「長野と新潟をダート峠で超えてみよう」。こんなAJ千葉の誘い文句に惹かれ、BRM729千葉200km上越妙高に参加した。
「毎年7月くらいから積雪までの期間だけ、新潟の笹ヶ峰ダムの奥地から長野県小谷村の小谷温泉までの空白区間を通ることが出来る」という。さらに「マップを拡大しないと表示されないそのルートは県境トンネルで最高地点(1500メートルくらい)となる乙見湖峠を含むダート区間、登りと下りで10数キロほど続く」とある。おぉ!、グラベルじゃないか。面白そうだ。コースは2つあり、難易度4の「上越妙高」が獲得標高3000メートル超、難易度5の「須坂」は4000メートル超。当然、上越妙高にエントリー(^_^;
BRM723千葉200km上越妙高
204.0 km, +3042 m. Bike ride in 長野市, 長野県
乙見湖峠は「比較的きれいなので速度を出さないのであればそれほどグラベルに対応する必要はありません」とあり、先駆者の情報を調べてもガレ場というわけではないらしい。だが、「当然携帯も圏外上等の秘境区間。耐久性の高い太めのタイヤを推奨」とあれば、グラベルロードのJARI1.5の出番だ。タイヤは40C。万全の準備をして開催日を待ったが、なんと新潟側から7月31日まで工事が入ったという。主催者が確認したところ、天候と進行状況によっては29日以前に終了の可能性があるということだったので奇跡を信じて待ったが、結局、工事は終わらず峠は全面通行止め。よって、昨年に続き代替コースでの開催となった。それでも獲得標高は3108メートルでキツいコースに変わりはない。
BRM723長野200上越妙高(通行止め代替)
202.0 km, +3107 m. Bike ride in 長野市, 長野県
スタートは長野駅善光寺口で、参加者は6人。自分が参加したブルベでは最小人数だ。ちなみにこれまでの最小人数は07年の沼津400の11人。
午前5時3分 長野駅善光寺口
午前5時5分 スタート前
午前5時半の少し前に走り出す。まだ涼しさが残っている中、国道406号に入り、緩やかに上りながら市街地をあっという間に抜ける。スタートから3.9キロの頼朝山トンネルを過ぎると周囲はもう里山の風景が広がった。気持ちいいねぇ! 実はこれを皮切りにトンネルが連続する嫌な区間となるのだが、早朝とあって車の通行はほとんどないので緊張を強いられることはほぼなかった。頼朝山トンネル手前の「頼朝山トンネル東」から「鬼無里」までの16.8キロは信号もない。順調♪、なんだけど工事のため片側交互通行の個所があり、2度ほどストップ。
午前6時2分 裾花大橋
国道406号は裾花川沿いを緩やかに上っていく。ようやく現れた信号「鬼無里(きなさ)」を左折した後は国道406号をそのまま走って白馬へ向かう。実は白馬へ行った後は、ぐるりと回って再びここへ帰って来て右方向の戸隠を目指すことになる。
やがて緩やかだった勾配がきつくなり、それを上り切ると「白沢洞門」。これをくぐった先に北アルプスの絶景が待っていた。ここは嶺方峠(標高1045メートルぐらいかな)で、長野では有名な超絶景峠。ということも知らず、4キロ平均勾配4.6%を我慢のペダリングで上り、顔を上げた瞬間、重量級の山々が目に飛び込んできた。こりゃ感動するわな。
午前6時34分 鬼無里交差点
午前7時4分 白馬駅まで15キロ地点
午前7時30分 白沢洞門
午前7時31分 嶺方峠から望む北アルプス
スタートからほぼ上り続けたが、36キロ地点のここからようやく待望の下りが始まる。そして下り切った先も絶景。正面にど〜んと北アルプスがそびえている。大迫力のパノラマだ。白馬は初訪問で、心の中ではしゃぎながらPC1へと向かった。貯金は53分とまずまずのペース。
午前7時46分 正面に北アルプス
【PC1 セブンイレブン白馬岩岳店】47.3キロ 午前7時58分(貯金53分)
PCからは地味に上り続けたが、57.7キロ地点のトンネルを抜け、小川村に入ると道は下りとなった。村に入った途端、「日本で最も美しい村」という看板が目に飛び込む。綺麗な舗装で下りが続く小川村。いいねぇ! 好きになった。
その下りの途中にチェックポイント「ぽかぽかランド美麻」がある。貯金は57分とあまり増えていないのはなぜだろう。地味とはいえ10キロ以上の上りと向かい風が効いたかな。
午前8時10分 白馬駅
午前8時18分 白馬のスキー場
【通過チェック1 ぽかぽかランド美麻】62.1キロ 午前8時41分(貯金57分)
午前8時41分 ぽかぽかランド美麻
ぽかぽかランド美麻を過ぎても気持ちのいい下りが続いたが、県道36号へ入ると一転、道は急勾配で上り始めた。「小川アルプスライン」というらしい。標高1000メートル以上の嶺方峠から白馬経由でずど〜んと標高500メートル近くまで下り、再び標高1000メートル近くまで上る。上り始めに「星と緑のロマン館 あと8.9キロ」という道標がでてきたが、まさかその星と緑のロマン館がピークとは知らなかった。自分にとってはまさかの約8キロ超のヒルクライム。おまけに予想外のキツい坂が延々と続く。小川村がちょっと嫌いになった(^_^;
途中、スカイツリーと同じ高さの地点や展望台などで景色を眺めるふりして何度か休憩。ボトルの水が切れたタイミングで平均勾配6%超の激坂をなんとか制覇した。ふぃ〜〜。でも、まだ77キロ。これで終わりじゃないんだよね。
そのピーク、標高1000メートルの大洞高原にあったのが「小川タンメン」(写真はありません(^_^;)。何でここにタンメン? と首をひねりながら通り過ぎようとすると、お店の方が「冷たい水ありますよ」と声をかけてくれた。とってもありがたいけど、さっき星と緑のロマン館近くの自販機で補給したばかりなのよ。お気持ちだけ頂きま〜す!
午前8時58分 小川アルプスラインの起点かな? 星と緑のロマン館まであと8.9キロ
午前9時11分 小川アルプスライン。東京スカイツリーと同じ高さの634メートル地点
午前9時27分 小川アルプスラインの展望台
午前9時27分 小川アルプスラインの展望台。右の乗鞍岳から左の野口五郎岳まで見渡せる
午前9時45分 日本のへそまであと3キロ。いつかは行ってみたいね。左手奥が星と緑のロマン館
午前9時46分 ピークの星と緑のロマン館下。小川村は「日本で最も美しい村」
午前9時46分 パノラマ展望所は階段の上。いかないよ
さて、ここからは天国の下り。と言ったってたった4キロ。あっという間に鬼無里交差点まで戻ってきた。あんなに頑張って上った貯金のうち300メートル以上を吐き出し、再び上りが始まる。
午前10時1分 再び鬼無里交差点
戸隠への登坂の前に、まずは大望峠へ上る。鬼無里交差点から左へ少し行くとおやきの「いろは堂」があるとキューシートに記述があったが、上りを早くこなして楽になりたいとの思いからスルーし、そのまま直進した。しかし、結果的にこれ以降おやきを食べるチャンスがなかったので次回は寄ることにしよう。
大望峠へは8キロ、平均勾配5.8%の登坂だが、後半3.4キロが平均8%超。キューシートに「まあまあキツイです」なんてあったが、「まあまあ」なんてもんじゃないぞ。めちゃキツいじゃないか。序盤は余裕があったが、やがて青息吐息。「大望峠展望台立寄り可。晴れていれば絶景」とやはりキューシートにそそられる文句があり、もちろん晴れていたのだが、展望台はピーク寸前で脇道にそれてもうひと上り。行ったはいいが、下って戻った後、また上り返しが待っている。行くわけないよ〜。
午前10時17分 戸隠神社中社まで11キロ地点
大望峠は、この日三度目の標高1000メートル超。で、またここから2キロ、標高870メートルまで下り、ラスボスと思っていた標高1200メートルの戸隠高原への上りが始まる。長野市街地から出ている戸隠バードラインと合流してからが一気にきつくなる。ワインディングは2度ほどあるが、ほぼ直線に伸びる8%前後の激坂が3キロほど続く。ここまでは少なかった交通量もモーターバイクを含め一気に増え、車が連なって後方から次々と上って来る。ちょうどお昼前で蕎麦屋も賑わっているようで、観光客の姿もあちこちに見えかなりの人出。道も狭く路肩もあまりない。ここをヨロヨロとしか上れない自転車で抜けるのは、つらいよねぇ。生きた心地がしないというのはこの事だ。
【通過チェック2 戸隠神社中社大鳥居】97.5キロ 午前11時27分(貯金35分)
それでも気力と体力を振り絞り、この日の最高標高1200メートル地点の戸隠神社中社にようやくたどり着いた。貯金は35分まで減っていたが、キツい上りはこれで終了。あとは下って、平均3%のだらだら坂を軽く上って帰るだけ。距離的にはまだ半分だが、ブルベは終わったも同然と安心感でいっぱいになっていた。これが落とし穴だったとも知らずにね。
ここまでのコースは大げさに言えば平坦区間は1ミリもなく、上るか下るかの二択。それも標高1000メートル超を3度上り、最後は激坂を1200メートルまで上るという、まるでロードレースのワンデーレースのような過酷さだった。それだけに達成感があり、もうここまでで十分じゃねなんて思ったりして(^_^; 個人サイクリングなら戸隠で蕎麦食べて、バードライン下って長野に戻り、日の高いうちから冷たいビールで喉を潤したに違いない。でも、ブルベ完走のためにはあと100キロ走らなくてはならない。先を急ぎましょうね。
ほぼ予定通りの昼前に戸隠に着いたので蕎麦でもと思ったが、すでに行列のできている店もあり時間がかかりそうだったので、コンビニめしでいいかと諦めた。
戸隠神社中社がピークではなく、下りはもう少し先から始まった。その下り始めにあるのが「忍者からくり屋敷」。戸隠神社中社近くの「チビッ子忍者村」とともに子供たちと訪れた懐かしい場所。でもねぇ、そこにまさか自転車で来る日が来ようとは(このフレーズはロングライドを始めてから幾度となく使っているけどね)。人生、何が起こるか分からんね。
午前11時28分 チビッ子忍者村の手前。右手は大行列のお蕎麦屋さん
午前11時38分 忍者からくり屋敷
戸隠牧場のソフトクリームにも惹かれたが、ちょっと距離がありそうな感じだったのでこれも断念。さあ、一気に新潟までダウンヒル! と意気込んだのだが、序盤は緩やか過ぎてスピードがまるで乗らない。下り始めて7キロぐらいでようやくズドンと道が落ち、よっしゃー♪ 8キロほどの豪快ダウンヒルを満喫。その後、黒姫で多少の上り返しがあったが、国道18号に出てからは延々と20キロ以上の下りが続いた。
この日、長野は猛暑日で最高気温が36度。ただ序盤は1000メートル級までの上りが続き、戸隠でも最高気温は26度だったので、暑いと言えば暑いのだが、山の中なので適当に日陰があったり曇りになったりでしのげないほどではなかった。ところが国道18号に出るころから猛烈な暑さが襲ってきた。体にまとわりつくようで気持ち悪い。ジャージもべとべと。折り返しの新井付近は最高気温32度だったが、アスファルトの照り返しなどで車道はもっと高温になっていただろう。日陰もまったくない。近所のスーパーで105円で買えるクーリッシュがコンビニでは172円もすることに目ん球が飛び出て、最初は買わなかったが、結局いくつも購入する羽目になってしまった(T_T) 背に腹は代えられない。頭の中はシャワーを浴び、クーラーで冷えたホテルの部屋でビールを飲むシーンがずっと渦巻いている。もうね、一刻も早く長野に帰りたい。
そんな中、昨年の直江津集合で走った野尻湖、そして新潟県境を通過する。懐かしいね。そして日本海までは38キロ。直江津行く方が近いぞ、行っちゃうか、なんて(^o^)
午後0時16分 野尻湖
午後0時24分 新潟、長野の県境
午後0時28分 日本海まで38キロ
【PC2 セブンイレブン妙高姫川原店】139.1キロ 午後1時13分(貯金1時間33分)
暑さに耐えながら標高135メートルの139.1キロ地点の折り返しにようやくたどり着く。貯金は下りがあったおかげで1時間33分と大幅に増えている。
正規ルートでは上越妙高駅まで行くのだが、代替ルートは少し手前の新井駅近くで折り返し、国道292号を南下する。長野市街地は標高360メートルほどだから、きつくはないだろうが上りには違いない。Ride With GPSによると17キロほど上るが平均勾配は3.3%だったので、安易に考えていたのだが、とんでもない間違いだった。序盤は確かに緩いのだが、徐々に斜度がきつくなる。やがてガーミン先生がクライム情報を教えてくれる。13あるクライムのうちの12番目で「開始147キロ 勾配4% 距離8.56キロ」。え〜、8キロ以上も上るんかい。結構、ショック(T_T) この坂が実はラスボスだったのか。
日陰もない国道を上るのはつらかった。4%といってもたまに5%以上の坂現れるし、もう戸隠で足は売り切れてるし、絶景が待っているわけでもないしで、勾配の割には精神的にもキツい登坂だった。
なんとか標高600メートルへの最後の長い登坂を終え、4キロほど気持ちよーく下り、国道を離れ飯山駅付近に出るとようやく平坦な道に出た。今度こそ、このブルベは終わったも同然となったよ(^o^)
【通過チェック3 セブンイレブン飯山静間店】164.5キロ 午後2時55分(貯金1時間35分)
長い上りで貯金は1時間35分とあまり増えていないが、午後5時半ぐらいには帰れそうだ。
【通過チェック4 枡一市村酒造所】182.4キロ 午後3時44分(貯金1時間54分)
午後3時44分 枡一市村酒造所
【PC3 ローソン須坂上八町店】190.8キロ 午後4時17分(貯金1時間57分)
終盤は通過チェックやPCが36キロの間に3つもあり、何だか止まってばかりの不思議なコース設計だった。その最終PCでついに雨粒が落ちてきた。待望の雨だ! やったぜ、天は我を見捨てず、なんて喜んだのも一瞬、ポツポツと降っただけで終わっちゃったよ。あ〜ぁ、残念。涼しくなると思ったのにねぇ。
午後4時42分 エムウェーブ
【Goal ファミリーマート長野三輪荒屋店】201.9キロ 午後5時2分(貯金1時間58分)
ゴールタイムは11時間32分。獲得標高3000メートル超なので頑張った方かな。
終盤はそれほど見どころもなく、単調な一直線道路とかあって精神的にもきつかったが、車のいないコースを通せばきっと峠になるので仕方のないところだろう。戸隠までで十分に堪能できたし、今回も楽しいブルベだった。蕎麦が食べられず、食事はコンビニおにぎりだけというのが悔しいけどね。
でね、シャワー浴びた後のビールは格別だったよ(^o^)
グラベルの正規コースは2年連続で中止。来年は9月にしようかなんて主催者が言う。参加したいが、今回走った感じではグラベルロードで間に合う気がしないのだが、どうしよう。
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