<船井幸雄.comより転載>
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未来のことは、だれにもはっきり分かりません。したがって予測はするべきではないのですが、もともと予測がよく当った私、今週はこれからのアメリカ、来週はこれからの中国という、いま世界の大国であり、日本としては付きあわざるを得ないこの二つの国について、近未来予測を述べたいと思います。
もちろん、限られた知識と情報をもとに予測するのですから、大半は私の論理的な直感になります。また常識論になります。
ではまず、アメリカについて、予測を述べてみましょう。
オバマが大統領選に勝ち、2013年1月20日から4年間は彼が中心になって大統領としてアメリカを動かすことになりました。
リーマン・ショック時の大統領は、大統領として見事だったとして有名ですが、あれは本当はAIGショックだったのです。
2008年9月15日の後の世界不況はAIG(American International Group)のためで、これは世界中の識者の常識です。
AIGはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)という企業や銀行の倒産保険を大量に扱っていたのですが、大きすぎて潰せない会社でした。だからリーマン・ブラザーズをスケープゴートにし、リーマン・ショックと大さわぎをしているどさくさにFRB(米連邦準備制度理事会)は本当はやってはいけない、投資銀行のAIGに大量の公的資金を投入したのであり、これは大統領とFRB議長の勇断だったと思います。
しかし、オバマ大統領になり、FRBの3度にわたる金融緩和で、金融関係の会社の株価は1.5倍以上にもなりましたから、2012年にはAIGはこの公的資金を国に返してしまいましたが、政治とはこのようなもので、秀れたスタッフが案を考えますから、決断するオバマもまた一流の政治家だと言えましょう。
それはそれとして、アメリカはいま貧富の差がますます大きくなり、政府債務は2012年10月31日時点で、16,231,854,869,546ドルです。
日本円でおよそ1京3,000兆円で、増えつづけることはあっても、減りそうにありません。
民間の借金まで入れますと、それは5京円をすでにこえているといわれています。それに財政の崖もあります。
その上、両院がねじれ国会で、上院はオバマ民主党が少し優勢ですが、下院は共和党優勢で、よほど議員たちに危機意識がないと、オバマ政権は何もできない政権になるでしょう。
ともかく法律が成立しないのです。現議会は過去2年弱で150ほどの法律を成立させましたが、過去30年に比べると、議会は法案成立という点では30%ぐらいも機能していません。日本の現国会そっくりです。したがいまして今後、超党派で議会がオバマ政権に協力するかどうかが決め手になりそうです。
が、それは、いままでよりはよいでしょうが、完全にはむつかしいでしょう。
はっきり言って、アメリカは潜在的財政破綻国家であり、そのうえに赤字が減る見通しもないことから、常識的にはオバマも選挙に勝って喜んでおられるような状態ではありません。
やはり常識的には、バーナンキのFRBがドルを刷りつづけるか、中国や日本の現在の保有ドルを零(ゼロ)にする戦略をとるか、戦争をおこすかの三つが、具体的な方向づけでしょう。
すべての可能性があると思いますが、FRBはその成立のプロセスからロスチャイルド財閥の意向が強く関係しています。これは日銀も同様です。
いまアメリカとFRBに従って先進国の行なっていることは、赤字つづきで回復の見込みのない会社が返す(落す)あてがないのに毎日先付け手形を乱発しているのと余り変りはありません。
いま、アメリカではFRBが通貨を印刷していて、それでいてアメリカの国債を買っているのです。
これもロスチャイルドというかオバマの戦略といえると思います。
が、来年は、しばらくこれを続けて行くでしょう。FRB議長は、オバマと一体のバーナンキなのです。
ついでアメリカは、イランとイランの一体国であるシリアに手を出したいでしょう。
イランは、いま西側諸国の金融面のしめつけで、猛インフレに泣いていますが、アメリカはこれだけでは多分すまさないと思います。それに、アメリカの利益を代表する軍産複合体がじっとしていないと思いますので、イスラエルの動きとともに気になるところです。イランを対象とする中東戦争の可能性が考えられますが、平和主義のオバマ大統領もアメリカの国益と存立のために動くことでしょう。目を離せないと思います。
さらに潜在競争国としての対中国戦略が虚々実々に今度はくりひろげざるを得なくなると思いますが、その詳細としては、いままでより中国に強く出なければならないだろうと思います。
日本には憲法改正、自衛隊の軍隊化、アメリカ軍との一体化などの圧力が強まってくるでしょう。
ともかく「戦略的パートナーシップ」などという妥協がアメリカにはすでにできなくなりつつあることは常識的に判断できます。
日本に少し視点を移しますと、アメリカは日、中、朝鮮半島の一体化を何とかしてストップして来ました。この三つが一体化すると、それこそ世界の覇権を手にすると思えるからです。
これにロシアやインドをからませ、ドルの力を活用して見事に世界を牛耳ってきましたし、その下でふり回されてきたのが、日、中、朝鮮半島などです。
その路線については、今度は強まることはあっても弱まることはないでしょう。
ともかく弱くなりつつあるとはいえ、アメリカは世界の覇権国です。その動きには目を外すわけには行きません。
オバマとそのスタッフには、まだ、それだけの力があります。とはいえ、以前のアメリカに還るには、歴史の流れに反すると思います。それはムリでしょう。
この際、日本にこのような世界情勢に対応できるすばらしい政治家が出てくればいいのですが、それは常識的には不可能なようです。
とすれば、今後のアメリカは衰えたりといえども、まだ世界の覇権国として大統領とその周辺の決意次第では、いましばらくはいろんな方法で世界に君臨しつづけると思われます。
日本人としては、上手に付きあうしか仕方がないでしょうが、本気で日本国の独立を考えるべき時が近づきつつあるようにも思います。これからがチャンスです。
読者の皆さん方の御勉強を強く望んでおきます。
=以上=
<転載終わり>
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船井会長の記事にはいつも驚かされます。今回の記事では2点ほどびっくりさせられました。一点目はAIGを救うために、リーマンブラザーズを破綻させたということです。リーマンの方に注目させておいて、そのスキにAIGに公的資金で救済したそうです。確かにAIGに公的資金を投入したというニュースは記憶に新しいです。AIGといえば、デイビッド・ロックフェラーの会社だと言われていますが、サブプライム問題では倒産の一歩手前まで行ったということのようです。
二点目は、アメリカの政府債務が1京3,000兆円もあるということです!これにはびっくりしました。日本の債務は1,000兆円ですからその13倍も借金があるということです。こう考えると日本はずいぶんマシだということが解ります。更に民間を含めると5京円を超えているとのことです。これは返済できる額ではないと思います。日本は1,000兆円の利息の返済だけでも苦労しているというのに、5京円もあるのですから、返せっこないですね。アメリカのGDPは約1300兆円ですから、焼け石に水です。このままではデフォルトしてしまいますので、リーマンショックを上回るほどの巨大な事件を起こすことも考えられます。