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マーケティング研究 他社事例 695 「即断即決のオオカミ」 ~黄色いあの会社のGMやGEと合弁のはかりごと~

2020-12-08 09:15:32 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 695 「即断即決のオオカミ」 ~黄色いあの会社のGMやGEと合弁のはかりごと~


ファナックには中国での需要増を受けてロボット増産を急いだが、供給が一時遅れた事があります。

当時の生産技術の責任者だった山口社長は、稲葉名誉会長にしかられたそうです。

「二度と起こすんじゃない」

悪い情報ほどトップに素早く届けて総力で対応しなければならないという、創業者の教えだったのです。

その言葉から、山口社長は幾多の困難を乗り越えた執念を感じたと言います。

稲葉氏は1946年に東京帝国大学を卒業し、富士通信機製造(現富士通)に入社し、1956年にNC(数値制御)装置を開発しました。

1965年に黒字になるまで赤字の原因を徹底して究明した9年間の経験が、厳密な原価管理、事業の絞り込みなど、その後のファナックの代名詞とも言える経営スタイルを育みました。

1972年に富士通から富士通ファナックとして分離独立し、1975年に社長に就きました。

富士山の裾野、山梨県忍野村に本社や工場を構え、一帯は企業カラーから「黄色い城」、稲葉氏の統率力から「清右衛門王国」と呼ばれたりしました。

長男でファナック会長の稲葉善治氏は「ファナックを世界最大のNC、ロボットのメーカーに育てた」と功績をたたえます。

1980年代前半の口癖は「オオカミになれ」でした。

野生のオオカミのように貪欲になればいい仕事が出来る、という意味です。

自ら「俺はオオカミ」と宣言し、1年のうち100日は商談で各国を飛び回りました。

「工場の四隅を綺麗にして花を飾れ」

1980年代半ば、モーター工場での指示は、隅にある部材まで目配りしてコストを徹底管理しろという意味です。

「売上高経常利益率35%の旗」を掲げ、「売り上げが3分の1でも利益が出るような体質を目指し、厳しく指示している」とさまざまな場で語っていました。

厳しいばかりではなく、性格は陽性でユーモラスな一面が人を引き付け、カリスマ性をさらに際立たせました。

円高不況化では「10倍のスピードで製品を開発しろ」と経営陣に指示し、通常よりも10倍早く回る時計を贈ったという逸話も残ります。

1982年にアメリカのゼネラル・モーターズ(GM)とロボット事業で、1986年にアメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)とファクトリーオートメーション(FA)領域で、それぞれ合弁会社を設けました。

「FAブームを巻き起こし、ロボットやNC装置を売りまくる」

通貨変動、貿易摩擦、国際競争の高まりにより、世界の製造業が垂直統合から水平分業へとシフトすることも先読みしていました。

「相手国で一番強いところと組めば事業が広がり、摩擦も起きにくい」

と当時、GMやGEとの提携の狙いを明かしていました。

NC装置の取引先である工作機械大手、DMG森精機の森社長は、稲葉氏を経営の師と仰ぎます。

日本のモノづくりを支えた稲葉氏の訃報に接し、託されたバトンの重さに背筋を伸ばす企業経営者は少なくありません。

「一本道を深く突き進む」

1983年、日本経済新聞の取材に自らの経営哲学をこう語りました。

ファナックの山口社長は「厳密と透明、気配りや利益へのこだわり、事業の絞り込みなどの教えを頂いた。会社の総力をあげろという言葉が重く響いている」と話します。

稲葉氏が遺した一本道は続いています。



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お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/

成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 


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