元々、今日は苫小牧市美術博物館に「発掘された日本列島2021」を見に行こうと思っていた。昨年、新潟で見てなかなかボリューム感のある展覧会だったからである。しかしながら、直前に確認してみると、この美術博物館「札幌市・小樽市・石狩管内及び緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の対象地域からの利用自粛」を宣言しているではないか。
まあ、さりげなく「○○から来ました」とウソをつくことも可能だろうが、あまりよろしい態度ではあるまい。また、行ったとて、ブログで堂々とそれを公表する訳にも行かず、今回は苫小牧行きを見送ることにした。さて、他に行くところはあるかと思うと、小樽は先日行ったばかりだし、第2候補以下で想定していた、岩見沢市絵画ホール、滝川市美術自然史館あたりも同じような利用制限になっている。
大人としては自宅にこもるべきなのだろうが、有り余るエネルギーで(←年いくつなの)、6時に起き、7時に出発することになってしまった。バス停に行くと、さすがにこの時間帯は人が少ない。
乗り込んだバスも数人の乗客しかおらず、到着したのはここだ!
いや、ここだ! はいいんだけど、バスで2時間もかかるのよね。ということでまずは共和町役場前に到着。
そんなに時間の余裕がないので、早速、西村計雄記念美術館へ。美術館はバス停から若干の距離があって、矢印の方向に進むと、自動車はいいが、人間にとってはかなりの回り道になるのだ。
前回の経験を踏まえ、途中から左の小道に折れ、パークゴルフ場の隣を通って美術館へ。今日は日差しがきついが、気温が高くなくてよかった。
美術館の裏口もそれなりに整備されているが、結構急な階段を上らなければならない。
ということで、やっと入口に到着。相当早歩きの私で約10分というところかな。
美術館の入口横からは、共和町・岩内町方面の景色が見える。目で見るとうっすら海と泊原子力発電所も見えるんだけどなあ。
さて、美術館には無事入館したが、観覧者は私一人。まさしく安全安心の環境である。
■西村計雄記念美術館「日本のゑかき西村計雄」。なぜ「ゑかき」という表記なのかは不明。
「北海道の海」:日本海を描いたと思われる、手堅い油彩。渡仏以前の西村の作風の方が私好みなのである。
「無題(果物かご)」:フランスで「どぎつさのない和菓子の色」と評された西村の作品だが、まさにそれを思わせる感じ。果物というより、若干喉が詰まりそうな和菓子の質感がある。
「きもの」:どうも、オリエンタリズム全開過ぎる感じがある。フランスで独自性を出そうとした結果だとは思うのだが。
「枯花」:特に作品に入っている西村特有の「線」に違和感を感じるのだなあ。風の表現なのか、空気なのか、動きなのか。
この後、「日本縦断スケッチ旅行より」というコーナーで、日本各地の風景画があったが、少々明るさに偏り過ぎている感じ。「1980年以降 沖縄と太陽」というコーナーで、沖縄平和祈念堂に作品を献納したという紹介があった。これも知らなかったので、見ることが出来て良かった。
■同「しりべしミュージアムロード共同展20回記念展 ザ・ベスト【復刻版! 5W1H】」。しりべしミュージアムロードに加盟する美術館・文学館が連携し開催してきた展覧会を20回目にして振り返るという展示である。
西村計雄「静物(ブドウ・リンゴ・ワイングラス)」:ブドウは黒と緑、リンゴはオレンジ色の縁取りなのになぜか青りんご、ワイングラスには赤ワインが入っており、洒脱な感じ。この色彩感覚はいい。
西村計雄「岩内港」:小川原チックな風景画。影の部分が黒く塗られた小舟は死を思わせる不吉な印象がある。
西村計雄「車内にまどろむ三人の女・夢」:ピカソの影響がありそうな女、植物的な奇怪な夢。なかなか面白い作品。
この他、木田金次郎、小川原脩の作品は当然だが、山岸正巳、藤倉英幸の作品が西村と対比する形で展示されていた。これは素直に楽しめる展覧会だったと思う。
展覧会の作品は撮影できず、廊下にある西村公祐(計雄の次男)「家族の夢」の一部を撮影。
静かな美術館から、また、10分ほどかけてバス停に戻る。