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“暴走列車”の東京五輪が強力な感染源に……英「タイムズ」紙が世界に発信した五輪中止提案コラムの中身

2021年11月22日 06時15分15秒 | 社会のことなど

2021
イギリスの高級紙「タイムズ」に3月3日付で、今夏の東京五輪・パラリンピックを中止するべき、と提言するリチャード・ロイド・パリー同紙東京支局長のコラムが掲載された。

 【画像】「今年の五輪を中止する時が来た」と題された英「タイムズ」紙のコラム

「スーパー・スプレッダー・イベント」に

コラムは、顔写真付きで約900ワード。「今年の五輪を中止する時が来た」、「日本のみならず世界へのリスクが大きすぎる、東京の今夏のスーパー・スプレッダー・イベント」と見出しが付けられている。 冒頭でパリー支局長は、イギリスで50年の歴史を誇り、約15万人を動員する野外音楽祭「グラストンベリー・フェスティバル」が2年連続で中止された出来事に言及。 一方で、東京五輪については、200ヵ国以上から1万5000人以上が参加し、その数倍の数の審判、スポンサー、ジャーナリストなどが来日し、チケット販売数は1100万枚以上、と数字を列挙。 

これらのイベントを対比させ、「はるかに小規模で短期間のフェスティバルが犠牲になるならば、世界最大の都市で4週間にわたって開催される大規模なイベントも中止されるべきであることは明らか」とキッパリと述べた。


少ないコロナ被害、無駄にする?

続いてパリー支局長は「厳しい真実」を次々と列挙。 菅義偉首相は1月の施政方針演説で、「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います。感染対策を万全なものとし、世界中に希望と勇気をお届けできる大会を実現するとの決意の下、準備を進めてまいります」と述べた。 

パリー支局長はこの菅首相の発言を一部引用し、五輪開催支持者は、勇気や人間性、抽象的な美徳を語るのを好むが、本当に開催したい理由はそれより実務的だ、と記す。 

その理由とは、すでに投入された莫大な資金と密接に絡み合った威信や権力だ。東京大会は史上最高額の夏季五輪になる見通しの上、延期でコストも増大している。また中止すれば、五輪スポンサーである世界の大企業に損害があり、何年もかかる法的な議論になるだろう、としている。 こうして何が何でも五輪開催へと向かおうとする様子を「止まらない暴走列車」と、例えた。

 さらに「日本の新型コロナウイルスによる被害が他の先進国と比べて小規模なのは、衛生状態が良く、外国人訪問者の入国を禁止したため」だが「今、政府は金と名声のためにこれらの成果を犠牲にしようとしている」と指摘した。 日本政府と国際オリンピック委員会(IOC)は感染防止措置を可能な限りとるとしているが、これについても「リスクを排除することなく、五輪の楽しみを奪い、スーパー・スプレッダー・イベントとなるだろう」と反論した。


病人や死者が出るだろう

同紙のウェブサイトによると、1995年から東京に住むパリー支局長は、感染防止のための厳しい規制をし、大会開催ができる国があるとすれば「日本しかない」と認める。 

だが、パンデミックの今後の状況について確証はなく、新たに変異ウイルスが急増し、五輪が感染源となって世界に数週間、数ヵ月間の停滞をもたらすかもしれない、と最悪の事態も予想。 何よりも、中止すべき決定的な理由は、一般の日本人の意見とし、個人ばかりか、企業も今夏開催を反対する声が多数だという、世論調査の傾向を挙げた。 そしてどんな予防措置がとられようと、東京五輪が開催されれば、病人や死者が出るだろうとし、「そうした代償は誰も負わされるべきではない」とコラムを結んでいる。 

パリー支局長は「クーリエ・ジャポン」の寄稿者でもある。今年1月には、日本政府が新型コロナウイルスのために東京五輪中止を非公式に決定したとする「東京五輪中止記事」を同紙に出したが、IOCと日本政府は否定した。


コメントも続々、日本に思いやりも

このコラムに対し、同紙のウェブサイトには「開催しても良いが、非公開で。陽性反応が出た選手は出場停止にしたらいい」、「コロナ完全排除の大会なんてあり得ない、もう1年待つべきだ」、など100件を超えるコメントが寄せられた。 

「五輪は大好きだし、2012年には何度かスタジアムで観戦した」という投稿者は「選手の前で観客の前で競技をする重要性もわかっている」としつつ、開催すれば、観戦時、そして五輪のために渡航した人たちが帰国した時と、2度、感染拡大が起きる可能性がある、と記した。

 「パリを2028年などに延期して、東京大会は2024年にするべき。日本に損失を被らせるのは不公平だ」などと、日本の立場を思いやるコメントもあった。










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世論頼みに直訴辞さず 島根知事、聖火リレー中止検討 「自民王国」で地元国会議員とつばぜり合い

2021年11月22日 03時00分43秒 | 政治のこと


島根県内での東京五輪聖火リレーの中止検討を掲げ、新型コロナウイルス禍での飲食店への支援を求めた丸山達也知事の表明は、自民党王国・島根から地元の声を国政に届ける手法の変容を印象付けた。

国会議員を通した陳情や調整が王道だが、党が分裂した2019年春の知事選で党推薦候補を破った丸山氏は、世論を頼みに「直訴」も辞さない。県民のための政治をどちらが主導できるか、つばぜり合いが見える。


 聖火リレー中止検討表明に関する一場面を描いた漫画

竹下氏「知事を呼んで注意する」

 丸山知事が聖火リレーの中止検討を表明した2月17日の翌日。「コロナから一番遠い島根が何を言うんだ。知事を呼んで注意する」。自民党竹下派の竹下亘会長(衆院島根2区)は派閥の会合でいら立ちを見せた。発言が世論の批判を浴びると、25日に上京した丸山知事との会談はグータッチで和やかに演出してみせた。しかし、飲食店への支援の要請に「島根だけの訴えでは弱い」と突き放した。  

同じく会談した細田派の細田博之会長(島根1区)は「都市と地方の支援が不公平」との主張に理解を示しつつ、聖火リレーと絡めたことに違和感を示した。 

 竹下氏の兄、故竹下登元首相や青木幹雄元参院議員会長たち、国政の中枢を担う大物を輩出してきた島根県。知事の国政への訴えは国会議員を通すのが通常のルートで、調整なしで働き掛けるなど、これまでの知事ではあり得なかった。


福岡出身「よそ者だからこそ動きやすい」

 2年前の知事選後、状況は変わった。国会議員の支援を受けていない丸山知事に「しがらみ」はない。元総務官僚で中央官庁の手の内を知る強みも生かし、独自の考えで政策を押し通すケースも見られる。1年前、新型コロナの感染拡大を受けて国が要請した一斉休校に47都道府県で唯一、応じなかったこともある。 

 ある県幹部は「裏でするものだった政治を表でやるのが丸山流」と分析する。今回、聖火リレーを絡めて世間の注目を集め、飲食店への給付金を政府から引き出そうとする戦術はその典型という。知事は福岡県出身。「よそ者だからこそ周囲を気にせず動きやすい」とみる県議もいる。

  ただ、この手法は事前の調整を重視する関係先からの反発もつきまとう。知事選で対立候補を応援した森山健一県議は、国会議員の心中をこう察する。「菅政権のもとで五輪開催の機運を高めようとしているさなか。いきなり聖火リレーの中止話が出て戸惑ったのだろう」


官邸ばかりに目を向ける派閥政治」批判も

 人口減少が本格化する中での知事選で丸山氏は現場主義を訴え、中央主導で別に候補を決めた国会議員への批判を取り込んで勝利した。丸山氏を擁立した五百川純寿県議は国会議員に対して「官邸ばかりに目を向ける派閥政治をやっているから、地元の声が聞こえなくなる」と皮肉を込めた。 

 政府への経済支援の求めを「応援する」とした竹下氏。丸山知事は全国知事会を通して再要望した後、ここから先は国会議員の仕事といわんばかりに静観の姿勢を見せる。地元の声に応える決着点が注目される。 


 <クリック>2019年春の島根県知事選 溝口善兵衛前知事の退任表明を受け、現在の自民党議員連盟に所属する多数派県議が丸山達也氏を擁立。党県連会長だった竹下亘氏たち国会議員は、他の県議が推した元官僚の推薦を決め、44年ぶりに党分裂選挙となった。丸山氏の当選後、県議会の自民党系会派が分裂するなど、しこりが残る。2020年8月に2年ぶりに開かれた党県連大会では竹下氏が混乱の責任を取る形で会長を退き、次期衆院選に向けた組織の立て直しへ結束を呼び掛けた。(松本大典)



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東京五輪「無観客開催」浮上のウラ事情>中止はIOCの「崩壊」を意味する

2021年11月22日 00時30分54秒 | 社会のことなど
「五輪はスポーツの大会ではない。
4年に一度の儲けの機会」 関係者


 新型コロナウイルス禍で東京五輪が不透明になる中、開催の決定権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)はここへきて「無観客」のカードをチラつかせてきた。  

開幕まで半年となった23日にトーマス・バッハ会長(67)はメッセージ動画で「必要な手段を適切な時期に決める。それは観客の問題にも及ぶ。何人か、観客は入れられるのか」と語り、これまで否定してきた無観客開催を示唆。過去に開催へ否定的な発言をしてきた重鎮のディック・パウンド委員(78)も「IOCに中止するつもりはない」と態度を一変させた。

1/25/2021 

 大会組織委員会関係者は「パウンド氏は言いたい放題できる唯一の存在だったが、さすがに〝言論統制〟されたようだ」。先週には臨時会議も開かれ、全IOC委員へ開催の方針が通達され、クギを刺されたという。

  なぜ、ここまで開催に執念を燃やすのか。ずばり中止はIOCの「崩壊」を意味するからだ。IOCに精通する五輪関係者は「IOCって単なる任意団体で五輪の興行主。収益のほとんどを4年に1回の夏の五輪で賄っている」と内幕を明かしつつ、中止となれば「まず貴重な収入源のテレビ放映権料が消える。これは痛恨ですよ。そして、ショーを提供する代わりに巨額の拠出金をもらっているスポンサーからは違約金を取られてもおかしくない。開催できなければ存立の危機。倒産の可能性もありますよ」。

  一方で職員への給与など多額の支出もある。IOC委員には報酬の形で金銭は支給されていないが、名誉職として世界中を飛び回るため経費がかかる。しかも飛行機は最低でもビジネスクラス、宿泊先は超一流ホテルが当たり前。

まずはこの金満体質を改めることから始めればいいが、IOC委員としては何としても4年に1回の〝実入りの流れ〟を止めたくない。招致に関わったある関係者は「五輪はスポーツの大会ではない。4年に一度の儲けの機会」とも…。こんな状態では、国民のさらなる〝五輪離れ〟を呼ぶかもしれない。



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