我が家は中山間地なので、津波の心配はないのだが、津波の原因は何だったのか、地震にも気がつかなかったので、気にかかった。
ツイッターやニュースアプリなどを見ていると、奄美・トカラ列島には予想高3mの津波警報、その他の日本列島太平洋岸には予想高1mの津波注意報が出されていた。後に、岩手県三陸地方も警報に切り替わった。
伝えられる情報を見ていると、津波の原因は、日本でおこった地震ではなかった。南太平洋のトンガ諸島にあるフンガトンガ・フンガーハーパイという海底火山が、日本時間で15日午後1時10分ごろに大規模な噴火をおこしたことにあるという。津波到達の報道も流されていた。奄美で1.2m、小名浜でも70cmの津波が観測されたという。小名浜で観測された時間は15日23時54分。緊急速報の21分前のことだった。
あれ、もう津波到達しているじゃん。これじゃ警報遅すぎる。しかし、繰り返す津波への警告にはなるか・・。
などと思ったが、発令の遅れは仕方がなかったようだ。今回の津波は、通常の津波とは違うメカニズムで発生したという。
トンガ沖での大規模噴火では、当然に日本への津波到達が懸念された。気象庁は噴火後に情報収集に努め、日本とトンガの間にある観測点での津波波高の情報を手に入れた。
ナウル共和国。パプアニューギニアから東に2,000km離れた太平洋上にあり、約1万1,000人が面積21平方万kmに暮らす、世界でも3番目に小さく、戦時中は日本に占領されていたこともあるという国だ。トンガよりだが日本の中間点にある国だ。ここでの波の高さは数cmにすぎなかったという。こうしたデータ等から気象庁は、19時過ぎに「太平洋に若干の潮位変化が予想されるが、被害の心配はない」と発表した。
20時頃、日本各地で若干の潮位変化が観測された。
あれこれは何?
気象庁も戸惑ったようだ。トンガと日本は8,000km離れている。津波は水深が深いほど早く伝わり、ジェット機並の速度になることもあるという。一方、水深が浅くなると速度は遅くなる。この性質を勘案しながら計算すると、日本への到達時間が分かるというのだが、20時では2時間ほど早すぎるということだったらしい。
気象庁は、これらのデータから、潮位変化は、これまでに経験したことがないメカニズムで発生した、津波とは違うものと考えて、警報等は発生しなかったという。23時以降に1mを超える津波が観測されたため、被害の発生を懸念し、津波警報・注意報の仕組みを使って防災対応を呼びかけることにしたという。
伝えられる情報を見ていて、こんなことが分かってきた。それ以降の状況も、報道等で見ていたが、川の逆流が観測されるなど、明らかに津波到達と見られる情報が伝えられていた。ただ、気象庁は、これらを津波と判断しておらず、「潮位変化」と表現している。
午前3時過ぎ、布団の中で目をつぶった。眠っておかないと、翌日体にこたえると考えたからだ。
午前6時30分頃、目を覚ました。寒くなってから夜を玄関で過ごさせる愛犬の散歩に出かけなければならない。着替えて、カメラを抱え、散歩に出た。
片道1.5km程度。いつもの折り返し点となる遠野町滝の野々志戸にあるため池の付近を歩いていると、遠く東から音が流れてくる。スピーカーのようだ。なんだ・・。
はたと気がついた。行政防災無線を使った津波への注意喚起に違いない。この方向には、常磐共同火力の煙突から排出される水蒸気が立ち上ることがある。岩間とか、勿来地区辺りのスピーカーの音が流れてきているのだろう。
内容はともかく、遠く離れたここいらまで音が聞こえてくることに、はじめて気づいたし、少し驚きも覚えた。
さて、午後2時には、注意の変化に引き続きの注意を呼びかけながら、津波警報・注意報は解除された。
その後、今回の津波(潮位の変化)に関する仮説が報道された。なるほどと思う内容だった。
画像は気象衛星「ひまわり」によるものだ。写真では分かりにくいが、噴火の直後、丸く見える噴煙の周辺に衝撃波が広がっていく様子が動画ではしっかり確認できる。
この衝撃波は、空気を振動させながら音の速さで地球上に広がっていく。日本に到達したのはほぼ7時間後だ(計算を間違っていないと思うけれど。ちなみに音は1秒間に約340m進む)。
ウェーザーニュースは、全国に配置した観測点でこの空振を捉えていた。
図の赤い部分は、基準より0.5hPa(ヘクトパスカル)以上気圧が高い部分。青い部分が0.5hPa以上低い部分だ。気圧の波が、短時間に日本列島を通過していったことが分かる。時間は15日の20時50分。だいたい、最初に若干の潮位変化を観測した時間と符合している。この短時間の気圧の変化が海面に圧力となり、結果、潮位に変化が及ぼされ、その変化した潮位が波となって日本列島に到達したと考えられるという、仮説が提示されている。
同じウェザーニュースは、空振が潮位に及ぼす影響のメカニズムを次のように解説している。
圧力が高い空気の波に海面が押し下げられ、通り過ぎると海面は元に戻ろうと盛り上がり波になる。これが繰り返されることで、より大きな波になっていくという。なるほど。15日20時頃から観測された潮位変動の原因と考えられるだろう。
この若干の潮位変動の後、23時以降に1m程度の比較的大きな潮位の変動が観測されたのは、時間的には、噴火による津波が到達する時間帯に合致する。噴火にともなう潮位の変動は、移動距離が長ければ減衰する。しかし、空振によって増幅されたとすれば、津波のように大きな潮位変動になるとも考えられる。
理屈にあうような気がする。
実際には、これらの仮説も含め、実際に何が起こったのかが専門家によって検証されていくだろう。そのメカニズムが明らかになった時、新たな災害に対する備えも、より強固なものになっていくに違いない。
現実にどんなことが起こっていたのか、科学的な側面からも非常に興味深い。早期に解明されないかな。待ち遠しい。
ちなみに最初の月は待宵月(十四夜)。明日は満月だ。夜半、月の周りを流れる雲が彩雲に染まった。
ツイッターやニュースアプリなどを見ていると、奄美・トカラ列島には予想高3mの津波警報、その他の日本列島太平洋岸には予想高1mの津波注意報が出されていた。後に、岩手県三陸地方も警報に切り替わった。
ウエザーニュースのスマートフォン画面
伝えられる情報を見ていると、津波の原因は、日本でおこった地震ではなかった。南太平洋のトンガ諸島にあるフンガトンガ・フンガーハーパイという海底火山が、日本時間で15日午後1時10分ごろに大規模な噴火をおこしたことにあるという。津波到達の報道も流されていた。奄美で1.2m、小名浜でも70cmの津波が観測されたという。小名浜で観測された時間は15日23時54分。緊急速報の21分前のことだった。
あれ、もう津波到達しているじゃん。これじゃ警報遅すぎる。しかし、繰り返す津波への警告にはなるか・・。
などと思ったが、発令の遅れは仕方がなかったようだ。今回の津波は、通常の津波とは違うメカニズムで発生したという。
トンガ沖での大規模噴火では、当然に日本への津波到達が懸念された。気象庁は噴火後に情報収集に努め、日本とトンガの間にある観測点での津波波高の情報を手に入れた。
ナウル共和国。パプアニューギニアから東に2,000km離れた太平洋上にあり、約1万1,000人が面積21平方万kmに暮らす、世界でも3番目に小さく、戦時中は日本に占領されていたこともあるという国だ。トンガよりだが日本の中間点にある国だ。ここでの波の高さは数cmにすぎなかったという。こうしたデータ等から気象庁は、19時過ぎに「太平洋に若干の潮位変化が予想されるが、被害の心配はない」と発表した。
20時頃、日本各地で若干の潮位変化が観測された。
あれこれは何?
気象庁も戸惑ったようだ。トンガと日本は8,000km離れている。津波は水深が深いほど早く伝わり、ジェット機並の速度になることもあるという。一方、水深が浅くなると速度は遅くなる。この性質を勘案しながら計算すると、日本への到達時間が分かるというのだが、20時では2時間ほど早すぎるということだったらしい。
気象衛生「ひまわり」画像から作成
気象庁は、これらのデータから、潮位変化は、これまでに経験したことがないメカニズムで発生した、津波とは違うものと考えて、警報等は発生しなかったという。23時以降に1mを超える津波が観測されたため、被害の発生を懸念し、津波警報・注意報の仕組みを使って防災対応を呼びかけることにしたという。
伝えられる情報を見ていて、こんなことが分かってきた。それ以降の状況も、報道等で見ていたが、川の逆流が観測されるなど、明らかに津波到達と見られる情報が伝えられていた。ただ、気象庁は、これらを津波と判断しておらず、「潮位変化」と表現している。
午前3時過ぎ、布団の中で目をつぶった。眠っておかないと、翌日体にこたえると考えたからだ。
午前6時30分頃、目を覚ました。寒くなってから夜を玄関で過ごさせる愛犬の散歩に出かけなければならない。着替えて、カメラを抱え、散歩に出た。
片道1.5km程度。いつもの折り返し点となる遠野町滝の野々志戸にあるため池の付近を歩いていると、遠く東から音が流れてくる。スピーカーのようだ。なんだ・・。
はたと気がついた。行政防災無線を使った津波への注意喚起に違いない。この方向には、常磐共同火力の煙突から排出される水蒸気が立ち上ることがある。岩間とか、勿来地区辺りのスピーカーの音が流れてきているのだろう。
内容はともかく、遠く離れたここいらまで音が聞こえてくることに、はじめて気づいたし、少し驚きも覚えた。
さて、午後2時には、注意の変化に引き続きの注意を呼びかけながら、津波警報・注意報は解除された。
その後、今回の津波(潮位の変化)に関する仮説が報道された。なるほどと思う内容だった。
画像は気象衛星「ひまわり」によるものだ。写真では分かりにくいが、噴火の直後、丸く見える噴煙の周辺に衝撃波が広がっていく様子が動画ではしっかり確認できる。
この衝撃波は、空気を振動させながら音の速さで地球上に広がっていく。日本に到達したのはほぼ7時間後だ(計算を間違っていないと思うけれど。ちなみに音は1秒間に約340m進む)。
ウェーザーニュースは、全国に配置した観測点でこの空振を捉えていた。
図の赤い部分は、基準より0.5hPa(ヘクトパスカル)以上気圧が高い部分。青い部分が0.5hPa以上低い部分だ。気圧の波が、短時間に日本列島を通過していったことが分かる。時間は15日の20時50分。だいたい、最初に若干の潮位変化を観測した時間と符合している。この短時間の気圧の変化が海面に圧力となり、結果、潮位に変化が及ぼされ、その変化した潮位が波となって日本列島に到達したと考えられるという、仮説が提示されている。
同じウェザーニュースは、空振が潮位に及ぼす影響のメカニズムを次のように解説している。
圧力が高い空気の波に海面が押し下げられ、通り過ぎると海面は元に戻ろうと盛り上がり波になる。これが繰り返されることで、より大きな波になっていくという。なるほど。15日20時頃から観測された潮位変動の原因と考えられるだろう。
この若干の潮位変動の後、23時以降に1m程度の比較的大きな潮位の変動が観測されたのは、時間的には、噴火による津波が到達する時間帯に合致する。噴火にともなう潮位の変動は、移動距離が長ければ減衰する。しかし、空振によって増幅されたとすれば、津波のように大きな潮位変動になるとも考えられる。
理屈にあうような気がする。
実際には、これらの仮説も含め、実際に何が起こったのかが専門家によって検証されていくだろう。そのメカニズムが明らかになった時、新たな災害に対する備えも、より強固なものになっていくに違いない。
現実にどんなことが起こっていたのか、科学的な側面からも非常に興味深い。早期に解明されないかな。待ち遠しい。
ちなみに最初の月は待宵月(十四夜)。明日は満月だ。夜半、月の周りを流れる雲が彩雲に染まった。
実際、噴火の後から冷夏の懸念が報道されていますね。
一方、気温の押し下げに関係する二酸化硫黄の排出が比較的少なく、影響は限定的との見方もあります。
いったいどのように影響するのか、詳しい研究が待たれますね。
気象庁の津波注意報の出方がいつもと違ったので、津波とは違うのかな、とは思っていましたが・・・
気圧の変化に伴うものかも、ということなんですね。
もう少し経てば、もっと詳細にメカニズムを解明してくれることと思います。
ところで話は変わりますが、
「大規模噴火」ということでいつも思うのは、ものすごい噴煙が上空を覆うと、一時的に寒冷化?するというもの。
記憶が間違ってたらごめんなさいですが・・・
数十年前に、アイスランドあたりであった大規模噴火や、フィリピンであった大規模噴火の際には、噴煙が大気を覆ったため、その年は冷夏になったような記憶があります。
そんなことも考えながら、今回の事象に思いを巡らせていたところでした。