伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む元市議会議員。1960年生まれ。最近は遠野和紙に関わる話題が多し。気ままに更新中。

ぶり返す寒さの中で和紙・楮ボランティア活動

2023年02月15日 | 遠野町・地域
 今回の活動開始は深山田。遠野和紙の最後の職人だった故瀬谷安雄氏のご家族から借り受けている楮畑だ。
 集合は午前9時なのだが、私が到着した5分前には、すでに集まっていたボランティアと地域おこし協力隊員が作業を進めており、だいぶ刈り採りが進んでいた。

 小1時間かけて半分程の楮を刈り採った後に和紙工房「学舎」に移動して、枝の切りそろえと2回の釜蒸しと皮むき、合間でのしょしとり(未処理の楮皮から表皮の黒皮とその下層の甘皮を剥ぐ作業)を進めた。

 それにしてもきょうは寒かった。朝はしっかり霜が降りていた。温かさに誘われてぼちぼち花を付けだしたホトケノザやオオイヌノフグリが寒さに震え縮こまっていた。



 刈り採りと釜蒸しそして皮むき作業は、基本的に戸外で作業をする。昨日の刈り採りをした時間は穏やかな気候で若干汗もかいた。釜蒸しは屋根と壁だけはありかまどの前。時折吹き出すように燃える火の熱があるので基本的に温かい。

 しかし皮むきの場所は前庭。天井は青空で風を遮る壁もない。太陽の光が射せば温かいのだが、西高東低の典型的な冬型の気圧配置の影響だろうか、時折吹きつける西風がびりびりと背をこわばらせる。この時ばかりは、雲の合間から顔を出す太陽の偉大さを思い知った。



 しょしとりは室内で行っている。皮を剥き、節などの変色部分を取り去り、ごみを洗い流して(後の塵取り作業が楽になるだろうと考え、今年から入れ込んだ作業)ハンガーにかけて乾燥させる工程を進める。乾燥した白皮は、束ねて紙漉きを実施する時まで保管する。

 今回処理した皮に、こんな変色部分があった。



 ボランティアのキャリアは短い。3シーズン(春夏秋は楮畑の草刈りと芽かき、冬は楮の刈り採りから白皮作りまで)にすぎないのだが、その間、このようなヒョウ柄(いやむしろチーター柄)の皮を見たことがない。

 よく見るのは、ツル草が巻き付いたり枝どうしなどによる強い擦れや新芽を欠いた後の木質化した皮(茶色や黒)、赤紫色の斑点(カミキリムシの幼虫の糞による着色)、カビによる着色(赤や青、あるいは黒色)などだが、明らかにこれらとは違う。そしてこの程度の変色は、乾燥(紫外線分解による脱色効果)や煮熟(白皮に炭酸ソーダを加えて煮込む作業である程度の汚れを落とせる)できれいになるのだろうか? 分からない。

 一部は残して、後の作業の効果を確認することにして、基本的には取り去った。実際どうなるのか。後の作業の効果を見極めることができるよう、忘れないようにしなければ。

 午前の空には巻層雲(と思う)がかかった。ハロが薄らと浮かんでいた。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿