※早見和真(1977年神奈川県生まれ。桐蔭学園高野球部出身。2学年上に高橋由伸がいた。2008年、その野球部時代の体験をもとに執筆した「ひゃくはち」でデビュー。同作は映画化、コミック化されベストセラーとなる。14年「僕たちの家族」が映画化、15年「イノセント・デイズ」が第68回日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)を受賞、テレビドラマ化され大ベストセラーに。19年「店長がバカすぎて」が20年本屋大賞ノミネートされロングセラー。20年「ザ・ロイヤルファミリー」が第33回山本周五郎賞およびJRA賞馬事文化賞受賞。ほかに「小説王」「かなしきデブ猫ちゃん」(絵・かのうりん)など)
●添えられた新聞記事が効いている
ヒーローだけが主人公じゃない。補欠も就活生もお母さんも、誰だって主人公なんだ! 恋愛、友情、嫉妬…。東京六大学野球を題材にしたリアル青春ストーリー。『本の時間』掲載を単行本化。
タイトルの「6 シックス」は日本最古の大学リーグの東京六大学野球からきている。第1週「赤門のおちこぼれ」は東大、第2週「 苦き日の誇り」は法大、第3週「もう俺、前へ!」は明大、第4週「セントポールズ・シンデレラ」は立大、第5週「陸の王者、私の王者」は慶大、第6週「都の西北で見上げた空は」は早大が舞台。順番が実際の対戦順とほぼ一緒で、六大学出身者としてはすんなりと作品の世界に入っていける。
ちなみに開幕戦は前シーズンの優勝校と最下位校が対戦するそうだ。そういえば、リーグ初戦は東大戦、立大戦が多かった。
東大がベンチ入りできない補欠、法大がケガをしてマネージャーとなった甲子園のスター選手が主役だったので哀れな野球選手ものが続くかと思ったが、明大から流れがガラリと変わる。でも期待を裏切らない面白さ。大学時代がいろいろと思い出され、第6週では涙を誘われた。もちろんしっかりと笑える場面が随所にある上に、各週に添えられた新聞記事がぴりりと効いている。ニヤリとしたり「なるほどねぇ」と驚かされることも。第6週にないのは残念。そこをぜひ読みたかった。まあ、決めつけず、読者に想像させるのが狙いなんだろうけどね。
読み進むうち、早見さんはきっと早大出身なんだろうねと勝手に想像していたが、ウィキペディアによると国学院大だそうだ。
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