お父さんのマリポタ日記。
マリノスのこと、ポタリングのこと。最近忘れっぽくなってきたので、書いておかないと・・・
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※西加奈子(1977年、イラン・テヘラン市生まれ。大阪育ち。2004年に「あおい」でデビュー。「通天閣」で織田作之助賞受賞。「ふくわらい」で河合隼雄物語賞受賞。ほかに「さくら」「きいろいゾウ」「円卓」「舞台」など)



●極上のエンターテインメント

 「僕はこの世界に、左足から登場した」。一瞬、何のことか分からないような一文から始まる。主人公の「僕」は、マイノリティ絶対主義で騒動を起こし続ける姉の影響で、自分から率先して中心になろうとせず自分の存在を消しながら生きていく。その「僕」の目を通じて家族たちや周囲の人々の生き様が淡々と綴られていく。デビュー10周年で描いた上下巻の大作。第152回直木賞受賞作で、2015年本屋大賞でも第2位を獲得した。

 想像を超えた驚くべき出来事が次々と起こり、飽きることなく読み進められた。独特の語り口、真面目そうな中にユーモアを含んだ表現に魅せられ、大阪弁もなんだかしっくりきた。登場人物もそれぞれが強烈過ぎる個性の持ち主で、特に姉は秀逸過ぎ。後半は「家族崩壊」「残酷な未来」とマイナス方向へ突き進むが、悲壮感はなく逆に面白みが増してきた。「本当に、こんなにうまくいった小説はない」と本人自らが言うように、極上のエンターテインメントに仕上がっていると思う。ただ、最終盤は少しくどく、分かりづらかったのは否めない。その部分がなければ物語は終わらなかったのだろうが、その前でやめてもよかった気がする。

 それにしても女性なのになんでこうも男の子の生態について詳しいのだろう。まるで自分のことのように思え、共感しまくった。インタビューでは「『キン肉マン』や『北斗の拳』、プロレスなど、いわゆる男の子のものがすごく好きだった」と言っているが…。

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