hyperclub

パソコン教室アイラブハイパークラブです。
教室に流れるBGMなどを紹介します。

みおつくし

2006-10-01 22:39:33 | 音楽

Miotukushi  安乗のかねよ旅館との主と言えば、ぼくのブルーグラスの師匠である。バンジョーをバリバリかき鳴らしていたはずが、いつの間にかドブロ・ギターに取り組んでおり、これまた、いい音色で鳴かせて、ぼくを泣かせてくれるのだが、今回、彼の出番はここまで。

 今日は師匠の妹さんの話である。男の子二人のママである。下の子が小学1年生で、何でもそのクラスではお母さんたちが変わりばんこに講師を勤め自分の仕事や得意技について披露するらしい。この
「らしい」
が、いかにもぼくで、担任の先生の趣旨というか理念をきちんと彼女から説明してもらったのだが、それが実に適当に聞いてしまって、しかも、うろ覚えのまま自分で納得してしまったから皆さんには正しく伝えられないことに気づいた。後でフォローしたい。

 で、彼女(師匠の妹)、Aちゃんと呼んでいる、インタプリタの資格を取得したばかりだが、このインタプリタ(コンピュータ用語のそれとは違う)も後日説明したい、子どもたちに、「あのりのしぜんと人とのかかわり(小1なのだ)」についてお話をすることになった。どうにも前説が長い。

 で、安乗の町で見つけられる森羅万象について取材を始めた。取材は彼女の本業だ。

 ウバメガシ、サルトリイバラ、ハマエンドウ、ヨモギ、ササ、ノカンゾウ、大王さん、秋葉さん、八十石さん、水垂れさん、清正石、春雨救難記念碑、浮き灯台、灯台レンズ、人形芝居舞台…と、地域にまつわるキーワードを押さえ、全てを写真に収めた。

 人との関わりがテーマだから、さらにこれらを元に、彼女なりの物語が紡ぎだされる。でも、発表時間には限りがあるので、抽出、選択しなければならない。ぼくが居合わせたのが、ちょうどその場だった。

「あのさぁ、これ何?」
交通標識のような物体の写真なのだが、標識にあたる部分が骨組みだけになっているようだ。
「ええっとね、みおつくし。」
「みおつくしってあの澪標? 水路の標識のことぉ? 大阪市の市章にも成っている。でも、陸に立っとるのに~!」
「だって、お兄と主人に訊いたら、そう言ってたものぉ!」

 で、事実でないとか、さらに確証を必要とする、といったあやふやな事柄には、職業柄、手を出さない彼女は、ぼくの余計な質問でボツに決めた。

 らしいで書いてしまうぼくと、事実しか発表しない彼女との落差は大きい。自分の適当さを自覚した。実は、みおつくしという言葉を、ぼくはもっとも美しい日本語だと感じている。浅瀬を人が安全に支障なく航行できるように水路に打ちつけた杭は、あたかも「身を尽くす」に通じる語感から、ぼくたちにとってとても大切なことを教えてくれる。

 ぼくの師匠たちが「みおつくし」と呼ぶ物の写真を添えるので、詳しい方は教えて欲しいとお願いする。もう一枚の写真は、灯台から見た安乗崎の光景である。一般にも参観が許されてから(2004年)久しいが、一度も昇ったことがない。情けない。

Light_house02