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「愛人に使ってもばれない」「選挙で“実弾”をまいている」 裏金の使い道を現役秘書が明かす

2024年02月02日 03時03分58秒 | 事件と事故
「愛人に使ってもばれない」「選挙で“実弾”をまいている」 裏金の使い道を現役秘書が明かす(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース 


「愛人に使ってもばれない」「選挙で“実弾”をまいている」 裏金の使い道を現役秘書が明かす
12/20(水) 6:07配信


デイリー新潮
【自民党裏金疑惑】事情聴取された現役秘書の独白と立件候補の3議員の名前(前編)
岸田文雄首相


 政権幹部などが受け取った裏金の額と人事情報が連日のように新聞紙面をにぎわせ、底なし沼の様相を呈する「自民党派閥パーティー裏金疑惑」。後編では立件候補の3議員の名前を報じるが、前編では特捜部に事情聴取された秘書が明かした取り調べの内容を紹介する。


【写真】パー券を支援者に大量に売り捌き多額の裏金を作っていたとして名前が上がっている「安倍派4回生議員」


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 12月上旬のある日の午後、東京・千代田区にあるホテルニューオータニの一室には重苦しい空気が漂っていた。その密室で、自民党の最大派閥、清和政策研究会(安倍派)に所属する国会議員のベテラン男性秘書と対峙していたのは、しわ一つないスーツに身を包んだ検事と事務官だった。


「私は部屋の中にあるローテーブルの近くのソファに座り、検事さんは私の向かい側に置いた1人掛けの椅子に座っていました。また、事務官の人は別のテーブルの上にパソコンを用意し、私の証言内容をカタカタと打ち続けていました。時間は計3時間。正直、ノドがかわいたけれど、コップ一杯の水すら出なかったですね」


 ベテラン秘書はそう振り返る。


「最初に“黙秘権があります”と言われたので、“いや、大丈夫です”と。それから“今日の内容はマスコミと先生には言わないで”とも言われ、“先生とは?”と聞き返すと、“議員先生です”との答えでした」


「本当に悪いことだと思っていませんでした」
秘書の聴取が行われたホテルニューオータニ


 聴取を受けた秘書はみな、議員との情報共有を禁じられ、自民党の顧問弁護士への報告のみ許されているようだ。


 検事からの質問が集中したのは当然、派閥からキックバックされた、販売ノルマを超えたパーティー券(以下、パー券)代金についてで、


「“いつ違法なことだと認識したのですか?”と聞かれたので、“今回の報道があって初めて認識しました”と答えました。全ては派閥の指示でやっていたので、本当に悪いことだと思っていませんでしたからね。ただ、検事さんはそうした答えに納得していなかったようで、“本当ですか?”などと言って何度も同じ趣旨の質問をしてきました」


「みっちり3時間しぼられた」
 議員からの指示があったのかどうかを問う質問も繰り返されたという。


「“チケットを売るのに先生の指示はあったのか?”といったことは何回も聞かれました。ただ、ウチは代々、私設秘書を含め大勢の秘書たちがチケットをさばいていたので、“先生の指示はない”と答えました。聴取はその日の1回で終わらず、数日後に2回目の聴取日程が設定されました」


 別の男性秘書も同時期、やはりニューオータニで事情聴取を受けたという。


「みっちり3時間、取り調べでしぼられました……」


 と、その秘書は嘆息する。


「派閥からキックバックされたパー券代金について、“受け取った後どうしたのか?”と聞かれて、“覚えていない”と答えてしまったんですよ。あのお金は自由に使える裏金なので正直、ありがたかった。だからこそ、すぐに使ってしまい、使途を覚えていないのです。そう話した時の検事さんの反応は、すごく険しかったですね……」(同)


安倍派の不記載額が突出
 今や連日新聞・テレビをにぎわせ、特に清和会が“大炎上”している「自民党派閥パーティー裏金疑惑」。しかしその“火種”はごく小さなものだった。


〈自民5派閥 過少記載疑い 告発状提出 パーティー収入4000万円〉


 そんな見出しの記事が読売新聞の片隅に掲載されたのは、11月2日のこと。


 神戸学院大の上脇博之教授が東京地検に告発状を提出したことを伝える、短い記事である。上脇氏が問題視したのは、自民党の主要派閥である清和会、平成研究会(茂木派)、志公会(麻生派)、宏池会(岸田派)、志帥会(二階派)が毎年、派として行っている政治資金パーティーについて。政治資金規正法では、20万円を超えるパー券を購入した個人や団体の名前、金額を政治資金収支報告書に記載するよう義務付けている。しかし、20万円超購入した政治団体の名前や金額が記載されていないケースが多々ある――最初にそう報じたのは「しんぶん赤旗」であった。


 その記事をきっかけに上脇氏が、公開されている2018年から21年の収支報告書を独自調査したところ、不記載の総額は5派閥で3942万円に上ることが判明。さらに、各派の内訳を見ると、安倍派が1946万円、二階派が754万円、茂木派が620万円、麻生派が410万円、岸田派が212万円と、安倍派が突出していたのだ。


「派閥のパー券は所属議員にそれぞれノルマが課せられています。清和会の場合、1回生は60万円。閣僚経験者は400万円で、最高額は750万円です」(清和会関係者)

議員が自由に使える裏金
 パー券代金の振込先は二つのパターンに分かれる。一つは、派閥が作ったパーティー専用の口座に直接振り込んでもらうケース。もう一つは個々の議員事務所の口座に振り込んでもらい、その上で各議員側から派閥の口座に振り込む場合だ。


 本誌(「週刊新潮」)はこれまで「自民党派閥パーティー裏金疑惑」について繰り返し詳報してきた。その一連の記事の中で、「キックバック」の慣習についても早い段階から指摘している。


「議員がノルマを超える額のパー券を売った場合、派閥はノルマ超過分を議員に戻します。安倍派に関しては、このキックバック分について、派閥と議員側両方の収支報告書に記載されていませんでした。つまり、キックバック分は議員が自由に使える裏金になっていたということです」(全国紙社会部デスク)


「愛人を囲っても絶対に分からない」
 そのキックバック分の受け取りについては、


「議員や秘書が清和会の事務所まで受け取りに行っていました」


 と、先の男性秘書。


「そこでは、封筒に入った現金をポンと渡され、受け取り手側は受取書にサインする。こうして受け取った現金は、愛人を囲うのに使おうと、支援者との食事のために使おうと絶対に分かりません」


 もっとも、清和会のさるベテラン議員はこう話す。


「私の場合、パー券は売れる時にどんどん売っておき、ノルマを超えたキックバック分は自分の所で管理しておく。そしてそのお金は、ノルマを達成できなそうな時、補填のために使います」


 裏金は存在したものの、それを私的に使うことはない、というのだ。


「選挙で実弾をまいているんだから」
 その一方で、


「以前、清和会の重鎮の一人に“なぜ派閥の会計報告をきちんとしないのか”と聞いたら、“そんなのできるわけないだろ。だって選挙で実弾をまいてるんだから”と言っていました」


 先の清和会関係者はそう語る。


「清和会のある幹部も、“選挙戦の時に急に億単位の裏金を作るのは大変だから、普段からプールしている”と話していました」


 パー券をめぐる収支報告書の不記載問題。その背後には、裏金という闇が広がっていたのである。


 後編では立件候補の3議員の名前を報じる。


「週刊新潮」2023年12月21日号 掲載




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