BELOVED

好きな漫画やBL小説の二次小説を書いています。
作者様・出版社様とは一切関係ありません。

鬼嫁物語 第4話

2024年10月11日 | 薄桜鬼 腐向け二次創作小説「鬼嫁物語」
「薄桜鬼」の二次創作小説です。

制作会社様とは関係ありません。

二次創作・BLが嫌いな方は閲覧なさらないでください。

土方さんが両性具有設定です、苦手な方は閲覧なさらないでください。

「てめぇ、何しやがる!」

初対面の相手に対して口吸いをしてきた青年の頬を歳三は平手で打った。

「命の恩人に対して、随分な礼の仕方だな?」
「うるせぇ!」
歳三はそのまま、青年に背を向けて去った。
「・・気が強いな。だが、それがいい。」
青年―風間千景はそう言うと、口端に滲んだ血を乱暴に拭った。
「千景様、こちらにいらっしゃったのですね!」
背後から甲高い少年の声が聞こえたので千景様が振り向くと、そこには自分の小姓となった少年・雪が立っていた。
「一体何があったのです?」
「なに、暴れ馬から娘を救ってやっただけだ。行くぞ。」
「待ってくださいよ~!」
練兵館から帰宅した歳三は、何やら離れの方が賑やかな事に気づいた。
「あぁ、まるで夢みたい。こんなに素敵な打ち掛けを頂くなんて。」
そう言いながら、朔は美しい真紅の打ち掛けをうっとりとした表情を浮かべながら眺めた。
「朔、どうしたんだ、これ?」
「これは、先程風間家から贈られたものです。歳三様が、赤がお好きだと聞いたようでして・・」
「そうか。」
「兄様は幸せ者ですね。」
「その打ち掛け、お前ぇにやる。」
「え?」
「俺は嫁には行かねぇ、京へ行く。」
「それは、本気なのですか!?」
「あぁ、本気だ。」
「・・狡い人ね、兄様は。健康な身体に産まれて、仲間にも恵まれて・・これ以上、何を望むというの!?」
朔はそう叫ぶと、歳三に掴みかかった。
「京へ行くなんて、許さない!あなたはきっと、勇さんを・・」
「朔様!」
桜馬は激しく咳込んだ朔の背を慌てて擦った。

「朔、お前、まさか・・」
「朔様は、心の臓がお悪いのです。歳三様、どうか朔様を興奮させないで下さいませ!」
「兄様、勇さんは知っているの?僕達が、普通の身体じゃない事を?」
「朔、お前何を・・」
「僕達は、男と女、両方の性を持って生まれてきた。兄様が京に行くのなら、僕は風間様の子を産んで、幸せになってみせる・・」
そう言った朔の、自分と同じ色をした紫の瞳が、妖しく煌めいた。
「朔様・・」
「桜馬、ずっと僕の傍に居て・・どんな事があっても。」
「はい。」

その日の夜、歳三は寝返りを打っていると、下帯が濡れる感覚がして目を覚ました。

(何だ?)

歳三が布団を捲ると、敷布が真紅で染まっていた。

「トシ、どうした?顔色が悪いぞ?」
「あぁ、ちょっとな・・」
「あれ、土方さん袴に血がついていますよ?」

試衛館で稽古をしていると、歳三は下腹の鈍痛に襲われ、思わず顔を顰(しか)めて蹲(うずくま)った。

「トシ、向こうで暫く休むか?」
「あぁ、済まねぇ。」

初潮を迎えてから、歳三は酷い貧血と眩暈に襲われるようになった。

「トシは、大丈夫かな?」
「病気じゃないんですから、そんなに大袈裟に考えなくても・・」
「そうか?出来る事なら、代わってやりたいな。」
「近藤さん、土方さんは本当に嫁には行かないつもりなのかなぁ?」
「それはどういう意味だ、総司?」
「月のものが来たって事は、もう土方さんは子供を産める身体になった事でしょう?風間家との縁談がなくなったとしても、他家から縁談が来るかもしれないじゃないですか?まぁ性格はともかく、顔は良いから・・」
「総司、テメェ俺が聞いてねぇとでも思っているのか・・ちゃんと聞いてんだよ!」
「へぇ、何だ聞いてたんですかぁ、つまんないの。」
「この野郎!」
「止めなさい、二人共!」
「源さんは黙っててくれ!」
「近藤さん、助けて~!」
一方、風間家では千景と歳三に成り代わった朔が初めて顔を合わせる事になった。
「朔様、どうかお気をつけて。」
「うん・・」
「漸く、あの土方歳三とやらに会えるのだな。」
「千景様、くれぐれも失礼のないように。」
「あぁ、わかっている。」
「千景様、土方家の駕籠が到着しました。」
「そうか。」
駕籠から降りた朔は、真紅の打ち掛けの裾を摘まむと、桜馬と共に風間邸へと向かった。
「千景様、土方様がいらっしゃいました。」
「通せ。」
「はじめまして、風間千景様。」
「お前、何者だ?」
「わたしは、土方歳三と・・」
「お前は、あの暴れ馬から庇った俺の頬を平手打ちした奴と同じ者か?」
「あ、暴れ馬ですか・・」
「・・お前、土方家の次男坊だな?」
千景の真紅の瞳が、ひたと朔の顔を見つめた。
「・・どうか、わたしを抱いて下さいませ。」
「自ら色を仕掛ける奴は好かぬ、失せろ。」
「この身体を、ご覧になってもですか?」
朔はそう言うと、千景の前で生まれたままの姿となった。
「・・いいだろう、お前を俺が兄の代わりに抱いてやろう。」
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