「一生に一度のライド」。こんな謳い文句にふらふらと引き寄せられ、11年11月27日に行われた「ふじのくにCYCLE FES. 2011 in 新東名」のサイクリングの部・109キロコースに会社の同僚と参加した。建設中の新東名高速道路を自転車で走れる最初で最後、一度限りのチャンス。さて、どんなライドになったのか?
コース
コースは、来年夏に開通予定の新東名高速道路の駿河湾沼津サービスエリアをスタート。新富士インター、新清水インター、新清水ジャンクションを通過し、新静岡インター手前を折り返す。89キロコースはそのままゴールへ向かうが、我々が敢えて挑んだ109キロコースは新静岡で折り返した後、再び新清水で折り返して周回した後にゴールに向かうというものだ。
コースプロフィルを見ると、アップダウンだらけだが、標高は最高でも約250メートル。こう配も最大でも2%ほど。往路の明星山トンネルから富士川トンネルを越え、新清水インターの先まで約10キロほど上りが続くが、峠ではないしほぼ平たんだと勝手に解釈。気楽な気持ちで挑んだ。
会場に着いた午前5時すぎは気温5度。だが、夜が明けてスタート時間の午前8時前には曇り空だが気温も上がってきて、サイクリングには絶好のコンディションとなった。
スタート前。駿河湾の先には伊豆半島が見える。駿河湾沼津サービスエリアは絶景ポイントだ
スタート前(手前右の黄色のジャージー)
左手に駿河湾を臨みながらいよいよスタート。いきなりの下り坂。そして、幅の広い道路を気持ちよくダウンヒル。この先は信号もないと思うと、嬉しくて仕方ない。のっけから至福の瞬間が訪れた。
「気持ちいいねぇ。最高! また来年も来よう」。いや、来年どころか、2度と開催されないのだが、本当にそんな気持ちになった。
午前8時5分ごろ、第2グループでスタート
最初のトンネル、沼津トンネルを抜ける
いつもは怖いトンネルも、何も気にせず堂々と道の真ん中を走れる。それに少し暖かい。相変わらずの曇り空で、時々、日差しが注ぐ程度。風を切って走ると、若干の冷たさを感じていたので快適だった。
高速道路らしい風景
建設中のため舗装状態はまちまちで、段差が何度も現れ全体的にスローダウンを強いられることが多かったが、このあたりの舗装は綺麗で、回りの風景も高速道路らしく、「一生に一度」を存分に楽しむことができた。
富士川を越える。向こうに見えるのは東名高速
富士川では、はるか彼方に東名高速が見えた。沼津発着のブルベに参加し、沼津から松並木を見ながら富士川橋までは何度も走っているが、それに比べるとここまではあっという間に到着した感じがした。高速道路はやっぱり速い!? いや、信号がない分、速いだけか。
やがて右手には富士山が
しばらくすると、右手に富士山が顔を出してきた。ただ、静岡側から見ると冠雪していないので、最初にちらりと見えたときは「ほんとに富士山?」という感じだった。
電光掲示板に「ようこそ静岡へ」の文字
19キロ付近の新富士から約10キロほどの上りが始まる。平均こう配は2%。一緒に走る同僚は「最大の難所」と言っているが、5年前の紀伊半島1周ブルベ600キロで走った「南紀の難所、佐田坂」に比べると、自分にとっては平たんみたいなものだ。同僚もまだまだこのあたりでは元気な様子で、2人でおしゃべりしながらのんびり上っていった。
長い長い富士川トンネルを抜ける
この先の下りに備え、「スピード注意」の電光掲示
実際の折り返しはまだまだ先だったが...
清水ジャンクション
上りの終盤は長い長い富士川トンネル。それを抜け、清水ジャンクション付近から下りが始まった。
たまに集団が通り過ぎていく
グループの先頭と思われる、トップスピードというほどではないが、時速30キロ以上で走る集団がたまに我々を追い抜いて行く。しかし、自力で集団を作るならまだしも、先導バイクの後ろにぴったりついていくのは、見ていてもあまり美しい風景ではなかった。ちょっと残念。
新静岡手前の折り返し地点
新静岡手前の折り返し地点に着いたのは午前10時ごろ。この頃はエイドステーションもまだ空いていた。我々は109キロを走ることにしていたので、折り返した後に周回して再びここにくる。補給はその時にとして最初はスルーしたが、これが大失敗。次に来たときには自転車を止めるところもないぐらいの大混雑。補給食のおにぎりにもバナナにもみかんにもありつけなかった。もっとも、もっと後に来た人は何もなかったそう。参加費が通常のイベントの倍近くするのに、これも残念だった。
もう一つ、残念だった点がある。サポートカーがクラクションを鳴らしながら自転車を避けさせながら走っていたこと。参加する方としては、閉鎖された高速道路だし、後ろから車は来ないと思っている。緊急事態であるならサイレンを鳴らせばいい。一般道でのロングライドイベントでは車と共存だが、このコースで「どけ」はないよねぇ。オフィシャルメカニックのシマノのサポートカーは、クラクションも鳴らさず黙って自転車が避けるのを待っていた。これを見習うべきだった。
1週間前に同じコースで行われたマラソンが、補給やトイレの紙不足から酷評され問題ともなっているが、それは解決できていただけに残念だ。
高速道路を走る自転車。もう2度と見られない風景だ
東京まで159キロ。このまま東京まで行ければいいのに(^_^;
長い上りにさしかかったところにあった電光掲示
新清水を越え、同僚言うところの「最大の難所」の上り返しにさしかかった。主催者側も分かっているらしく、「正念場」と電光掲示で励ましてくれた。
上りに入ってしばらくして、同僚の口数が少なくなり、やや遅れ始めた。距離的には70キロ台。100キロを走るのであれば、まさに「正念場」だった。
ただね。涼しい顔をして上っていたけど、足が何ともなかったわけではない。このコースは平均こう配は2%とたいしたことはないのだが、走り終えて見ると、平たんなところがほとんどない。上っているか下っているかのどちらか。それに加え、行きは向かい風。帰りも向かい風という、罰ゲームのような風向き。さらに言うと、信号がないので完全にストップすることはなく足を回し続けなくてはならない。これらの事がボディーブローのように足にきいてきていた。
補給食を食べるために富士山が見える絶景ポイントにストップした時、足がつりそうになったのはここだけの話にしておこう(^_^;
富士山へ向かって下る
目の前に「ば~ん」と見える富士山に向かって下っていくのは最高だった。この瞬間のためにここまで走ってきたんだ(^o^)
「栄光のゴール」は近いそうだ(^o^)
右手に伊豆半島が見えてきた
午後1時過ぎにフィニッシュ
フィニッシュは午後1時すぎ。距離109キロで平均時速は23キロ台。グロス時間は5時間10分だった。
行きは左手に駿河湾、帰りは富士山が真正面に見えた。主に山の中を走る高速道路なので、風景はそれだけだが、それだけで十分。天気にも恵まれ、一生の一度のライドを満喫した。
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