※内舘牧子(1948年秋田市生まれ、東京育ち。13年半のOL生活を経て、88年脚本家としてデビュー。テレビドラマの脚本に「ひらり」「毛利元就」(1997年NHK大河ドラマ)など。武蔵野美術大学客員教授、ノースアジア大学客員教授、元横綱審議委員、東北大学相撲部総監督。著書に「終わった人」「今度生まれたら」など)
●老害というより老獪
昔話に説教、趣味の講釈、病気自慢に孫自慢。そうかと思えば、無気力、そしてクレーマー。『終わった人』『すぐ死ぬんだから』『今度生まれたら』に続く著者「高齢者小説」第4弾!
双六やカルタの製作販売会社・雀躍堂の前社長・戸山福太郎は、娘婿に社長を譲ってからも現役に固執して出勤し、誰彼かまわず捕まえては同じ手柄話をくり返す。彼の仲間も老害の人ばかり。素人俳句に下手な絵をそえた句集を配る吉田夫妻に、「死にたい死にたい」と言い続ける春子など、老害五重奏(クインテット)は絶好調。「もうやめてよッ」福太郎の娘・明代はある日、たまりかねて腹の中をぶちまけた。
前半はちょっと「う〜ん」と首をひねるような感じだったけど、中盤からはどんどん引き込まれ、最後は涙ぐんだ。さすが内舘牧子さん。うまいね。
「遊びをせんとや生まれけむ。戯れせんとや生まれけむ」。「残された日が少ないからこそ、人間は遊ばないとダメなんです」。その通り!(^o^) しかし、戸山福太郎は老害というより老獪(ろうかい)だね。それでいて憎めない。
24年5月5日から伊東四朗さん主演でNHKでテレビドラマ化。序盤は原作に忠実だったけど、途中から違う方向へ。
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