山での生活はシンプル。歩いて、食べて、寝る。それだけ。涸沢では、夕方帰ると食事をしてそれで暗くなると寝るだけの生活だった。
きのうは、山の片付けもそこそこに宇治の志津川にクライミングに行って来た。さすがに疲れて帰って食事をしたとたんに、ばったんキュー。山での生活の延長のままだ。
ところが、真夜中に「もう寝てたん?」「うん!」と寝ぼけた私。「ごめん」「……?! 誰に掛けてるのん?」「……??? すみません!」間違い電話に起こされてしまう。時計を見たら午前1時前。なんたる非常識。
あまりに早く寝すぎたせいか、もう寝られない。仕方がないので、PCの電源を入れてブログを書き出した。
涸沢にはもう何度行ったか数えきれない。そのほとんどが夏で、5月の連休に1回と紅葉の季節に1回行っている。しかしいつでも自然は同じ顔を見せてくれる訳ではない。以前行った1998年の涸沢の紅葉は、行った日が悪かったせいかも知れないが、ひどい物だった。
しかし涸沢の紅葉は雑誌などの写真で見ると、そんな物ではない。とにかく、日本一の紅葉だという。一度は見てみたなぁ、と思っていた。それも、最極上の紅葉が見たいものだと常々思っていた。
夏の暑い日が長く続いて急に冷えると、その年の紅葉は綺麗だという説が何かに書いてあった。今年の夏は、30度を越える猛暑続きだった。もしかしたら…、と思い9月の上旬ごろから涸沢ヒュッテのHPの紅葉情報を毎日見ていた。案の定、猛暑の影響で紅葉が遅れていた。
雨は嫌なので、いつ行くかは賭けである。「紅葉まっさかり」という文字が9日のHPの表紙に突然ネオンサインのように点滅した。そして11日は雨の予報だったのが晴れマークに変わっていた。というわけで、10日の夜の出発を急遽決意した。
最近は小屋泊まりばかりだったが、隙間程のスペースで寝る小屋には魅力はない。混雑を予測してのテント泊にした。久しぶりのことで、少し自信はなかったがこれも心配には至らなかった。
横尾から見上げた屏風岩も少し色付いていたが、本谷橋を過ぎて徐々に期待も膨らんで来た。黄色や赤やオレンジのアーチの中を登っていると、行き交う人に思わず「綺麗ですね~」を連発していた。こんなときに「綺麗」という言葉しか出て来ないのが不思議だ。いつの間にかザックの重さを忘れてしまっていた。
登るにつれてますます綺麗になっていく。この秋色のグラデーションは、何ともいえない。子ども頃から、春の色より好きだった。暖色系には心和ます効果があるように思う。涸沢カールが遠くに見えたときには、人々の感嘆の声があちらこちらから聞こえて来た。私もその中の一人だった。
そこからは、いつもはうんざりとする長い登りが待ち受けているのに今回は苦にもならず、却って気持ちはウキウキするばかりだった。
やはり今回は期待を裏切らなかった。穂高を配したこの涸沢カールの景色は、まさに日本一ではないかと私は思った。この色彩の中にいられるのは、なんという贅沢なことだろう。どんな素晴らしい絵画にも勝っているように思うのは私だけだろうか。
予想通り小屋の混雑は悲惨だったようだが、テン場は割に空いていた。今回ばかりは、小屋のテラスのたくさんの人もそれほど気にはならなかった。
今回は2泊できたので、1日はザイテングラードから登り北穂高岳まで稜線を歩いて来た。夏に比べると稜線上まで登る人は少なく、上から見るとカールの喧噪は嘘のように静かだった。
秋満腹の山旅だった。
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きのうは、山の片付けもそこそこに宇治の志津川にクライミングに行って来た。さすがに疲れて帰って食事をしたとたんに、ばったんキュー。山での生活の延長のままだ。
ところが、真夜中に「もう寝てたん?」「うん!」と寝ぼけた私。「ごめん」「……?! 誰に掛けてるのん?」「……??? すみません!」間違い電話に起こされてしまう。時計を見たら午前1時前。なんたる非常識。
あまりに早く寝すぎたせいか、もう寝られない。仕方がないので、PCの電源を入れてブログを書き出した。
涸沢にはもう何度行ったか数えきれない。そのほとんどが夏で、5月の連休に1回と紅葉の季節に1回行っている。しかしいつでも自然は同じ顔を見せてくれる訳ではない。以前行った1998年の涸沢の紅葉は、行った日が悪かったせいかも知れないが、ひどい物だった。
しかし涸沢の紅葉は雑誌などの写真で見ると、そんな物ではない。とにかく、日本一の紅葉だという。一度は見てみたなぁ、と思っていた。それも、最極上の紅葉が見たいものだと常々思っていた。
夏の暑い日が長く続いて急に冷えると、その年の紅葉は綺麗だという説が何かに書いてあった。今年の夏は、30度を越える猛暑続きだった。もしかしたら…、と思い9月の上旬ごろから涸沢ヒュッテのHPの紅葉情報を毎日見ていた。案の定、猛暑の影響で紅葉が遅れていた。
雨は嫌なので、いつ行くかは賭けである。「紅葉まっさかり」という文字が9日のHPの表紙に突然ネオンサインのように点滅した。そして11日は雨の予報だったのが晴れマークに変わっていた。というわけで、10日の夜の出発を急遽決意した。
最近は小屋泊まりばかりだったが、隙間程のスペースで寝る小屋には魅力はない。混雑を予測してのテント泊にした。久しぶりのことで、少し自信はなかったがこれも心配には至らなかった。
横尾から見上げた屏風岩も少し色付いていたが、本谷橋を過ぎて徐々に期待も膨らんで来た。黄色や赤やオレンジのアーチの中を登っていると、行き交う人に思わず「綺麗ですね~」を連発していた。こんなときに「綺麗」という言葉しか出て来ないのが不思議だ。いつの間にかザックの重さを忘れてしまっていた。
登るにつれてますます綺麗になっていく。この秋色のグラデーションは、何ともいえない。子ども頃から、春の色より好きだった。暖色系には心和ます効果があるように思う。涸沢カールが遠くに見えたときには、人々の感嘆の声があちらこちらから聞こえて来た。私もその中の一人だった。
そこからは、いつもはうんざりとする長い登りが待ち受けているのに今回は苦にもならず、却って気持ちはウキウキするばかりだった。
やはり今回は期待を裏切らなかった。穂高を配したこの涸沢カールの景色は、まさに日本一ではないかと私は思った。この色彩の中にいられるのは、なんという贅沢なことだろう。どんな素晴らしい絵画にも勝っているように思うのは私だけだろうか。
予想通り小屋の混雑は悲惨だったようだが、テン場は割に空いていた。今回ばかりは、小屋のテラスのたくさんの人もそれほど気にはならなかった。
今回は2泊できたので、1日はザイテングラードから登り北穂高岳まで稜線を歩いて来た。夏に比べると稜線上まで登る人は少なく、上から見るとカールの喧噪は嘘のように静かだった。
秋満腹の山旅だった。
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