支援をする学校の場合、活動開始時間に到着するために、最も早い出発時間は何時になるか、うかがいます。
6.エネルギー先進都市いわき市をめざすことについて
(1)原子力に依存しない社会に向けて既存の原子力発電所に関する本市の意思表明のあり方について
次に、エネルギー先進都市いわき市をめざすことについてうかがいます。
7年前の原子力発電所の事故は、市民に「もう原発はいいよね」という思いを刻み込みました。
こうした市民の深い思いが、市の復興ビジョンの5番目の理念に盛り込まれ、「原子力発電に依存しない社会を目指す」という復興の大きな目標の一つに据えられることになったのだと考えます。
国のエネルギー政策は、エネルギーにおける原子力の割合を、2030年で20~22%とするなど、原子力発電に頼ったものになっています。7年前の原発事故を受けながら、国が原子力発電にしがみつく姿勢をとるのは、原子力発電所の輸出をすすめるという方針が太く貫かれているからに他なりません。
こうした中で、日立がイギリスですすめる原発の新設事業をめぐって、日本政府が全面的に資金を支援する枠組みを検討しています。原発事業が安全性の観点から建設費が膨らみやすいため、貸し倒れのリスクが高いと判断したメガバンクが、融資に政府保証を着けることを条件に挙げるようになってきたからです。
事業が失敗した時のリスクを、日立やメガバンクが負わず、国民負担に回す。原発の輸出が国策であるからこそ、こんな無謀がまかり通り、原発の技術継承のためには国内の原発を稼働させることが必要になる。この国策と対峙し、原発事故のリスクから市民を守るためにも「原子力に依存しない社会を目指す」という理念は、大切にされなければならないと考えます。
その時に、前議会の東海第二発電所の再稼働及び運転期間延長の申請に関して、本市として廃炉の意見表明をすべきという質問に、「他の自治体の原発再稼働等について、いわき市としては専門的な知見に基づいて構築された新規制基準というものが国によって定められており、この方針に従って行動する」と表明されました。
原発を維持する国の考えと同じレベルに立ったことを示すこの考えは、「原子力に依存しない社会を目指す」という本市の理念から1歩も2歩も後退したものであり、まずは市民の安全・安心の立場に立って行動する。こうしたことがいま、本市に求められているものと考えます。
そこで、まず、原子力に依存しない社会を目指すとした理念を、本市はどのような経過で掲げることになったのか、うかがいます。
次に、この理念の実現に向けて、本市はどのような取り組みを進めるのか、お答えください。
また、原子力に依存しない社会をつくるためには、既存の原子力発電所の廃炉を現実の取り組みをすすめることがなければ達成されません。本市としては既存の原子力発電所の廃炉についてどのような考えを持っているのか、うかがいます。
(2)風力発電所の設置を住民合意のもとにすすめる本市の先進的な取り組みをすすめることについて
原発に変わるエネルギー源として、期待をされるのが再生可能エネルギーです。
本市は、「いわき風力産業推進協議会」を推進母体として風力発電産業を新たな市の基幹産業と位置付け、産学官連携による関連企業の集積や担い手育成を進めようとしています。
この協議会を母体とした取り組みは、今後、どのように展開しようとしているのでしょうか。
本市では次々と大型風力発電事業が計画されています。昨年6月定例会の一般質問では、市内に事業実施想定区域などがある風力発電事業は4事業で、その名称はいずれも仮称で、三大明神風力発電事業、田人風力発電事業、阿武隈南部風力発電事業及び馬揚山風力発電事業で、合計、最大で86基の発電所建設の計画があることが答弁されておりました。
このうち遠野地区に計画されるユーラスエナジーの発電所は、環境影響評価等に対する住民の意見も踏まえながら17基の計画を、1基当たりの発電量を増やすことで9基まで減らす計画に事業をねり直し、住民に説明しております。
しかし、この計画に加え、アカシア・リニューアブルズ株式会社が22基から27基で総発電量8万6,400Kwの風力発電所建設を計画し、環境影響評価方法書の提出に向けた準備をすすめています。
また、遠野町の北側となる馬揚山発電所は、10基から18基の計画であり、この計画も合わせると最大一つの区域に54基の大型の風力発電機が並ぶという、集中的な開発が行われようとしています。
こうした集中的な開発が行われかねない事態に対し、住民は土砂災害をはじめとした災害、超低周波や水として使う井戸及び沢水の汚濁等住環境の悪化などへの不安を募らせています。
こうした集中立地での住民生活への影響について、本市はどのように認識しているでしょうか。
長野県の、中・大型風力発電計画に対して設置規制をかけるガイドラインの策定など、風力発電をはじめとした再生可能エネルギーの発電施設整備を、住民合意のもとにすすめる自治体としての仕組みづくりが広がっていますが、風力発電関連産業を本市の基幹産業として発展させるためにも、本市としてもこのような仕組みづくりをして、風力発電施設とともに、そのノウハウを全国に広げることが大切になっていると考えますが、本市としてはどのように認識しているでしょうか。
7.非核平和都市宣言に基づく平和を築く情報発信について
(1)平和と核兵器廃絶に積極的に情報発信することについて
最後に、非核平和都市宣言に基づく平和を築く情報発信についてうかがいます。
いま、改憲に向けた動きが強まっています。安倍首相は現在の憲法9条の1項、2項は変えずに、自衛隊を憲法に明文で書き込むことを主張しています。
昨年の憲法記念日の憲法改正を求める集会に、安倍首相はビデオメッセージを寄せ、おおよそ次のようにのべました。
「今日、災害救助を含め、命懸けで、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、今なお存在しています。私は、私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます。」
つまり災害救助などでがんばる自衛隊が、違憲と言われるのはかわいそうだから、憲法に書き込むべきという主張です。
そもそも自衛隊に関する憲法論議はともかく、自衛隊が一定程度国民に受け入れられた存在になっているのは首相がいう通りでしょう。あの東日本大震災で、救援、復旧の活動に携わった自衛隊を見た被災地の住民はなおさらです。
その自衛隊に対して醸成させた信頼をことごとく壊してきたのは、世界のどこでも米軍と自衛隊が軍事行動をとれるように、これまでの憲法解釈を次々と破壊してきた安倍政権ではないでしょうか。ある意味、自衛隊をかわいそうな立場に追い込んできたのは、安倍政権だといわざるを得ないのです。
安倍首相は、「自衛隊が合憲であることは明確な一貫した政府の立場だ。国民投票で、たとえ否定されても変わらない」と言い、憲法に自衛隊を書き加えても、これまでと何ら変わらないともいいます。
それならば改憲をする必要がありません。それでも、自衛隊を書き込む改憲をすすめようとするのは、後で作られた条項が古い条項に優先するという法律の考え方にもとづき、自衛隊が集団的自衛権を担う軍事力として、どうどうと米軍と共同作戦をとることができるようになるという展望を持っているからに他なりません。
また、昨年、国連で採択された核兵器禁止条約の批准がすすんでいますが、ここでも「核兵器はつまらないからよせ」という精神を広げていくことが大切になっていると思います。
本市非核平和都市宣言は、日本国憲法の「恒久平和」の願いを織り込んだ宣言として、過去の日本の侵略戦争への反省や日本の平和への貢献につながる内容を持ち、核兵器廃絶を強く訴える素晴らしい宣言です。この宣言の持つ生命力をいま多くの人に広げていくことが大切になっていると思います。
「核兵器はつまらないからよせ」という非核平和都市宣言を様々な場面で市内外にアピールすることが大切だと考えますが、どのように認識していますか。
(2)非核平和都市宣言に基づく本市の取り組みについて
また、非核平和都市宣言に基づく本年度の取り組みは、どのように展開する考えでしょうか、お答えください。
以上、質問してまいりましたが、市長はじめ執行部のみなさんの真摯な答弁をお願いして、第1演壇での質問を終わります。
ご清聴ありがとうございます。
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