ハプニングは起こりうるものだ。突発的に、というより闇雲だ。日曜日がそうだった。ぼくにはかねて楽しみにしていた催し物があって、気分はすっかりそっちへ向かっていた。
突然、電話がなった。親戚の長老からだった。
「ブラジルにいる伯父さんが亡くなった」
何でも亡くなった母の兄弟がブラジルの移民として渡って以来、幾星霜、莫大な富を築くに至った。働き者で、楽しむことも知らず結婚もせずひたすら働きに働いたという。
「身寄りがおらんのじゃそうや。そこで遺産がじぇ~んぶお前んとこに行くげならしい。」
最後の一言で、予定は吹っ飛んだ。記憶も飛んだ。まさに青天の霹靂である。我を忘れ、己を失った。かなりの時が経ってからだが、それでも、辛うじて妹に電話することはできた。妹は落ち着いてこう言った。
「お兄ちゃん、お母さんは一人っ子で、お父さんにお婿さんに来てもらったのでしょ」。
ぼくの半日が無為に過ぎた。