新善波トンネル |
スキー旅行とサッカー観戦で4日間ほど走ってない。なんとなく毎日のように足に感じていた疲労感もない。万全の体勢で朝7時に目覚め、8時前には走っていた。目指すはヤビツ峠だ。
自転車に乗るようになってから、一度は行きたい、いや行かねばならぬと思っていたところだ。5連休の最終日の平日。きっと誰もいないだろう。押しても恥ずかしくないぞ。
最初だし、裏からかな。緩やかだそうだし。でも、どうせ一気に行くことはできないんだから、どっちでも一緒か。浅間林道という手もあるか・・・。ちょっとだけ悩んだが、玉砕覚悟で表から登ることにした。
BD-1では登る自信がなかったので、MTBで出かけた。海老名から戸沢橋を経由してR246へと快調に走る。伊勢原の駅を過ぎ、鶴巻温泉入り口の前を通過する。鶴巻温泉なんて、会社の組合の慰安旅行で来たところだぞ。また、凄いところまでチャリンコで来ちゃったよ。
やがて道はだんだんと傾斜が強くなってくる。ほぼ直線に伸びる緩やかだが長い長い登り坂。これじゃ、ヤビツ峠に登る前に足が終わってしまうぞ。ゆっくりゆっくり登り、何とか新善波トンネルにたどり着く。トンネル内の路肩は広く、走りやすかった。 |
名古木(ながぬき)交差点 |
トンネルを出ると下り坂。そして、ヤビツ峠への入り口、「名古木」交差点。ここを右へ曲がればよい。ここまでで約1時間半ほどかかった。
さて、まず心の準備とトイレだ。1時間以内で登れるそうだが、私の場合、その倍はかかるだろう。
交差点からもうちょっと下って、落合交差点のところにあったセブンイレブンで休憩だ。 |
鳥居前 |
午前9時47分。いよいよ登り始める。いきなりきつい! そこを過ぎるとしばらく軽いアップダウンが続く。
途中、道が分かれているところがあった。どちらの道にも「藤棚」という同じ名前のバス亭がある。悩むが、とりあえず直進する。やがて小蓑毛バス亭。道は正しかった。
そして鳥居前バス停。ここから蓑毛バス停まできつい坂が続いているらしい。 |
最大の難所 蓑毛までの急坂 |
湘南平を思わせるような、真っ直ぐに伸びた急坂。ここを登り切れば、ヤビツ峠までは登れたも同然だ。そう、自分に言い聞かせてペダルを回す。いや、踏み込む。時速は10キロを割ってきている。ふらつき始めた。しかし、湘南平ほどの苦しさはない。行けるかも! |
蓑毛バス亭(折り返し場) |
蓑毛のバス亭に到着。午前10時12分。最大の難関をクリアした。
ここまで写真は撮ってきているが、自転車に乗りながら撮った。足はまだ着いていないぞ。 |
蓑毛から先は多少緩やか 桜も咲いていた |
この先は楽だろうと安心していたら、いきなり「勾配10%」の標識。しかし、いままでと比べると楽に感じる。不思議なものだ。
標高も高くなってきている。木々の間から見える眺望もよくなってきたのだが、残念なことに白く霞んでよく見えない。
ときおり車が通る程度。自転車乗りに出会うこともなく、鳥の鳴き声をたまに聞きながら、静かな山道を時速10数キロでゆっくりと登っていく。
ここに来るまでは結構風が強かった。それもほとんどが向かい風。しかし、登り始めてからは風を感じない。のどかな天気だ。いやー、このまま登りきれば、きっと気分は最高だろうな。 |
菜の花台 |
ヘアピンカーブとなっているところに菜の花台はあった。午前10時41分。駐車場があり、展望台も見える。ここまで足を着かずに来た。展望台に登ってみたいところだが、それは次の機会にしよう。今日はこのまま登ろう。
ふと道の方を見ると、中学生らしい男の子3人がMTBを押して登っている。・・・「勝った」と思った。
菜の花台の遊歩道を走りながら風景を楽しむ。晴れてれば、絶景だろうな。また、来よう。次はロードで。 |
ヤビツ峠!!!! |
菜の花台からの坂は急ではないが、だらだらと緩やかに続いていく。
前方に例の中坊3人組を発見した。自転車には乗っているが、3人ともふらついて道一杯に広がっている。私より若干遅い程度のスピード。抜こうにもちょっと抜きづらい。一気に抜ける足もない。
しばらく後を走るが、ちょっと緩やかになったところで、踏み込んで抜き去った。普通の格好してる中坊に、ヘルメットにレーパンのおやじ自転車乗りが負けるわけにはいかないぜよ。
そのまま後ろも振り向かずに登って行く。もう少しだ。きっともう少しで、自転車乗りのブログでさんざん見飽きたあの看板が見えるはずだ。
カーブを曲がって山の北側に来たときに、風を一気に感じた。強烈な向かい風だ。さむ~。進むのも苦しいが、日陰に入ったことも加わって、凍えるような寒さだ。こりゃ、降りるときは大変だ。
まだかまだかと坂を登り続ける。すごく長く感じた。私をとうの昔に抜いていったバイクの兄ちゃんが降りてきている。どこまで行って折り返してきたんだろう。
坂が平坦に変わった。ん? あれ? 着いちゃったみたい。だって、あの看板が見えるもん。
ブログで見慣れた写真。看板の前でヘアピンカーブとなっているので、きっと最後は強烈な坂なんだろうと思っていたが、そこは単なるバスの折り返し場だった。
足ついてないじゃん!!! 来ちゃったよ、ヤビツ峠。登ったんだ。午前11時5分。登り始めてから1時間18分。約12kmを約600メートルほど登る道のりを時速約9.23km。実際は、写真を撮るためにUターンしてちょっと下ったりしたので、もうちょっと速いかもしれないが、亀の歩みに変わりない。でも、一気に来ちゃったよ。土山峠を押して上がったあの日から1年と少し。感慨深いものがある。
峠では高校生ぐらいの男の子3人がベンチでお弁当を食べていた。彼らもMTBで来ていた。
風が強い。バス停近くのベンチでひと休みする。時刻表を見ると、バスは朝と夕方に1本あるのみだった。それも3月まではヤビツ峠~秦野間は運休となっていた(確か)。バス停の裏に階段があったので、上のヤビツ山荘まで登ってみたが、見晴らしは良くない。さて、後は降りるだけ。ダウンヒルを楽しもう。 |
札掛橋付近 |
途中で抜いた中坊3人組はまだ登ってこない。中学生以上の体力は、40代も後半の私にはあるようだ。それなのに、ヘルスメーターで測ると体年齢は51歳と出るのは、どうして?
唯一防寒対策として持ってきた、手袋のインナーをはめ、寒さに凍えながら下りをスタートした。
富士見山荘からわき水を越え、きまぐれ喫茶を横目に一気に下る。わき水のところで止まろうかと思ったが、平日にもかかわらず人が何人かいて、大量のポリ容器の中に水を流し込んでおり寄る気にはならなかった。
道は狭くなったり、2車線になったりをくり返す。たまに切り通しみたいなところも通る。
いつのまにか道のそばに川が流れている。その川沿いの山道を札掛橋までは一気に下り降りた。
札掛橋からの風景は私は好きだ。川にはいくつもの滝があって下へ下へと流れ、渓谷のような雰囲気となる。ふと道の右側に寄って見ると、下は断崖絶壁。高所恐怖症なので写真は撮れないのだが、でも、いいなあ。猛スピードで走り降りるのがもったいない。
|
宮ケ瀬湖 |
そして下り切ると、右手には広大な宮ケ瀬湖が横たわる。
ヤビツ峠は表も裏も素晴らしい風景。何度でも来たくなる所だ。 |
振り返ると・・・あそこから降りてきた |
自分の足であの山を越えたんだ。凄いな~。 |
三差路 |
宮ケ瀬に来るたびに、ここ曲がるとどうなってるんだろうと気になっていた交差点。今日はここから出てきたぞ。
ちょうどお昼どき。腹も減ってきたので、水の郷商店街でモツ煮を食べた。レストランに入ろうかとも思ったが、レーパンじゃちょっと恥ずかしい。なんとかという肉屋さんのモツ煮(300円)を買ったのだが、ここのは具がモツのみ。野菜は一切なし。野菜だらけのモツ煮は悲しいが、モツだけというのも、ちょっと寂しいぞ。 |
津久井湖の桜 |
宮ケ瀬に降りてきたころから風が再び強くなった。虹の大橋を渡るときは吹き飛ばされそうで怖かった。
関の交差点まで降り、三ケ木の交差点を右折して津久井湖へ向かう。花の苑地には桜が綺麗に咲いていた。 |
相模原駅付近の見事な桜並木 |
津久井湖からは適当に相模原を目指す。後で地図を見ると結構大回りしながら帰ったようだった。
途中、JR相模原駅近くで桜並木を発見した。携帯のカメラなので写りは悪いが、実際はとても綺麗だった。 |
おみやげは丹沢あんぱん |
今日のおみやげは丹沢あんぱん。津久井湖の売店で買った。つぶあん、こしあん、よもぎ、紫いも、さくらと5種類。家族にはまあまあ好評でした。私はつぶあんしか食べていないので、よくわかりませんが・・・。
自宅にいったん帰って、サッカー観戦スタイルに着替えて再びチャリンコにまたがって三ツ沢へ。自宅到着時が約115キロぐらい。三ツ沢往復だとセンチュリーに少し足りないかなと行きは少し遠回りしたのだが、帰りは寒かったこともあり最短で帰宅。センチュリーには少し足りないままでこの日のサイクリングは終わった。
ヤビツ峠は初挑戦で登れるとは思っていなかった。自転車通勤でR246を走っている成果かな。でも、ヤビツ峠は、あの風景を楽しんで、急がずゆっくり休みながら登るのがいいのかもしれない。
翌朝、カミさんに「昨日、ヤビツ峠登ってきたよ」って言ったら、「水飲んだ?」って聞き返された。
「いや、混んでたから」。
「ふ~ん」。
中学生の娘は、「何、それ?」。
この偉業は家族にはまったく理解されていない。
|