「薄桜鬼」の二次創作小説です。
制作会社様とは関係ありません。
二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。
土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。
「どうして、あいつだけ・・」
「朔様・・」
「いつも、あいつは僕から大切なものを奪っていく。どうして、どうして!」
「朔様、落ち着いて下さい。わたしは、いつでもあなた様のお傍におります。」
「お願い桜馬、ずっと僕の傍に居て。」
「はい、朔様。」
桜馬は泣きじゃくる朔の黒髪を優しく梳いた。
「父上、俺はまだ結婚など考えておりません。どうか先方に断りの返事を・・」
「歳三、一度だけ会ってみるだけでもいいでしょう?」
「わかった・・」
一方、風間家では次期当主の千景が、天霧から縁談の事を聞いて、少し不機嫌そうな顔をした。
「縁談だと?そのような話、父上からは一度も聞いてはおらぬか?」
「千景様、これはもう決まった事です。」
「そうか。父上が決めたのなら仕方ない。一度相手に会ってみるとするか・・」
千景はそう言うと、口端を歪めて笑った。
「トシ、義父上から聞いたぞ、お前の縁談話。」
「そうか。でも安心しろよ、勝っちゃん。俺はまだ嫁には行かねぇから!」
「そうか、それを聞いて安心したよ。」
勇はそう言った後、屈託のない笑みを浮かべた。
「土方さんは、大人しく武家の奥様が務まる訳がありませんもんね。」
「おい宗次郎、そりゃ一体どういう意味だ?」
「え、僕何も言ってませんけど?」
「てめぇ・・」
「あ、僕女将さんに用事を言いつけられているんでもう行きますね。」
「テメェ、待ちやがれ!」
歳三は慌てて総司を追い掛けたが、彼は何処かへ行ってしまった後だった。
「畜生、宗次郎の奴、帰ってきたらタダじゃおかねぇ!」
「まぁそんなに怒るな、トシ。宗次郎はあいつなりにお前の事を心配しているんだよ。」
「そうか?」
「あいつは素直じゃないからなぁ。」
試衛館で稽古を終えた歳三は、久しぶりに練武館へと向かった。
「トシさん、久しぶり!」
「八郎、元気そうだな。」
歳三は自分に子犬のようにじゃれついて来る伊庭八郎にそう言った後、優しく微笑んだ。
そんな二人を、一人の青年がうらやましそうに見ていた。
「弥助、どうした?」
「いいえ、何でもありません。」
「土方様、わたしと付き合ってください、お願いします!」
「・・悪ぃがそれは出来ねぇな。」
八郎と稽古した後、歳三は練武館の中庭で門下生の一人に呼び出され、そこで彼から突然告白された。
今まで歳三は女から数え切れない程告白されたが、男から告白されたのは初めてだった。
歳三の返事を聞いた門下生―弥助は、不服そうに唇を尖らせた。
「何故です?」
「何でって、俺ぁ男と付き合う趣味はねぇからだよ。」
「・・若先生を手玉に取って弄んでいる癖に。」
「は?」
歳三がそう言って弥助の方を見ると、彼の姿は既にそこにはなかった。
(何だったんだ、ありゃぁ・・)
「トシさん、どうしたの?」
「なぁ、俺弥助に何かしたのか?」
道場に戻った歳三は、中庭での事を八郎に話すと、彼は腹を抱えて笑った。
「弥助は僕の事を尊敬しているから、彼からしてみればトシさんは僕を惑わして弄んでいる魔性の女にしか見えないんじゃないかなぁ?」
「魔性の女って・・俺ぁ、男だぞ!?」
「まぁ、あんまり彼の言う事は気にしない方がいいよ。」
そう言いながらも八郎はまだ笑っていた。
(魔性の女ってなんだ・・弥助の目には俺がどう映っているんだ?)
練武館から多摩へ帰る道すがら、歳三がモヤモヤしながら江戸の街を歩いていると、突然向こうから馬のいななきと人々の悲鳴が聞こえて来た。
「暴れ馬だ!」
「逃げろ!」
歳三が我に返ると、目の前に暴れ馬が迫っていた。
「危ない!」
歳三の背後で男の声が聞こえて来たかと思うと、急に彼の身体が軽くなった。
(な、何だ?)
歳三が閉じていた目を開けると、そこには眩いばかりの金髪を揺らしながら、真紅の瞳で自分を見つめている青年の姿があった。
彼は目敏く歳三の擦り剝けた右手の甲の血を舐めると、こう言った。
「お前の血は、甘いな。」
そして間髪入れずに青年は歳三の唇を塞いだ。
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「どうして、あいつだけ・・」
「朔様・・」
「いつも、あいつは僕から大切なものを奪っていく。どうして、どうして!」
「朔様、落ち着いて下さい。わたしは、いつでもあなた様のお傍におります。」
「お願い桜馬、ずっと僕の傍に居て。」
「はい、朔様。」
桜馬は泣きじゃくる朔の黒髪を優しく梳いた。
「父上、俺はまだ結婚など考えておりません。どうか先方に断りの返事を・・」
「歳三、一度だけ会ってみるだけでもいいでしょう?」
「わかった・・」
一方、風間家では次期当主の千景が、天霧から縁談の事を聞いて、少し不機嫌そうな顔をした。
「縁談だと?そのような話、父上からは一度も聞いてはおらぬか?」
「千景様、これはもう決まった事です。」
「そうか。父上が決めたのなら仕方ない。一度相手に会ってみるとするか・・」
千景はそう言うと、口端を歪めて笑った。
「トシ、義父上から聞いたぞ、お前の縁談話。」
「そうか。でも安心しろよ、勝っちゃん。俺はまだ嫁には行かねぇから!」
「そうか、それを聞いて安心したよ。」
勇はそう言った後、屈託のない笑みを浮かべた。
「土方さんは、大人しく武家の奥様が務まる訳がありませんもんね。」
「おい宗次郎、そりゃ一体どういう意味だ?」
「え、僕何も言ってませんけど?」
「てめぇ・・」
「あ、僕女将さんに用事を言いつけられているんでもう行きますね。」
「テメェ、待ちやがれ!」
歳三は慌てて総司を追い掛けたが、彼は何処かへ行ってしまった後だった。
「畜生、宗次郎の奴、帰ってきたらタダじゃおかねぇ!」
「まぁそんなに怒るな、トシ。宗次郎はあいつなりにお前の事を心配しているんだよ。」
「そうか?」
「あいつは素直じゃないからなぁ。」
試衛館で稽古を終えた歳三は、久しぶりに練武館へと向かった。
「トシさん、久しぶり!」
「八郎、元気そうだな。」
歳三は自分に子犬のようにじゃれついて来る伊庭八郎にそう言った後、優しく微笑んだ。
そんな二人を、一人の青年がうらやましそうに見ていた。
「弥助、どうした?」
「いいえ、何でもありません。」
「土方様、わたしと付き合ってください、お願いします!」
「・・悪ぃがそれは出来ねぇな。」
八郎と稽古した後、歳三は練武館の中庭で門下生の一人に呼び出され、そこで彼から突然告白された。
今まで歳三は女から数え切れない程告白されたが、男から告白されたのは初めてだった。
歳三の返事を聞いた門下生―弥助は、不服そうに唇を尖らせた。
「何故です?」
「何でって、俺ぁ男と付き合う趣味はねぇからだよ。」
「・・若先生を手玉に取って弄んでいる癖に。」
「は?」
歳三がそう言って弥助の方を見ると、彼の姿は既にそこにはなかった。
(何だったんだ、ありゃぁ・・)
「トシさん、どうしたの?」
「なぁ、俺弥助に何かしたのか?」
道場に戻った歳三は、中庭での事を八郎に話すと、彼は腹を抱えて笑った。
「弥助は僕の事を尊敬しているから、彼からしてみればトシさんは僕を惑わして弄んでいる魔性の女にしか見えないんじゃないかなぁ?」
「魔性の女って・・俺ぁ、男だぞ!?」
「まぁ、あんまり彼の言う事は気にしない方がいいよ。」
そう言いながらも八郎はまだ笑っていた。
(魔性の女ってなんだ・・弥助の目には俺がどう映っているんだ?)
練武館から多摩へ帰る道すがら、歳三がモヤモヤしながら江戸の街を歩いていると、突然向こうから馬のいななきと人々の悲鳴が聞こえて来た。
「暴れ馬だ!」
「逃げろ!」
歳三が我に返ると、目の前に暴れ馬が迫っていた。
「危ない!」
歳三の背後で男の声が聞こえて来たかと思うと、急に彼の身体が軽くなった。
(な、何だ?)
歳三が閉じていた目を開けると、そこには眩いばかりの金髪を揺らしながら、真紅の瞳で自分を見つめている青年の姿があった。
彼は目敏く歳三の擦り剝けた右手の甲の血を舐めると、こう言った。
「お前の血は、甘いな。」
そして間髪入れずに青年は歳三の唇を塞いだ。
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