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マーケティング研究 他社事例 702 「分かれるESG対応2」 ~アメリカ規制当局は関心なし?~

2020-12-17 09:07:20 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 702 「分かれるESG対応2」 ~アメリカ規制当局は関心なし?~


官僚がトップダウンで金融に関する規則を決める時、投資家たちは常にそれを使って裁定を働かせようとしてきました。

これは金融の歴史を振り返れば良くあることです。

銀行の自己資本比率に関するバーゼル規制が導入された際も同様の現象が起こっただけに、今回も繰り返される可能性はあります。

しかし不完全であろうとなかろうと、一連の新たな規則に関して最も重要なのは、欧州のどの金融機関もこれらの規則を無視できないという事です。

欧州に進出しているグローバル金融機関についても同じことが言えます。

そのため「世界中の金融機関は投資先のESGについて考慮せざるを得なくなる」と、イギリス銀行大手スタンダードチャータードの会長は話します。

さらにアメリカ銀行最大手、JPモルガン・チュースがポートフォリオをパリ協定にの合意内容に沿ったものにする計画を明らかにしたのには、このような背景があります。

しかしながら欧州がグリーン投資規則の導入を急ぐ中にあっても、トランプ政権は従来の姿勢をかたくなに崩しません。

アメリカ証券取引委員会(SEC)はESG投資の枠組み構築への呼びかけを避けて来ました。

SECの有力委員である共和党のヘスター・ピアース氏は、ESGの概念の過剰な押し付けに思えると、公然と批判しており、アメリカ規制当局はTCFDを強制することに関心はなさそうです。

一方で、アメリカ労働省は最近、年金基金規則の改正に乗り出しました。

その結果、受託者責任の定義の下、資産運用会社がESGの原則を投資目的に取り入れることがこれまでよりも困難になるとみられています。

このことが、一部の大手投資グループを困惑させています。

「ESG投資は事実に基づいて行うべきで、イデオロギーや感情に影響されるべきではない。ESG要因が投資成果を改善させる証拠は多い」。

アメリカ年金基金TIAAはESG原則に関わる労働省のルールに批判を表明しています。

トランプ政権が環境問題に対する強硬姿勢をあくまで変えないとみられるなか、アメリカと欧州の分断は2つの結果を招いています。第一は、大手金融グループにとって、欧州委員会が事実上のグローバルスタンダードの設定者となっていることです。

第二は、アメリカ国内のプレーヤーは欧州によりESG問題に慎重になっていることです。

カナダ運用大手RBCグローバル・アセット・マネジメントの調査によれば、ESGへの配慮が運用成績を押し上げると考えているのはアメリカの金融機関のわずか74%にとどまり、昨年の78%から低下しました。

わずかとしたのは、欧州とアジアでは、それぞれ96%と93%に達しているからです。

「ESGへの取り組みについては欧州がアメリカのはるか先を行っている」と、大手監査法人は話します。

「アメリカでは10年前からサスティナビリティ―問題は極めて政治的な問題となっている。どの政党が政権を取るかによって、この問題に対する見解が違って来る」

大統領選前はこのような考察も出ていたほどでした。

結果、バイデン氏が勝利した事で、労働省やSECの規則を変え、TCFDを受け入れるかは分からないものの、ポートフォリオは大きく変わるものと見られています。

とりわけ厳しい気候変動規則が導入されれば、化石燃料企業の株価がどれくらい下落するかを、アメリカの投資家は考えなければならなくなるでしょう。

「こうした思惑はすべて株価に織り込まれているわけではない」とジャネット・イエレン前アメリカ連邦準備理事会(FRB)議長は指摘します。

バイデン大統領の誕生により、受託者責任規則が大きくクローズアップされることになるのか?

注目することだと私は思います。



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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